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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第五章 ブエラリカを覆う影/終焉の龍神機現る
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5-16

『くっ、マシロ、行くぞっ!』


『はい! お兄ちゃん!』


 コスモ・ドラグーンと二手に分かれ同時に攻撃する。

 右から俺の蹴撃が、左からマシロの鋭い触手が迫るが、ディマイズは動かない。


ーーガギンッーー


『グッ!?』


 俺の脚とマシロの触手は、しかし簡単にディマイズの両手に受け止められ掴まれた。


『フハハハハハハ、遅い、遅すぎるぞ! それに力も……俺が苦戦したドラグーンとは、この程度の物だったのか!!』


『きゃぁぁぁぁっ!』


 ディマイズが、グイッと触手を掴んだ手を上げると、コスモ・ドラグーンは簡単に宙に浮く。そのまま触手を鞭のように振り、コスモ・ドラグーンは猛烈な勢いで大地に叩きつけられた。


『マシロッ! くっ、このっ、離せ!!』


『そうかそうか、なら離してやろう……ふんっ!』


 まるで棒でも振り回すように、俺の体を簡単に持ち上げると、ディマイズはそのまま俺を投げ捨てる。


『っ! くぅあっ!』


 視界に迫る大地。俺はなんとか受け身の体勢を取ると、衝撃を和らげた。


『うぐっ……マシロ、大丈夫か!?』


 すぐさま立ち上がり、マシロに声をかける。コスモ・ドラグーンもゆらりと立ち上がったばかりだ。


『はい、大丈夫です……』


 しかし、その声は沈んでいる。俺は首を振った。


『すまない、あれだけの勢いでぶつかって、大丈夫なわけないよな。回復するまで、俺に任せて休んでいるんだ』


『そんな!? でも、あいつはお兄ちゃん一人じゃあ……』


『大丈夫、俺は一人じゃない』


『そうです、マスターには我等がついています。マシロはマスターの言う通りに休んでいなさい』


 そのまま、マシロの返事を聞かずに走り出す。


『イスミルッ!』


『わかっています、マスター! はぁぁぁっ!』


 大地を割って、魔装甲冑大の黒水龍が五体現れる。


『よしっ、来いっ!』


 俺の呼び声に応じて、五体の黒水龍がドラグーンへと集まり、それぞれ手足と胴に巻き付いた。

 そのまま、ディマイズへと突撃する。


『ふんっ! そんなチビ龍、纏った程度で何が変わるっ!』


 迎え撃つディマイズが、その巨体には似つかわしくない機敏さで拳を振り下ろしてきた。

 俺は、その腕に向かって跳躍すると、更にディマイズの腕を蹴り飛び上がる。


『なにっ!?』


『おぉぉぉっ!!』


 ディマイズの頭部が目の前に来る。俺はその魚頭に向かって、黒水龍の巻き付いた右脚で蹴りつける。


『ググッ……!』


『まだだ!』


 俺の脚の周囲を、超高速で回転しだした黒水龍が、放つ蹴撃と共に、まるでドリルのようにディマイズの頭部を大きく削り消える。

 更に、同様に左脚でも蹴り削ると、ディマイズの巨体がぐらついた。


『マスター、今です!!』


『応よっ!!』


 ぐらついたディマイズの肩を足場に、再び跳躍すると、左腕と胴の黒水龍を右腕に集める。三体の黒水龍が俺の右腕でうねり、今にも暴発してしまいそうなエネルギーを発する。

 その右腕で、真上から真下に向かいディマイズの頭部を真っ直ぐに打ち抜く。


『ドラグ・トライ・インパクトッ!!』


 右腕から解き放たれた三体の黒水龍はねじれ混ざり、黒く輝く一本の柱となって、ディマイズの巨体を縦に貫いた。

 奴の頭部は既に原型を残していない。俺は、完全に動きを止めたディマイズの前に降り立つ。


『いつでもいけます、マスター!』


『よしっ、これで終わりだっ! ハイパァーノヴァ・ストリーーーーム!!!』


 開いた胸部装甲から放出される極大エネルギーの中で、ディマイズの体がボロボロと崩壊し消滅していく。

 虚空へとハイパーノヴァが消えた後、そこにはディマイズの痕跡は何一つ残って

いなかった。


『やったか……さすがに今回はギリギリだったな……』


『お兄ちゃんっ!』


 その時、マシロの鋭い声が響く。

 その声色に、俺自身が理解するより早く、俺の本能的な部分が、後ろに大きく飛び下がらせた。

 同時に、轟音と共に、俺の居た場所が大きく崩れる。すり鉢状の穴が開いた地面の中央に、そいつは居た。


『おっと……軽く殴ったつもりだったが、勢いが良すぎたか……やれやれ、早く馴染まないとな』


 そいつの漆黒の体は、一見イオスやディマイズに似ている。しかし、翼や尾が無く、サイズも一回り小さいようだ。


『お前は……まさか混沌卿なのか!?』


『ふんっ、あの程度で俺を破ったつもりか。お前は単純にハイドラグーンという卵の殻を破ったに過ぎない。ダゴンを喰らい、ハイドラグーンより産まれた俺が、俺こそが、真の終焉ディマイズよ!!』


 踏み込み、ディマイズが俺へと水平に跳ぶ。単純な踏み込みから生じた、その驚異的なスピードは、あの狼牙が放つ風爆一閃並みだ。


『くっ!』


 ディマイズが振るう拳を弾く。見かけは俺やコスモ・ドラグーンより小さいのに、その力は想像以上で、弾く俺の腕が震えた。

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