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Sky Runners  作者: SKY
33/39

弱点露呈


最後の長い直線区間に入ると、Aurora-9が完全な独走状態となった。

2位以下を大きく引き離す圧倒的なスピード。


「これが現実だ」

京真の冷徹な宣告が、心の中で響く。

計算通り、予想通り、完璧な勝利。

観客席も完全に諦めムードに包まれた。


「勝負にならない」

「可哀想だけど、これが実力の差」

実況も言葉に困っていた。


「Aurora-9の独壇場です。京真選手、完璧なレース運びですが」

言葉を濁すのは、あまりにも一方的すぎるからだった。


それでも遼は楽しそうに飛び続けていた。

「速いなあ、すごいや!」

素直な称賛の気持ち。

負けている状況すら、学びの機会として捉えている。


その姿を見て、観客の心境が変化し始めた。

「あの子、本当にレースが好きなんだね」

「勝ち負けより、飛ぶことが大切なんだ」

「何て美しい心なんだろう」

純粋な心が人々に感動を与え始める。


拍手が少しずつ起こり、やがて会場全体に広がった。

迅も涙ぐんでいた。

「やっぱり機体の差が。悔しいけど」

整備士として、もっとできることがあったのではないかと自分を責めていた。


結衣は迅の肩に手を置く。

「でも遼は楽しそうだよ。それが一番大切なことでしょ?」

「そうだな、勝てなくても、遼らしいレースを見せてくれた」

チームとしての価値観を再確認する瞬間だった。


勝敗より大切なものがある。


遼を信じ続ける気持ちに変わりはない。

絶望的状況だが、諦めない観客たちもいた。


「最後まで分からない」

「Rusty Hawkならきっと何かやってくれる」

「奇跡を信じよう」


その期待に応えるかのように、遼の表情に変化が現れた。

目の奥に、何かを見つけたような光が宿る。


「みんな、ありがとう」

応援してくれる全ての人への感謝の気持ちが、心を満たしていた。

街の人々、チームメイト、そして今日ここに来てくれた観客たち。


「でも、まだ終わらない!」

遼の心に、新たな決意が生まれた。

勝敗ではない、もっと大切なもののために。


京真は、その変化に気づいていた。

「まさか、まだ何かを企んでいるのか?」


データ上では勝負はついている。

だが、あの少年の目には、まだ諦めの色が見えない。


「興味深い」

京真の心に、初めて好奇心が芽生えた。


運命の最終局面へと、レースは動き始めた。



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