到達
血の滴る体を引き摺って、剣士は再び刀匠 白の元までやってきた。
傍らには、剣士を支える何でも屋がいる。
刀匠 白は自らの住処である薄暗い洞窟の外で二人を待っていた。
理由は簡単である。本日、剣士に引き渡す大剣 オオシロが洞窟に入りきらないからである。
それは、大きな剣だった。まるで、一見大きな山に普通の剣の持ち手がついているだけの剣には見えないほど大きな剣であった。実際、三人がいる場所からは、剣先が見えない。ゆうに10kmは超える大剣が二人の目の前にはあった。
「こんにちは。お疲れ様。ようやくたどり着いたね。これが、おまえにあげる剣 最大の剣 オオシロだ。
すごい大きな剣だろ。さて、受け取ってくれたまえ。と言いたいところだが。ここまで、生き抜いたおまえに褒美をやらなくてはいけないね。さきほどの、イロシロ使い君との戦いは実に見事だったわけだし。」
「いえいえいえいえ、褒美なんて結構です。この剣士さんも望んでいないと思います。なので、さっさとその剣を渡して消えちゃってください。どうぞ、さようなら。」
「これは、これはラクラクさん。相変わらず辛辣きわまりないお言葉だ。けれど、残念。無念。そういうわけには行かない。褒美は、受け取ってもらう。褒美として、その剣士の左手と右足を貰おうか。」
その瞬間、剣士の左手と右手は消え去り、剣士はその場にドタッと落ちた。
「全く、全くあなたは最低だ!最低な人だ!やりすぎですよ。褒美なんて言って、与えるのではなく奪っていく。そんな不条理があっていいのですか?これでは、剣など振れないではないですか。これでは、剣を握ることすら出来ないなはないですか。これでは、『月』まで、行けないではないですか。あなたは、やっぱり最後の最後に、私たちを裏切るのですね。」
「ワタシは天の邪鬼だからね。ついついそういったイタズラみたいなことをしたくなるんだ。ちなみに、褒美は、まだまだまだまだあげるつもりだよ。次はね。剣士さんの目を貰おう。それから、それから、腎臓ももらうとしようか、肝臓なんかももらっていいかい?あとは、そうだね。褒美らしいものもあげたいね。ワタシだって、鬼じゃないからね。出血をとめてあげよう。次に、おまえたちの現状ってやつを教えてあげよう。『月』の動きを、世界の動きを語ってあげるよ。」
「何が褒美だ!ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。見ろ!今の剣士さんを!あなたに奪われて、奪われて、それでも地べたを這いずり回りながら剣の柄を持とうと進む。この姿を見ろよ!愛らしいじゃないですか?いとおしいじゃないですか?ただ、その復讐心のために、自らをこんなにも犠牲にして、もう途中で折れてしまったっておかしくない。こんな哀れな状態で、それでも、それでも一心不乱に前に進もうとする。この姿をみて何も感じないのですか?何も感じず、ただ絶望だけを与えて楽しいのですか?助けて下さいよ。せめて、せめて、『月』を破壊するその瞬間まででいいんです。その唯一の願いを奪おうとしないでくださいよ。 」
「はっきり言って、楽しいよ。ラクラクさん。君は色々勘違いしている。まず、その醜く地べたを這いずり回る剣士は、ワタシに剣を作る代わりに全てを差し出したのだ。わかるかい?全てだよ。彼の命も、意思も、なにもかもがワタシの物だ。だから、剣が完成したと同時に彼を殺したところで、全てを奪ったところで、誰かに文句を言われる筋合いなど一切ないのだ。
