ぞく・始ま・・・れなかった
これは『始ま・・・れなかった』と同時に書き上げたものです
あの子にはプロローグなんて荷が重すぎたので、今回は私がやります。
ですから、破天荒な女子と一言だけ喋った人のことなんて、可及的速やかに記憶の奥底から削除し、見なかったことにしてください。
・・・せめて、私が体格的に遅れがなければ、あの時にきちんと抵抗できたんですけどね。
女子だから、少しくらいは小さくても問題は無いですけど、割り切れないというか、コンプレックスと感じると抜け出せないというか・・・。
「おーい、愚痴になっているぞ」
あ、私としたことがとんだ失態を・・・。
「背を伸ばしたいなら、これを取るといいよ」
そうなんですか?
良い情報をもらいました。
「って、なんでキノコなの! 普通、牛乳とかじゃないの!? しかも、手渡しじゃなくて滑らせているし!」
「早く取らないと、見失っちゃうよ?」
「え? は、はい」
とりあえず、得体の知れないものは回収したほうがいいですね。
「馬鹿! それ、1UPキノコ」
「え? あ・・・、ゴメン」
「「1UP?」」
聞き返した瞬間、エコーの様に隣から私と同一の声が聞こえてきました。
恐る恐る声のしたほうへと顔を向けると、私と瓜二つを通り越して、クローンを見ている様にそっくりな人がいました。
「「どういうこと?」」
声量、タイミング、音程、仕種、表情、どれをとっても鏡を見ているとしか思えません。
「どうしよう・・・?」
「毒キノコは?」
「それだ!」
毒キノコ?
それに、1UPキノコってもしかして!
「「前回も倫理的に駄目って言ったよね?」」
「いやー、ついね。それより、これで元に戻るから」
再び、キノコが滑り始めた。
なんだか、正体がわかっていると、取る気がしない。
「ほら、見失っちゃうよ!」
「「あ、はい」」
もう画面の端の近くまで滑ってしまった。
どちらが取るか相談している暇がないので、慌てて手を伸ばします。
「「あっ!」」
もう片方の私も思考回路は同じです。
よって、打ち合わせをしなくても行動する内容、タイミングは必然的に同じです。
もちろん、今回も。
そのことを自覚した瞬間、目の前が真っ暗になってしまいました。
・・・。
ふと、目が覚めました。
「私の部屋・・・?」
夢落ちだったのでしょうか?
嫌な汗をかいたまま、自室を見回してみます。
すると、普段は勉強机の上に財布を置かないはずなのに、今日に限って置かれていました。
不審に思って、確認しようと手に持ってみると、1枚のメモ用紙が落ちてきました。
『バトルに負けたら、お小遣いは半分になるんだよ』
「もう許さないから!」
おっと、これ以上はR15指定をしないといけませんね。
『ガラガラ』←言うまでもない
「あっ、もう目が覚めたの?」
「・・・」
「あれ? どうしたのって、その関節を曲げる方向ぎゃ・・く」
『パタン』←何かが倒れる音
「おい、音だけ漏れてるぞ」
『プツッ』
登場人物の名前を募集します。
1.『ボケ役の少女』
2.『ツッコミ役の少女』
3.『ちょい役の人』
尚、あなたの先入観で3の性別は決めてください。