Hawk Miracle誕生
超高度からの急降下「Last Dive」発動。
しかし今回は違った。
急降下の途中で
「Sky Drift」が組み合わされる。
「Last Dive + Sky Drift」
前例のない複合技の誕生だった。
実況が絶叫する。
「急降下からのドリフト!?信じられない!これは新しい技です!」
観客席が息を呑む。
「すげぇ!」
「あんな技、見たことない」
「まるで本物の鷹みたい」
美しすぎる軌道に、全員が見とれていた。
技術的にも芸術的にも、完璧すぎる瞬間。
急降下からの加速と、空中でのドリフトによる軌道変更。
二つの技が組み合わされることで、想像を絶する機動を実現していた。
京真は完全に見入っていた。
「なんて美しい技だ」
勝敗を忘れて、純粋にその美しさに感動していた。
これまでレースを「勝つため」のものとしか考えていなかった彼が、初めて「美しさ」を感じた瞬間だった。
実況が命名する。
「これは奇跡だHawk Miracle!!!」
新たな伝説技の誕生瞬間。観客席が爆発する。
「Hawk Miracle!」
「奇跡の技!」
「12歳が作った新技術!」
SNSで瞬時に世界トレンドになる。
「#HawkMiracle」
「#奇跡の逆転」
「#12歳の天才」
「#Sky Runners」
複合技で得た驚異的な加速。
Aurora-9に猛追するRusty Hawk。
京真の驚愕。
「あり得ない。あの速度は理論上不可能だ」
だが現実に起きている。
心の力が物理法則を超える瞬間だった。
「まさか追いついてくる?」
京真の心に初めて恐怖が芽生えた。
同時に、興奮も感じていた。
観客総立ち。
「追いついた!」
「抜けー!」
「奇跡だ!」
会場全体が一つになって、Rusty Hawkを応援していた。
ゴール直前のデッドヒート。
1センチ差の勝負。
遼と京真、二人の想いがぶつかり合う瞬間。
「まだ負けない!」
京真も最後の力を振り絞る。
初めて感じる「楽しい」という感情と共に。
Aurora-9の真の性能を引き出そうと、必死に操縦する。
「君との勝負楽しい」
京真の心から、自然に湧き出た言葉だった。
だが結果はRusty Hawkがゴールラインを1センチ差で駆け抜けた。
大逆転勝利!
「ゴォォォール!!!勝者、Rusty Hawk!水城遼選手!!!」
会場が割れるような歓声に包まれる。
興奮のあまり立ち上がる観客、涙を流す子どもたち、拍手が止まらない大人たち。
地響きのような歓声が、街全体に響いていた。
迅と結衣が涙を流しながら抱き合う。
「やった!!!本当にやったんだ!」
「信じられない!奇跡だよ、本当の奇跡!」
迅は整備士として、こんな瞬間に立ち会えたことを誇りに思った。
「俺たちが支えたパイロットが、伝説を作ったんだ」
結衣はマネージャーとして、遼を信じ続けてよかったと心から思った。
「遼の純粋さが、みんなを感動させたんだ」
じいちゃんも工場のテレビの前で涙を流していた。
「よく頑張った。本当によく頑張った」
若い頃の自分を重ね合わせながら、誇らしげに微笑んでいた。
「お前は、俺が見つけられなかった答えを見つけたな」
京真は呆然としていた。
計算では説明のつかない結果。
だが、不思議と悔しさはなかった。
それより、初めて感じた「楽しい」という感情の方が大きかった。
「君は僕に何を教えてくれたんだ?」
レースには勝敗以上の価値があること。
楽しむことの大切さ。
心の力の素晴らしさ。
全てが新鮮で、眩しかった。
表彰台で、遼はいつもの笑顔で感想を述べた。
「みんなが応援してくれて、とても楽しいレースでした!京真くんもすごく上手で、勉強になりました!Hawk Miracleも、みんなが応援してくれたから生まれた技です!」
その純粋な言葉に、観客席からまた大きな拍手が起こった。
京真も表彰台に上がり、遼に向かって言った。
「君の飛び方、素晴らしかった。僕も楽しいレースというものを知ったよ」
初めて見せた素直な笑顔だった。
「これからも、お互い頑張ろう」
遼の返事。
「はい!今度は一緒に楽しく飛びましょう!」
二人の握手に、会場が再び大きな拍手に包まれた。
ライバルから友へ。
勝敗を超えた、美しい瞬間だった。