ワタシは、自分の作った剣が一度も振られることなく終わってしまうのが嫌だから、口にくわえて振れる程度に剣を扱い易くして、そいつを生かしてやっているだ。それなのに、ワタシの善意で生かされているだけのウジ虫を見て、可愛そうだから助けてやってくれ?そんな馬鹿なことがよく言えたものだ。君は馬鹿か?それとも泣き叫べば誰かが助けてくれるそんな温い世界の住人か?違うだろ?ラクラクさん。君だって、誰も助けてくれない地獄のような世界を生きてきたはずだ。君は少々賢くて、そしてそれを喋りすぎるから、皆から避けられ迫害されてきたはずだ。『月』からも爪弾きにされてきたんだろう。だから、何でも屋なんていう職業に身をやつし、誰も学ばなくなった科学を学び、知恵と技術を身につけ生きてきた。違うかい?ラクラクさん。このウジ虫を見て、復讐の一番大切な核を悪魔になんて頼むからそういうことになるのだと、笑って見ているのが一番君らしいんじゃないのかい?そうだろう?何でも屋ラクラクさん。」
「うるさい。うるさい。うるさいですよ。あなたはペラペラペラペラとよくしゃべりますね。大嫌いですよ。確かに、私が生きた世界は地獄でした。誰も私の話なんて聞いてくれない。誰もが私の話をけむたがる。『月』に支配されて、ただ媚びへつらって、学ぶことも忘れた馬鹿ばかり。そんな周囲に絶望しながら、喋ることを心底やめたくない自分に辟易しながら生きてきました。だから、なんだっいうんですか?だから、どうしたっていうんですか?そんなのどうでもいいじゃないですか?私はこの剣士さんに惚れてしまったんです。愛してしまったんです。それを助けなくてどうするんですか?それを助けようとして何が悪いんですか?もういいですよ。あなたに、あなたなんかに哀れみを求めたのが間違いでした。ミスでした。ところで、ところで、困りました。剣士さんは見事に本能だけで、剣までたどり着いて、柄をくわえましたがそこから動くことができません。私も、剣士さんを抱えて動こうにも両腕がないのでできません。さてさてさてさて、どうしたものか。さてさてさてさて、どうしよう。」
「ふふふふふふ。ラクラクさん。まだ、ワタシの話は終わってないんだ。勝手に話を進めないでくれよ。ワタシにも喋らせてくれなかな。少し話を戻さして貰おう。褒美の話だ。そこが、まだ終わってないんだよ。」
「何度も、言いますが褒美なんていりません。必要ありません。私たちは、今どうやって『月』にいくのか思案中なんですよ。だから、邪魔しないでくださいよ。邪魔しないで、どこかに行っちゃってくださいよ。はっきり言いますが、あなた邪魔です。今残り少ない私たち二人の時間なんですよ。大切にさせて下さいよ。」
「ここまで、邪険にされるとは、流石のワタシも少し凹むよ。だが、まだ『月』を諦めていないんだな。それならば、聞いておいた方がいい。ラクラクさん。君がとても大切にしている情報ってやつをね。」
「わかりました。しかたないですね。聞いてあげますよ。聞かしてもらいますよ。そこまで、言うのですから、つまらないものだったら、怒りますよ。もうすでに、大分怒っているのですがさらに怒ってしまいますよ。それを含めて、さあさあさあさあ、手短に話してください。語ってください。」
「『月』は、君たちに向けて化学兵器を派遣した。アンドロイド、ロボット、マシーン、完全自立型殺戮機械。なんて言えばいいのだろうか。君たちを殺すために、旧文明の兵器が大群でこちらに向かっている。あまり、時間はない。つまり、ワタシがその剣士に何をしようが、何もしなくとも、『月』にたどり着くことなんて無理だったのだよ。分かったかい。『月』には、勝てない。君たちは、高火力の兵器に八つ裂きにされ、穴だらけにされ、燃え尽くされて死ぬんだ。残念ながらね。」
「そ、そうですか。それは、それは危ないですね。不味いですね。ってか、敗色濃厚ではないですか。でも、まだまだまだまだ諦めませんよ。諦めたりなんてしませんよ。」
