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エピローグ

刀匠 白は剣を作っていた。

剣の名前は、ナニシロ。

剣の持ち主は、その代償として50年の寿命を支払った。


刀匠 白は手を止めて考える。

少し前に作った最大の剣 オオシロについてである。

いや、その使い手とその付き人についてである。

「まったく、あの二人が楽しすぎて、仕事に集中できないよ。さて、今気になるのは『月』がどこまで仕組んでいたかってことだね。ワタシの見立てでは全てを。なんだけど。どうだろうか?

あの二人も、ワタシも、レジスタンスも全部『月』の手のひらで踊っていただけなのだとしたら笑えないね。『月』は、あの剣士の目的をすべて知っていて、レジスタンスを炙り出すための餌として使ったってのは、間違いなさそうだ。だから、わざわざ負けるのを承知で、小出しで英雄たちを二人のもとに派遣したんだろう。そして、剣士に英雄を倒させて、レジスタンス達の希望に祭り上げた。そもそも、剣士は、最初の『月蝕』の被害者って話だったけど、最初の『月蝕』なんて、もう何百年も昔の話なんだから、剣士を野に放ったのだって『月』の仕業に違いないだろう。ワタシが気になっているのは、そこではないんだ。あのラクラクさんの協力すら、あの気持ちですら『月』の思惑通りかってことだけど。そこは、ワタシは違うと思いたい。思いたいけど、どうなんだろうね。ワタシには、わからないよ。わからないから、集めるんだ。君みたいな人から人間らしさを少しずつ集めれるんだよ。そして、観察して学ぶんだ。でもさぁ、今さら、よく『月』に挑む気になるよね。レジスタンスは、壊滅したんだろ?ワタシは『月』には、勝てる気がしないね。よくやるよ。さて、完成だ。受け取ってくれ。これが名刀 ナニシロだ。この剣は、なにしろ、なにしろ、よく切れる。なにしろ、なにしろ、壊れない。なにしろ、なにしろ、よく飛ぶよ。さて、君はこいつで、『月』を破壊できるかい?ワタシは、今回は介入せずに見ているだけにするよ。世界を壊すというならば、好きにするといい。そうだ。ついでにこの最大の剣もおまけでつけようか?この剣は大きいだけで役に立たないし、邪魔で仕方ないんだ。なに、見た目より重たくないから持ち運べると思うよ。邪魔にはなるだろうけどね。」


『月』は、壊れない。『月』は、壊されない。

広範囲の太陽光を一気に吸収し、周囲を闇に包みこみ、唯一『月下都市』のみを照らす。人類唯一のエネルギー源。人類最後の化学兵器。人々は『月』の恩恵を受けて生き長らえている。地上には、人間以外の動物はもういない。毒のある草木以外はもう生えない。『月下都市』以外で、汚染されていない水は生み出せない。それでも、人間が生きていられるのは間違いなく『月』があるからであり、『月』に人間が支配されているからである。


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