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Sky Runners  作者: SKY
35/39

最後の直線


運命の分かれ道が近づいていた。

最終の長い直線区間。

ここでの勝負が全てを決める。


Aurora-9の絶対的優位は変わらない。

直線での速度差は、技術では埋められない物理的な限界がある。


しかし観客の期待は最高潮に達していた。


「奇跡を起こしてくれ!」

「最後まで信じてる!」

「Rusty Hawk!」


遼の表情にも変化が現れていた。

目の奥に宿る光は、これまでとは違う種類のものだった。


「みんな、ありがとう」


応援してくれる全ての人への感謝の気持ちが、心を満たしている。

街の人々、じいちゃん、迅、結衣、そして今日ここに来てくれた観客たち。


再び突き放される絶望的状況。

物理的な限界は厳しく、Aurora-9の速度には追いつけない。

観客席に落胆の声が漏れる。


「やっぱり」

「スペック差は埋められないか」

「頑張ったけど、現実は厳しいな」


京真も確信していた。

「これで終わりだ。所詮は旧式機」

冷静さを取り戻し、勝利への確信を深めていた。


だが、心の奥では複雑な気持ちもあった。


迅も結衣も、現実を受け入れかけていた。

「頑張ったよ、本当に」


迅が呟く。整備士として、できる限りのことはやった。

「遼らしい、素晴らしいレースだった」


結衣も涙ぐみながら言う。

勝敗より、遼が楽しそうに飛んでいることの方が大切だった。


でも遼だけは違った。

「でも、まだ終わらない!」


絶望的状況の中でも、諦めない心がある。

それは勝利への執着ではない。


もっと純粋で、美しいものだった。

「最後まで楽しもう!」


その言葉に、迅と結衣の胸が熱くなった。


「そうだ、最後まで遼らしく」

「それが一番大切なこと」


チーム全体の気持ちが一つになった瞬間だった。


遼の心に、今まで支えてくれた全ての人への想いが溢れる。

じいちゃんの優しさ、迅の技術への情熱、結衣の純粋な応援、街の人々の温かい声援、そして今日応援してくれている全ての観客たち。


「みんなのために、最後の技を」

新たな決意と共に、最後の瞬間へ向かう。


最も高い高度へ上昇するRusty Hawk。観客が気づく。


「あの機体、何をするつもり?」

「まさか、また急降下を?」

「あの高度は危険すぎる!」


京真も振り返り、その光景に息を呑んだ。

「あの高度は危険すぎる」

常識的に考えて、あの角度から降下すれば制御不能になる危険性が高い。


だが遼の目には、迷いがなかった。

「相棒、最後の飛行だ」


Rusty Hawkに語りかけるように、優しくスロットルを握った。



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