「その精神力は凄いの一言だ。そんなおまえらに朗報だ。『月』反対派が、レジスタンス達が雑多な小火器を持って健気にも立ち上がった。笑えるだろ。というより、まだそんなものが残っていたなんて驚きだよ。まぁ、とにかく君たちを守ろうとしてあの腰の重たい連中が立ち上がり、『月』を破壊するという使命を君たちに託したんだ。君たちは、この一年でずいぶんと有名になったからね。あの、ヨリシロ、カルマ、イロシロを倒したんだから当然と言えば、当然かな。まぁ、そんなレジスタンス達も、直ぐに『月』の勢力に蹂躙されてしまうだろうけどね。残念だ。実に、残念で、面白い。笑ってしまう。無理なんだよ。『月』に勝てるわけないのにね。戦うなんて。あんな兵器を持ち出しても勝てないことなんて目に見えてるのに。戦争だ。これは、戦争だよ。『月』と人間の戦争だよ。馬鹿馬鹿しくて、笑える。多くの善良で、知恵ある人間が死ぬだろう。なんのために?それは、君たちのためにだ。おかしい。おかしい。面白い。楽しい。最高だ。やれ!やれ!やれ!やれ!戦争だ。壊せ、殺されろ!やれ!やっちまえ!潰し合え!そして、負けて死ね。滅びろよ。馬鹿どもが!ハハハハハハハ、フフフフフフ、ハハハハハハハ。」
「うるさい!うるさい!うるさいですよ。黙ってくださいよ。なにが、そんなに面白いのですか?何がそんなに楽しいのですか?馬鹿はあなたですよ。人の気持ちを踏みにじって、高笑いしてなにが楽しいと言うのですか。やってやりますよ。私が、『月』を壊してやりますよ。ぶっ壊してやりますよ。私が、みんなの気持ちを一心に背負ってやりますよ。剣士さんの思いを継いでやりますよ。やりますよ。私は、何でも屋ラクラクさん。何でもできるから何でも屋なんです。」
「どうやって?言っておくけど、その剣はそこの剣士以外には、使えないよ。君では持ち上げることさえ出来ない。それでもかい?それでもまだ諦めないのかい?」
「それならば、結べよ。固定しろよ。私とこの剣士さんの体を紐かなにかで、で縛って固定しろよ。さあさあさあさあ、やってくださいよ。そしたら、私がこの足でなんとか、どうにか切り抜けて『月』のもとまで運んでやりますよ。切り抜けてやりますよ。どうですか?悪くないでしょ。」
「悪いね。悪いよ。なんで、この世界最高の刀匠 白がそんな雑事をしなくちゃいけない?そんなのするわけがないだろ?すると思ってるのか?馬鹿にするな、ふざけるな、調子に乗るな。ワタシはそんなことしない。そんなことは、しないとも。もし仮に本気でそんなことを頼むと言うのならば、その代償は?対価は?その見返りはなんぞや?どうする?そんなしょうもないことをワタシにさせる代わりにラクラクさん。あなたは何を支払う?答えるチャンスは、一度きりだ。対価に見合わぬ答えだったそのときは、ワタシは君に今後一切手を貸さないよ。さて、何を支払う。」
「全く、全くふざけるな、何が対価だ。何が、代償だ。ちょっと、手を貸してくれるだけの話で大袈裟な。いいよ。いいよ。わかったよ。わかりましたよ。そんなことを言うのであれば、私の全てを奪うといい。ただし、条件がある。私のすべては、そんなに安っぽいものではない。それに見合った対価として、私たちを結んで、『月』まで運ぶことを所望するよ。あの剣があるならできるでしょう。私たちの前に来るのに使っていたノリシロがあるでしょう。それで、運んでくださいよ。そして、『月』を壊したあとは、好きにするといい。私の一切を奪えばいい。この言葉も、声も、体も、命も、感情も全てあなたにくれてやる。くれてやるから、さっさとしろよ。これでいいだろ?これが望みなんだろ?早く、早く、早くしろよ。」
「これは、意外だ。想定外。予想外。確かに君の全ては安くない。けど、なぜだ?なぜ君はそこまでするのだ?ラクラクさん。君らしくない。君らしくもない。」
「何度も、何度も言っているでしょう。私が、この人を愛しているからですよ。愛している人が、全てをかけて、全てをとしてやろうとしていることを全身全霊、全てをかけて手伝って何が変だ。何がわからない。わかれよ。天才なんだったらわかって当然でしょう?」
「本気でいっているのか?
