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プロローグ

剣士は復讐のため剣を取る。

そして、伝説の刀匠 白の元にたどり着いた。

暗い洞窟の中、その刀匠は硬い地面にあぐらをかいて座っていた。真っ白な浴衣を来て、真っ白な仮面をつけ、ニタニタと笑う。仮面は口の部分だけが切り抜かれ、口の部分のみが、剣士から見ることができた。



「どんな剣がおのぞみだい?」

「大きな剣がいい。切れ味よりも、固さよりも、軽さよりも、重さよりも、なによりもまず大きな剣がほしい。」

「ほぉ、そりゃあんた珍しい要望だな。」

「可能か?」

「可能か不可能かで言えば、それは可能だ。この世のどんな剣よりも巨大な剣をつくってやることくらい

ワタシには造作もない。なにせワタシは、世界一の刀匠 白!地上最高のあの傑作 ノビシロ。あれを作ったのはワタシだ!ワタシに作れない剣などない。」

「ならば、頼む。」

「なんだい。にいちゃん!のりが悪いな。もっと、もっと驚いてもいいんじゃないかい?あのノビシロを作ったのはあんたかい?ってな具合によー」

「あなたが偉大な刀匠であることは既に知っていた。故に驚きようがない。」

「なんだい、なんだい。つまらないねぇ。そのしゃべり方も、その面も、その雰囲気も、その腰に刺さってる6本の剣もなにもかも!あんたは、ひどくつまらない男だよ。」

「ワタシは、偉大な刀匠 白。そんなワタシは、あの有名な、いや勇名な聖剣 サンシロをつくった。並の剣士には、面白くない剣士には、並の報酬では、並の対価では、並の代償では、ワタシは剣を作りたくない。」

「金ならばいくらでも出す。億か?兆か?京か?」

「いらない!いらないね!ワタシは世界の財産的刀匠 白。金なんかで動くかよ。ワタシが何をほしいかわかるかい?わかるかな?わかるよな?わかるだろう?いいや、わかれ。わからなければ、去れ!お前に才能はない。

お前にワタシの剣を持つ資格はない。

お前に剣を持つ資格はない。

お前に生きている価値はない。

さぁ、どうだ。お前はワタシに何をかける?

お前はワタシに何をくれる?

お前が払う代償とは、なんぞや?」

「俺の全てを捧げよう。」

「よろしい!ならば作ろう。

史上最大の剣を!歴史上類を見ない大きさの剣を!

なによりも、なによりも、なによりも、なによりも大きな剣を!この世にある全ての建造物を超える大きさの剣を!作って、あげよう。そして、貰おう君の全てを。しかし、ワタシも鬼ではない。折角剣を作ってもそれを振えなければ、それが振るわれなければ意味はない。だから、よって、故に、しかたなく、取り立ては少しずつ行ってあげよう、猶予をあげよう、だが許してはあげない。まずは、前金として君の言葉を貰おう。君はこれで、一生涯まぁ、短い一生になるのは確定してしまったが、言葉を喋れないし、言葉を理解することすらできない。言葉という感覚すらも失われる。ただただ、直感、感覚、言葉にもできないもやついた感情のなかでしか生きていくことができない。そんな空しい人生の幕開けだ。いいな?ダメだといってももう遅い。」

「……」

「よろしい!沈黙を肯定ととらえよう。

まぁ、君は言葉を奪われているからもうワタシの言っている言葉の意味もわからなければ、返答することも叶わないのだが、残念ながらワタシへの依頼にキャンセルはないのだ。諦めるのだな。」

「……」

「さてさて、剣を作るのに少し時間を頂こう。

そうだな。1年ほどは欲しい。ワタシに時間を寄越して貰おう。既に君のすべては、お前の全ては、貴方の全ては、ワタシのものだ。嫌とは言わせない。完成するまで、どっかで時間でも潰すといい。」

「……」

「おっと、そうだった。そうだった。

言葉を亡くしたんだ。ワタシの高尚な言葉が通じないんだった。これは、不便きわまりない。伝えたいことが伝わらないとは、面倒だ。面倒だが、とりあえず、直感にうったえることにしよう。そうしよう。さぁ、ここから出ていくのだ。さぁ、感じろ。ワタシの真意を、ワタシの考えを、ワタシの気持ちを、感じるんだ。さぁ、さぁ、さぁ、さぁ」


刀匠 白はけたけたと笑う。

剣士はその姿を身じろぎもせず、ただ呆然と見つめていた。胸には、よくわからないモヤモヤとした感覚が渦巻いているが、それを表現するすべを剣士は既に失っていた。しばらくして、剣士は動きだし、洞窟の外に消えていった。


「さてさて、さてさて、これは困難、無理難題。大きな剣とはどうしたものか。大きすぎて、重すぎて、振れないものは、もはや剣とは呼べなやしない。それは、もはやただのオブジェクト。大きく、大きく、そして人にも扱える剣。これは、少々難題だ。しかし、しかし、しかし、しかし、ワタシは世界で唯一の不可能を可能にする天才 刀匠 白。既にアイデアならばある。なに、『月』の原理を利用すればわけもない。」


刀匠 白は一人楽しそうに語る。

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