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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第三章 激戦・熱戦・超決戦!/黄衣の王誕生
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3-終

「なっ!?」


 俺は驚きの声をあげる。キング・ドラグーンの加速が俺の想定を大きく上回ったからだ。車を進めようとアクセルを踏んだら、いきなりF1カーに変わって猛加速した……と言えば俺の驚きも分かりやすいだろうか。

 どういった原理か不明だが、両肩の大きな結晶から、黄金色の粒子が吹き抜ける風のように後方へ飛ぶ。

 コスモ・ドラグーンまであっという間だった。


『ぬぅっ!!』


 俺の接近に合わせ、コスモドラグーンが八本の触手全てをこちらに向け高速で伸ばす。

 タービュレンスの前脚が変形した手甲に、ちらりと視線を向ける。手甲の先には、タービュレンスの武器だった鋭い爪が、そのまま生えていた……これなら。


『はぁぁぁっ!!』


 俺と触手、刹那の交差の後、全ての触手が細かい破片となって地に落ちた。


「これは……想像以上だな」


 両腕の手甲には、さっきとは違い真っ直ぐ長く伸びた爪があった。すれ違う瞬間、鋭く伸ばした手甲の爪で、迫る触手を細かく刻んだのだ。


「ふふん、これが我等の新しい速度だ。早く慣れよ、マスター」


「くっ、簡単に言うな、イオス」


「なに、我の自慢のマスターならば、これくらいやり遂げるさ。そうだろう?」


「……ああ、わかってる! やってやるさ!!」


 イオスに応えながら、コスモ・ドラグーンが新たに生やした触手数本を更に切り裂く。


『ふんっ! やるな、邪龍よ!』


 何度触手を生み出しても即座に切り落とされ、ドミニアスが苛立った声で叫ぶ。


『ならば、これならどうかな!!』


 そう言うと、コスモ・ドラグーンが一気に膨れ上がる。まるで風船のように巨大化したかと思うと、五つの白い塊がその身体から飛び出し、急速に元のサイズへと縮んでいった。


『これは、いったい……』


 転がる五つの塊を警戒する。すると塊はムクムクと大きくなり、それぞれ異なる形になった。


「タツヤさん! これって……」


 コスモ・ドラグーンと俺の間に立ち塞がった五つの……いや、五体の魔装甲冑。


「ああ、間違いない。五聖輝将だ」


 今日見たばかりの四体に加え、ご丁寧に白い狼牙まで居た。


『くくく、どうだね。我と光龍様の力があれば、この程度容易いものよ。さぁ、行けっ! 我が臣下達よ!!』


 コスモ・ドラグーンが掲げた右手を下ろすのを合図に、五体が一斉に襲いかかる。


「なあ、イオス。操手の力量って何だっけ?」


「要因は幾つかあるが、一番重要なのは思考速度だな、マスターよ」


「だよな……シルフィ、頼むっ!」


『術式発動! 旋風昇破!!』


 シルフィの術式によって、黄金の風が巻き起こり、たちまち巨大な竜巻となって五聖輝将達を巻き込み上昇させる。


『はーーーっっ!!!』


 餓龍剣を下段に構え、大地を強く踏みしめると高く高く跳躍する。

 そのまま、竜巻の中を潜り抜け着地し餓龍剣を払う。

 竜巻が消えると同時に、背後にボタボタと落ちてくるのは、五体分の魔装甲冑だった肉片だ。


『どんなに見た目や性能を取り繕ったところで、お前が生み出した物は只の肉に過ぎないんだ、ドミニアス! お前に忠誠を誓った五聖輝将はもういないっ!!』


『くぅぅっ! おのれっ! どこまでも神に逆らう痴れ者めがぁぁぁっ!!』


 飛びかかってくるコスモ・ドラグーンの腹に、カウンター気味に拳を打ち込む。変形した手甲で覆われた拳で、甲殻を砕きコスモドラグーンの身体を浮かせ殴り飛ばす。


『まだまだぁっ!!』


 両肩の結晶が眩い光を放ち、走ると言うよりは水平に飛翔するように、黄金の風を纏いながら超高速で移動。飛ばされたコスモ・ドラグーンを追い抜くと、先回りし飛んでくる奴に膝の結晶から出る粒子で加速された蹴りを放った。


『ぐぁっっ!』


 蹴りをまともに受け、大地に何度もバウンドし地響きをたてながらコスモ・ドラグーンが倒れ伏した。

 俺は近づくと、コスモ・ドラグーンを持ち上げ立たせ、更に拳を叩き込んでいく。

 俺の拳は一撃ごとにコスモ・ドラグーンの形を変えていき、最後の一撃で後方へ大きく吹き飛んだ。


「イオス、アレを準備してくれ!」


「うむ、わかった!」


 相当なダメージを受けながらも、既に回復を始めたコスモ・ドラグーンはヨロヨロと立ち上がる。

 奴を倒しきるには、一度にその全てを消し去る必要があった。


(マシロ……やはり、ダメなのか……すまない)


 心の中でマシロに詫び、攻撃体制に入る。


『ぐふぅ……おのれっ! 邪龍めがぁぁぁっ!』


 その時、ドミニアスが叫びながら空へと舞い上がる。


『これでも喰らえぇぇっっ!!』


 コスモ・ドラグーンの胸部装甲が左右に大きく開く。


「むっ、マズイぞ、マスター! 奴め、我等ごと地上に向けてハイパーノヴァを撃つつもりだ!! 我等は回避出来ても、地上のダメージは計り知れんぞっ!」


 通常、結界で保護した上で、上空か水平に撃つハイパーノヴァを、大地に向けて撃つ……確かにあんな威力の物が大地に直撃するのはマズイ。


「……どうすればいい?」


「先のマスターの指示で準備は出来ている。我等もハイパーノヴァを撃って相殺するしか無い! ……超エネルギー同士の激突になり、どのような結果を生むか不明な点が多いが、キング・ドラグーンの力で押さえ込むぞ!!」


「くっ! わかった!」


 キング・ドラグーンの胸部装甲が虎の頭ごと左右に開く。更に、全身の結晶が強く輝き、黄金の風による結界を周囲に構築していく。


『極新星烈波!!!』


『おぉぉぉ、ハイパーノヴァ・ストリーーーム!!!』


 コスモ・ドラグーンと俺から、ほぼ同時に超エネルギーの奔流が放たれる。二つの荒れ狂う力は激しくぶつかり合い、世界を光の中に呑み込んだ。


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