君は、惚れたと言うのは本当に、本気だったのかい?
君が愛を語るのは、あまりにもおかしく。君が愛を語る言葉は、あまりにも薄っぺらく。君が愛を貫くのは、あまりにも滑稽だ。それは、間違いか?それは、勘違いか?ワタシはてっきり、ついぞ、すっかり、愛だの、恋だの、惚れただのは、君の冗談だと思っていたよ。」
「ふざけるなー。黙れよ。黙れよ。何が冗談だ?人の恋心を言うに事欠いて冗談だと?ふざけるな。黙れ。しゃべるな。もう二度とおまえの言葉なんて聞きたくない。聞かない。私の気持ちなんてお前みたいな悪魔にはわかるものか!私は、おまえの言う通りずっと、一人で生きてきた。助けてって、言っても、誰も助けてくれない地獄の中で生きてきた。『月』に従うだけで、自分で考えることを放棄した馬鹿な大人たちに囲まれて、それはおかしいといくら喋っても誰も聞いてはくれなかった。誰も、私と会話しようとしてくれなかった。人が私に喋るのは、私に語るのは、私に対する否定の言葉だけだった。だから、私は、人の言葉なんて聞かなくなった。代わりに喋った。喋って、喋って、喋りまくった。いつしかそれだけが楽しみになっていた。そしたら、もう私の近くに人はいなくなっていたよ。否定する人も、批難する人も、馬鹿にする人も、誰も私に寄り付かなくなった。私は、それでもよかった。私は、もうそのときには喋るだけで幸せだったから。それでよかった。けど、この世界は、一人で生きていくのが簡単ではない。なんの力もない小娘一人。地獄のような日々だったよ。誰も助けてくれない。いくら助けてと言っても手を差しのべてくれる人はいない。だから、私は、学んだんだ。他の馬鹿どもが放棄した知恵を、技術を、歴史を、科学を、仕組みを必死になって勉強した。そして、何でも屋ラクラクとして、『月』に有用性を認めさせることで生き延びてきた。そんな中、私は、この剣士さんに出会った。最初はただの標的だった。『月』に逆らう奴を、『月』の命令で殺すだけの仕事だった。けど、私は負けた。負けて殺されそうになった。でも、この剣士さんは助けて、許してって言ったら許してくれた。そんな人今までに一人たりともいなかった。本当に、本当に死を覚悟したのに、この人は、許してくれたんだ。まさか、本当に許してくれるなんて思ってもみなかったから、びっくりして、嬉しくて、そしてちょっと、好きになった。最初はちょっと、だけだった。けど、一年もの旅のなかで私は、この人にどんどん引かれていった。この人は私の話を遮らずに聞いてくれた。確かに、言葉はなくしていた。聴覚もなくして、理解力も、判断力もなかった。でも、目を見ればわかった。この人は私がどんなに喋っても拒否しない。受け入れてくれている。今まで、皆が、誰もがうっとおしがって聞こうともしなかった私の話をこの人は聞いてくれた。私は、一人ではなくなった。それが私の心をどんなに満たしたか。それが、私の孤独をどんなに埋めたか。おまえには、わからない。確かに、この人は、馬鹿で、愚かで、刹那的かもしれないけど、私にとって大切な人だ。大好きだ。そんな、私の気持ちを馬鹿にしたな。私とこの人の関係を笑ったな。ふざけるなよ。なにが、滑稽だ。なにが、薄っぺらいだ。薄っぺらいのはおまえの方だ。白!おまえこそ、薄い。薄っぺらい。所詮おまえは、ただの悪魔だ。いかに、人の言葉を学ぼうとも、いかに人の感情を集めて模倣しようともそれは、本物には到底及ばぬ偽者だ。人間の機微なんて、情緒なんてわかりはしない。