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Sky Runners  作者: SKY
34/39

第12話:決勝ラウンド(京真戦・後半) 奇跡の始まり


レースは最終局面を迎えていた。

データ上では勝負はついている。

Aurora-9の圧倒的優位は動かない。


だが、技術区間に入った瞬間、状況が変わり始めた。

カーブの連続する複雑なセクション。ここで、Rusty Hawkが真価を発揮し始める。


「Sky Drift」が自然に発動した。


空中での滑るような急旋回。

工業地帯で生まれたあの技が、最大の舞台で再び輝きを放つ。


観客席が「おおー!」と沸いた。

「来た!Rusty Hawkの十八番!」

「Sky Drift!やっぱりすげぇ!」


京真も驚いた。

「まさか、この区間で」

計算では、技術区間でもAurora-9が有利のはずだった。

しかし、あの古い機体は数値では測れない何かを持っている。


少しずつ差が縮まり始める。希望の光が差し始めた瞬間だった。

SNSでも瞬時に反応が起きる。


「#SkyDrift復活!」

「#RustyHawk まだやれる!」

世界中の人々が、この逆転劇の始まりに注目し始めた。


迅はピットで拳を握った。

「やった!あいつ、諦めてなかった!」

技術者として、データでは説明できない現象を目の当たりにしている。

古いRusty Hawkが見せる可能性に、心が震えていた。


結衣は涙を浮かべながら叫んだ。

「遼!信じてたよ!」

彼女の声援が、無線を通じて遼の心に届いているかのようだった。


ビル群の壁面を利用した「Wall Run」が発動する。

鷹のような優雅な飛行フォーム。

郊外サーキットで生まれたあの美しい技が、都市の壁面で再現された。


「Wall Run!」

「来た!」

観客席が総立ちになった。


実況が絶叫する。

「Rusty Hawkの真骨頂です!まさに都市を舞う鷹!」


美しすぎる飛行に、京真も感嘆せざるを得なかった。

「なんて美しい」

彼は初めて、技術や戦略を超えた何かを感じていた。

レースにも芸術性があることを、この瞬間初めて理解した。


Aurora-9は確かに速い。

完璧な設計、最新の技術、申し分ない性能。

だが、Rusty Hawkには別の魅力がある。


「これが楽しむということなのか」

京真の心に、新しい感情が芽生えていた。


順位がどんどん上がる。5位、4位、3位…


「まだ分からない!」

観客の期待が最高潮に達する。


「やっぱりRusty Hawkはすごい!」

「最後まで諦めない心が違う!」

子どもたちの大合唱が会場に響く。


「がんばれー!」

「Rusty Hawk!」

迅と結衣も興奮して抱き合った。


「やったー!」

「信じてて良かった!」

工場のじいちゃんも、テレビの前で拳を握っていた。


「そうだ、その飛び方だ。それがお前の本当の力だ」

昔の自分を重ね合わせながら、遼の成長を見守っていた。


でも京真は動揺していた。

予想外の展開に、初めて計算が狂い始める。


「なぜそんなに速い?」

完璧だったはずの戦略に、ほころびが見え始めた。

データには表れない、心の力というものがあることを、彼は理解していなかった。


「このままでは?」

初めて感じる焦りの気持ち。

勝利のみを追求してきた京真にとって、予想外の感情だった。


だが同時に、胸の奥で何かが熱くなっていた。

これが「楽しい」という感情なのだろうか。



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