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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第二章 商業国家ミンバ/吼えよタービュレンス
32/95

2-13

 その巨体からは想像出来ないようなスピードで、虎楼閣が俺達に向かって突撃を仕掛けてきた。

 それは、あの狼牙の馬鹿げた加速には遠く及ばないものの、瞬く間にぐんぐんと接近してくる。


『ぐっ……!』


『コルト!』


 俺と虎鉄丸は左右に分かれて飛び退き回避する。

 が、反応が一瞬遅れた虎鉄丸は、虎楼閣の体に弾き飛ばされ脇の建物へとかなりの勢いで衝突し、ガラガラと崩れ落ちる瓦礫の中へと消えてしまった。

 そんな事などまるで意に介さないかのように、悠然とこちらへと向き直った虎楼閣は、四本の腕とそこに握られた武器をそれぞれ独自に振りだす。


「ふんっ! 奴め、さしずめ奪った魔装甲冑の準備運動といったところか」


 イオスの言葉になるほどと頷く。つまり、慣らし運転って事で、これからもっと早くなる可能性もあるわけだ。


「さて、どうしたもんか……とりあえず、今の所は躱せない速度じゃあないようだけどな……しっかし、何ていうデカさだ。まるで大型トラックを相手にしているみたいだ」


「タツヤさん、後ろですっ! っ……術式発動! 飛流刃ひりゅうじんっ!!」


 リミルの発動した術式で複数生まれた、浮遊する扇型の水刃が俺の後方へと飛ぶ。

 それは、虎楼閣に気を取られた俺に襲いかかろうと跳躍した白騎士達を斬り裂き、あるいは押し返した。


「ふぅ〜……ありがとうな、リミル。そうだった、こいつ達も居たんだったな」


 この場に居る白騎士は四体。ドラグーンにとって決して多い数では無い。だが……。


ーーギィンッ!!ーー


 今度は虎楼閣が、飛びかかりながら手にした槍で突いてくる。

 腕を盾に変形させた俺は、斜めにその槍を受け勢いを受け流すと、槍に続いて来る虎楼閣本体を、その巨体を踏み台にする事で飛び越えた。

 そうして、空中で体を捻り、虎楼閣の背後に降り立つ。

 これで虎楼閣と白騎士達の挟み撃ちの様な状況からは脱出出来た。


「参ったな……他の奴に手を回せる程、虎楼閣は甘くないようだぞ」


「ふむ、そうだな。どちらかに的を絞りとっとと倒した方がいいだろう。マスター、どうする?」


「そうだな。ここはやっぱり白騎士から片付けるか!」


 少しづつドラグーンを追い詰めるように虎楼閣と白騎士達が前進してくる。

 俺は、ここに来る前と同様に両腕を剣状に変化させた。

 その時、脇の建物から虎鉄丸が飛び出すと、そのまま白騎士達の中に斬りかかる。


『悪いなっ、タツヤ! ちょいと昼寝しちまったっ!』


『無事だったか、コルトっ! いや、ナイスタイミングだ! そのまま白騎士達を頼む!!』


 向き直り虎鉄丸へ長剣で斬りかかろうとした虎楼閣の右後ろ脚に、両腕の剣で斬りつける。

 堪らず虎楼閣は再度こちらに向き直り、今度は俺へその刃を振り下ろした。

 俺が虎楼閣の攻撃をバックステップで躱すと、更に剣と槍の波状攻撃が繰り出される。

 俺は虎楼閣の攻撃を誘いながら後退を続け、虎鉄丸と白騎士達から離れた。


『どうやら、そっちは大丈夫なようだな。わかった、こちらは任せろ』


 虎鉄丸が白騎士達を止めてくれるので、やっと虎楼閣に集中できる。

 俺は体を捻りながら飛び上がると、虎楼閣の人型の方の頭目掛けて、右脚で回し蹴りを放つ。

 しかし、俺の蹴りは虎楼閣の長剣を持つ左腕で防がれ、他の三本の武器が逆に突いてくる。

 俺は止められた左腕をそのまま蹴り上げる事で体勢を無理矢理変え、その攻撃を回避した。


『ふっふっふ……ふはっ〜っはっは! どうだっ、素晴らしいだろう? 我が虎楼閣の力は!? んんん?』


 着地した俺へ、嘲笑うような声が降り注ぐ。どうやらあの王弟の声らしい。

 俺はその声に負けずと嘲笑の色を滲ませ声高く叫ぶ。


『ふんっ、なぁにが我が虎楼閣だ! 王様から奪った物じゃ無いかっ! この簒奪者さんだつしゃめっ!!』


『ぐうう! 貴様貴様貴様っ! 何を言う!! 俺は兄上……ブライアンより奪ったのでは無い! 奪われたこいつを、この手に奪い返したのだっ!!』


『奪い返した?』


『そうだともっ! 俺の俺は俺と俺こそが、この国の主人たるべき存在なななななのだぁっっっ!!』


 虎楼閣が手で頭を捏ねる仕草をしながら、絶叫する。その狂乱した様な声で何度も何度も自分こそが王に相応しいと語る。


「ふむ、どうやら奴も虎楼閣同様、白龍に取り込まれたか……」


「白龍に? どういう事だ、イオス?」


「白龍の組織片を使って魔装甲冑のコントロールを奪ったはいいが、ここには我の様な白龍の意識も、その白龍と契約したマスターの様な操手も居ない。あるのはただ、相手を侵食し同調させる為に調整された白龍の一部だけだ。流石に魔装甲冑程容易では無いようだが、奴の意識もそうして白龍に喰われているのさ」


「なるほど……じゃあ、今はチャンスって事か!」


『俺は兄をお前を俺を誰を! 殺す殺してころころころころ!!』


『そうかよっ!!』


 俺は再び飛び上がると、今度は武器を持った腕に狙いを定め、両腕の剣を振り下ろす。通常であれば対応されたかもしれないが、俺の剣は易々と虎楼閣の左腕二本を斬り飛ばした。

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