当然私の気持ちはわからない。さあさあさあさあ、早くしろよ。足りなくはないのだろう。対価としては、申し分ないのだろう。私は、この人の願いをかなえて死んでやる。見事に、無様におまえに全てを奪われて死んでやるから。さっさと私たちを縛って、『月』の元まで連れていけ!壊してやるよ。愛は、世界を壊すんだ。愛が、世界を壊すんだ。私たちの熱くて、深く、そして強い絆の力が世界に破滅をもたらすんだ。やらせろよ!あの憎たらしい『月』を壊してやるよ。さあ、悪魔よ!人間に力をかせよ。」
「おもしろい。おもしろい。おもしろい。
いいよ。対価は、代償は十分だ。何でも屋ラクラクさん。君の全ては、ワタシのものだ。さあ、行けよ。『月』を壊せるものなら壊してみろよ。」
「壊すよ。壊すっていってんだろ。だから、早く私と剣士さんを繋いで、『月』のところまで、運べよ。ノリシロがあるんだろ?空間すら自在に繋げる剣なんだろ?」
「全く、君は急に口が悪くてびっくりする。それが人間と言うものか?激昂というものか?おもしろい。おもしろい。確かにワタシにはわからない。わからないけど、おもしろい。さて、まずは二人を繋げよう。しかし、ただ繋げるのでは面白くない。こうして、繋げよう。」
白がそういうと、どこからともなく現れた剣が二人を、順に貫いた。まずは、剣士を掬い上げるように刺し、そしてそのまま、ラクラクさんを刺す。それは、まるで意思を持った剣のように動いた。そして、次々と同じように、二人を串刺しにする剣が飛んでくる。
1本、2本、3本、4本、5本、6本。
計6本が、二人に突き刺さり、二人の体を固定した。
剣士は声にならぬ呻き声をあげるが、その口にはしっかりと巨大な剣の柄が加えられていた。
「うっ、あっ…」
ラクラクは、小さく悲鳴をあげ、その表情は苦痛に歪む。しかし、その足は地面を踏みしめ、自分と剣士の体を支えていた。
「さて、遠くで戦闘の音が聞こえているね。レジスタントたちが次々と殺されているようだ。さあ、復讐の時間だ。送ってやろう。この悪魔の刀匠 白が君たちを『月』まで運んでやるよ。行ってこい。その復讐心で、その愛で、世界を滅ぼすのだろう?『月』を壊すのだろう?いってらっしゃい!ワタシはそれを見届けよう。」
「やるよ!私は、剣士さんはやるよ。全てをかけてこの一撃を『月』に向かって叩き込む。たとえ、世界が困っても、たとえ、世界が滅んでも、たとえ人間が息絶えたとしてもそんなことはどうでもいい。どうでもいいだ。私とこの剣士さんは、これでおしまい、さよならだから。先のことなんて知ったことじゃない。壊すよ。私たちは『月』を壊す。どんな代償を払おうとも、どんな苦痛があろうとも、どんな地獄が待とうとも、私たちは『月』に挑み、そして勝つ。今まで、負けるってことは死ぬことだったけど、私はその考えは捨てたんだ。私にとって負けとは、もはやこの愛を示せなくなること。つまりは、『月』にたどり着かないことだ。わからないだろ?別にいいよ。わからなくても。どうでも、いいよ。おまえが分からなくてもやることは変わらない。私たちは『月』を破壊する。さぁ、運べ。今すぐ運べ。やるよ。やってやるから、運べよ、運べ!」
「いいよ。いってらっしゃい。さよなら。全く最後まで君はうるさい人だったよ。人間の感情とやら、愛の力とやらを、ワタシに見せてくれ。」
白は、そういうとどこからか歪な形の刀を取りだし、ゆっくり慎重に振る。ラクラクさんと剣士は気がつけば、『月』の目の前に移動していた。




