ジャコウネズミの先生
みなさんが日頃 使っている言葉は
通貨のようなものです。
はい お金のことです。
通貨がなければ
わたし達の暮らしは大変不便なものになるでしょう。
通貨は国によって違います。
住んでいる場所によって、実際に使用する人びとによって
通貨はその価値の重さが異なるものなのです。
通貨自体はなんの変哲もないものです。
通貨は人の手から手へと目まぐるしく運ばれながら
増えたり減ったりしながら
あちこちを行き来します。
一円は一円のまま。
一円に泣くこともあれば、笑うこともある。
働いて手に入れたお金や
がんばって貯めたお金をどのように使うか。
悩むところですね。
お金の使い途ほど難しいものはありません。
人によっては、百円くらいなら簡単に使ってしまうかも知れません。
でも、百万円なら?
百円を高いと感じる人もいるし
百万円くらい安いものだと思う人もいるでしょうね。
お金の価値は、お金そのものにもあるけれど
本当の価値は、その使い方にあります。
言葉もそうです。
言葉の価値を決めるのは
わたし達であり、法律やルールではありません。
一円の言葉も積み重ねれば一万円の言葉になる。
百万円の言葉もある人にとっては、一円の価値もない。
どんな風に使ってあげることが
言葉の価値を生かしてやれることになるのか
わたし達はもっとよく考えて使うべきかも知れませんね。
その言葉の真の価値を引き出すためにも
わたし達は
安易な言葉で人の心を惑わせてはいけないのです。
ジャコウネズミの先生は
丸めがねをクイと持ちあげて教科書を閉じました。
生徒たちは
先生が怒っているのか
それとも楽しんでいるのか
よくわからないなあ、と思いました。