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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第三章 激戦・熱戦・超決戦!/黄衣の王誕生
49/95

3-6

『姉上、もう十分離れたかと』


 ダイトル達をチラリと見てアクエイドがフレイアに声をかける。


『よしっ、やるよ、アクエイド!!』


 フレイアが背中の翼を使いフワリと浮かんだかと思うと、高く飛び上がる。それに続くようにアクエイドも宙に舞った。


「あいつら……一体何をする気だ?」


「警戒しろ、マスター。わざわざ仲間を離れさせるんだ、おそらく広範囲の何かだ」


「なるほど……そうだろうな」


 構え警戒する俺を見下すように、上空からアクエイドの笑い声が聞こえた。


『ふふふ……行くぞ、邪龍!! 氷焔結界陣!!』


 フレイアとアクエイドの魔装甲冑から、まるでシャボン玉のように球体が連続で排出される。

 球体一つ一つは、人間一人くらいの大きさで、フレイアの出す球体は赤、アクエイドの出す球体は青色に光ってい

た。

 そうして無数に出された球体は、まるで俺を取り囲むようにドーム状に展開した。


「これは……術式か!?それなら……餓龍け……」


「タツヤさん、待ってください!」


 餓龍剣を再び異界より取り出そうとする俺を、リミルが止める。


「ど、どうしたんだ!? リミル」


「詳しくはわかりませんが、周囲の魔素に動きがありません。おそらくあれは術式なんかじゃないと思います!」


「そうか……なら、むやみやたらに餓龍剣に頼らない方がいいな……しかし、だとしたらこれは一体?」


「うむ……マスター、ではこうしてみよう」


 腰の甲殻を一枚剥がし二つに割る。その内の一つを青い方の球体に投げつける。


ーービキビキッーー


 球体に触れた瞬間、球体が砕け、中より青い閃光が走る。

 球体を破壊した甲殻は、その場で一瞬で凍りつき砕ける。


「これは……極低温の塊かっ!? しかもあの球一つで、我の甲殻を一瞬に凍らせ砕くだと?」


 イオスが驚きの声をあげる。


「どうやら、そうらしいな……という事はこっちは……」


 赤い方の球に残った甲殻を投げつけると、さっきと同様、今度は赤い閃光が走り、甲殻は音も立てず、溶ける間も無く蒸発した。

 俺は周囲をドーム状に広がる球の壁を見回す。


「なるほどね……つまりこれ全部が瞬間蒸発か瞬間冷凍装置ってわけか……マズイな」


『ククク、気付いたか? 我等姉弟の氷焔結界陣、その逃れられぬ恐怖……とくと味わい死ぬがいい!!』


『ふふ、熱いのと冷たいの好きな方を選ぶといいさ、坊や』


 フレイア達の声に反応するかのように、ジワリジワリと……球体のドームが小さくなる。どうやら、このまま突っ立っていても助かる見込みは無いようだ。


「どうする? いっそ駄目元で層の薄そうな場所から一気に抜け出てみるか?」


「却下だ、マスター。恐らく我が身体ならば、核まで破壊されず耐えきる事が出来るだろう……だが、そこから奴らを倒すとなれば話は別だ。満身創痍に近い状態でやり合えば、こちらに勝ち目は無い」


「先程のように、イオス様の攻撃や私の術式で、まとめて吹き飛ばすというのは、どうでしょう?」


「ダメだな。正負のエネルギーをあれだけ内包した球だ。一つ二つならば問題無いが、この数をまとめてでは、どのような結果になるか読めないぞ」


「くっ……なら、どうする?」


「うむ……そうだな。幸い向こうは一気に我等にこれをぶつける……そういうつもりは無いようだ。そこで、最善策では無いかもしれんが、我に一つ考えがある」


 青い光の後に赤、青、赤、青と交互に連続して閃光が続く。上空からでは、その光に遮られ良く視認出来ないが、何が起こっているかはわかったのか、アクエイドが笑う。


『ははははは、なんと愚かな! なんと無様な! 姉上、どうやら邪龍は無理矢理、我等の氷焔結界陣を抜けるつもりのようですよ』


『これだけの数の発光……おそらく抜けても、もう戦えまい。行くよ、アクエイド!』


『はっ! いよいよ邪龍の最後の時ですね、姉上!』


 最後の発光であろう場所に降り立つフレイアとアクエイド。その身体に俺は餓龍剣で素早く斬りつけた。


『なっ!? 貴様っ!』


『無傷だとっ!?』


 左腕を斬られてアクエイドと、反対に右腕を斬り取られたフレイアが慌てて距離を取った。


『別に……無傷って訳じゃないさ』


 俺は餓龍剣を右手で正眼に構えアクエイドに答える。


『な〜に、どんな手品も種が解れば対処も出来る……ただそれだけの話だ』


 あの時、イオスの提案に従い俺がやった事は、腕を支持出来る範囲で可能な限り細く長く伸ばす事だった。

 そうして伸ばした鞭のような腕を持ち上げ、手近な球に触れる。当然、球の影響で瞬時に砕け、または蒸発するが、それは球の効果範囲内にある長い腕のほんの先端だけ。それをフレイア達に気付かれる前に、限界まで加速し繰り返し続け、そうして出来た空間を抜けここまで来た。

 腕を元に戻すと、消費されたのは左腕の肘先だけ……恐らくはかなり被害を軽減出来たはずだ。


『それじゃあ、仕切り直しだ。言っておくが、もう同じ手は通じないぞっ!』


 跳躍しアクエイドに斬りかかる。アクエイドは後方に跳びのき餓龍剣を既の所で回避すると、フレイアの隣に降り立った。


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