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Sky Runners  作者: SKY
32/32

圧倒的な差


いよいよレース開始。


カウントダウンが始まると、会場全体が息を呑んだ。

史上最大の注目を集める一戦。

世界中がこの瞬間を見つめている。


「スリー」

「ツー」

「ワン」

スタート!


その瞬間、Aurora-9の驚異的加速が全てを物語った。

最新のエンジン技術、完璧に調整されたバランス、一分の隙もない設計。

まさに工学の粋を集めた傑作が、その真価を発揮する。


Rusty Hawkは、まるで時が止まったかのように置いて行かれた。


「差がありすぎる」

観客席のざわめき。

予想以上の戦力差に、多くの人が絶句した。


「Aurora-9、圧倒的なスピードです!」

実況が興奮する。


だが、その興奮には少し複雑なものも混じっていた。

ここまで一方的だと、レースとして面白くない。


迅はピットで拳を握りしめていた。

「やばい、ここまで差があるとは」

整備士として、機体性能の差を痛感していた。

どんなに調整を重ねても、根本的なスペックの違いは覆せない。


結衣も不安そうにモニターを見つめる。

「大丈夫かな」

でも遼は楽しそうに飛んでいた。


Aurora-9の速さに驚きながらも、純粋にその技術を讃えている。

「すごいスピードだ!京真くん、本当に上手だなあ」


第1直線で、距離がみるみる開いていく。

Aurora-9の完璧なライン取り、京真の冷静かつ正確な操縦。

全てが計算通りに進んでいた。


京真は心の中で確信していた。

「予想通りだ。この程度の相手に遅れを取るはずがない」


観客席には早くも諦めムードが漂っていた。

「やっぱりRusty Hawkじゃ無理だ」

「スペック差が大きすぎる」

「可哀想だけど、現実は厳しいな」

でも一部の観客は、まだ希望を捨てていなかった。


「まだ分からない!Rusty Hawkならきっと」

「技術区間で逆転があるかも」

中盤に入ると、さらに差が広がった。


京真の完璧な技術に、観客も感嘆の声を上げる。

「これがプロのレベルか」

確かに京真の飛び方は美しかった。


無駄のない動き、計算され尽くしたライン取り、完璧なタイミング。

技術的な完成度は非の打ち所がない。


迅は技術者として、その凄さを認めざるを得なかった。

「Rusty Hawkの限界が見えてきた」


でも遼の表情に変化はない。

相変わらず楽しそうに操縦している。

「京真くんの飛び方、とてもきれい。勉強になるな」


負けている状況を楽しんでいる姿に、一部の観客が心を動かされ始めた。

「あの子、負けてるのに楽しそう」

「普通なら悔しがるはずなのに」

「何て純粋なんだ」

その純粋な心が、少しずつ人々に伝わっていく。


応援の声が、わずかだが戻り始めた。

「頑張れ、Rusty Hawk!」

「最後まで諦めるな!」


京真はその声援を聞いて、わずかに眉をひそめた。

「なぜあんなに応援されるのか、理解できない」


彼にとって、レースは勝敗が全て。

過程など意味がないと思っていた。

しかし、遼の走りを見ていると、何か別のものがあることを感じ始めていた。


「あの少年は何を考えているんだ?」



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