表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第二章 商業国家ミンバ/吼えよタービュレンス
21/95

2-2

「やれやれ、マスターは演技派だな。おまけに人の忠告を聞かない頑固者だ」


 イオスの呆れたような声がする。


「悪かったよ。だけど放っておけないだろ? とりあえず、ああいう自分の損得が一番大事な手合いには、それ以上にイっちゃってるヤバイ奴だと思わせるのが効果的だと思ったんだけどなぁ」


「ふむ、確かに効果的だったろうな。ただし、効果があったのはあの者達だけではなさそうだが……とりあえずマスターは、後ろの子供達にちゃんと説明した方がいいだろう」


 そう言われ振り返ると、あの怯えていた二人の子供と一緒に赤髪の子も目に見えて怯えている。どうやらあいつらを追い返す俺の方が怖かったようだ。


「あ、あのさ……」


 これ以上刺激しないよう、ゆっくりとしゃがみ、子供達の目線に顔を合わせる。


「俺、黒田竜也っていうんだ。信じられないかもしれないけれど、さっきの怖いのは演技で、君達を助けたかっただけの、ただの通りすがりなんだよ」


 笑顔で丁寧にそう話しかける。最初に応えてくれたのは、やはり赤髪の少年だった。


「……本当か? 兄ちゃん、だいぶヤバイ奴だったぞ?」


「本当、本当! あれは演技で、君達を助けたかっただけ! 何も他意は無いんだよ」


 まだまだ疑っているような目で見てくる少年に、身振り手振りで弁明する。恩を着せるつもりはないけれど、怖がられて終わるのはさすがに嫌だ。


「……クスッ、そのお兄さんは本当に悪い人じゃないですよ。むしろ良い人……う〜ん、ちょっと面白い人でもあるかな?」


 リミルが笑いながら合流し子供達にそう話すと、ようやく子供達の顔に安堵の色が見えた。


「おやおや……ふふふ、これは人徳の差かな、マスター?」


「自覚したからそれ以上言わないでくれ、イオス……あ〜、とりあえずそういうわけだから、安心したかい?」


 怯えていた二人がコクリと頷く。赤髪の少年は腕組みしたまま明るく笑った。


「アハハ、その様子じゃあ本当に悪い兄ちゃんじゃなさそうだな。助かったよ、ありがとう! 僕はジルバ、こっちの二人は姉妹でお姉さんのルカと妹のタニアだよ」


 ジルバが紹介すると、二人の女の子がペコリと頭を下げ、「助けてくれてありがとう、お兄ちゃん」と微笑む。


「どういたしまして。さっき、あいつらが商売しているって言ってたけれど、三人は何を売ってるんだい?」


「二人の姉さんが貝細工の名人でね、出来た細工の一部を露店で売ってるんだけど、物凄く売れるんだ。僕はたまにその手伝いをしてるだけだけどね」


「なるほど、それでお金があるって思われて狙われたのか」


「うん……僕達が子供だけだからって、あいつら! ……それにしても、ゴッチェ商会の連中相手にあんな啖呵をきれるなんて、兄ちゃん凄いなぁ!」


「ゴッチェ商会?」


「なんだ、兄ちゃん旅人かなんかか? ゴッチェ商会って言ったら、このブエラリカじゃゴロツキの集まりで有名な悪徳商会さ。それも最近どんどんやり方が酷くなってるんだよ!」


 ジルバが腕組みをしながらウンウン頷く。どうやら本当にヤクザだったようだ。


「まあ、兄ちゃんくらい強ければ、あいつらも何も出来ないし心配いらないけどね。それに僕だって、兄ちゃんが来るのがもう少し遅ければ、得意な術式であんな奴らやっつけてやったさ!」


「そうだな、お兄さんは強いんだぞー。だから、またあいつらで困った時には、無理せずお兄さんに相談してごらん」


 強がるジルバの頭を撫でると、ジルバはくすぐったそうに目を細める。元々、猫っぽい顔立ちなので、こうすると尚更猫のようだ。


「へへへ、それじゃあ、その時には兄ちゃんにお願いしようかな。ところで、兄ちゃんは何でブエラリカに来たんだ?」


「そうだな…なあ、この辺りにリズさんって人住んでいるかな? 魔装技師で結構有名な人みたいなんだけど……」


 ジルバがこちらを見上げ、その丸い目を大きく開く。


「何だ、兄ちゃん達はリズ姉さんを探してたのか!」


「姉さん? ジルバはリズさんの弟なのか?」


「あっ、違うよ。リズ姉さんは知り合いだけど、本当の姉さんってわけじゃないんだ。歳だって、ずっとずっと離れているし。ただね……」


 フッとジルバが気まずそうに視線を逸らす。


「ただ、姉さんって呼ばないと凄く怒るんだ……」


「貴重な情報ありがとうな、ジルバ」


 ジルバの肩をガシッと掴む。この後出会えるだろうリズさんが、どんな見た目でどんな人だろうと年齢だけは聞くまい。


「それじゃあ、この近くだし、僕がリズ姉さんの家まで案内しようか?」


「おおっ、それは助かるよ。でも、ルカとタニアは良いのかい?」


 女の子だからか、この辺りでは珍しいのだろう、リミルの民族衣装のような服を見ていた二人が振り向く。もっと珍しいだろう俺のジャージに興味を示さないのは哀しいが。


「あ〜、二人は姉さんの所に戻らないといけないんだ。大丈夫、僕が案内するさ」


 自信満々といった顔で胸を張るジルバ。

 俺達は二人の姉妹と別れ、ジルバにリズの家へ案内してもらう事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