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領地のいざこざ

慣れたベッドで目が覚める


いつもより早く目が覚めた気がした

起き上がると妹と弟が仲良く眠っている

静かにベッドを出て着替え、部屋を後にする


朝の日課を始めよう





家を出て領内をランニングする

決められたルートを魔力循環をしながら走る

五週したら丁度、朝食の時間になるぐらいなのでできる限り毎日行っている

最初のころはスピードも出なければ魔力の扱いも雑すぎて消費が激しかったが今では落ち着いて走っていられる

たまにエリア姉様が一緒に走ったりするが今日は起きていないらしい、あの人が朝早く起きることが珍しいけど・・・


「クロア君、今日も朝から精が出るのぉ」


領内を走っているとたまに声がかけられる


「サボンさん、おはようございます」


朝早いのでこうして声をかけてくる人は数人程度

サボンさんはその中でもほぼ毎日見かける人である


「サボンさんも朝から元気すぎですよ、俺も負けてられなくなってしまう」


領内で数少ない木こりのエルフだ

冬支度のために朝から薪を割っている


「ほっほっほ、儂の働きで皆が暖かく過ごせる日が多くあってほしいからのぉ」


「いつもありがとうございます、ではまた!」


挨拶を済ませてランニングに戻る、そろそろ寒くなる季節を感じながら日課を済ませて行く





「ただいま」


「坊ちゃん、おかえりなさい」


家に帰るとヴァルフォがいた


「朝早いね、昨日の話したい事の件で父上に呼ばれているの?」


「ええ、坊ちゃんにも参加してもらうそうですよ」


「わかりました、朝食は我が家で食べるの?」


ヴァルフォは嬉しそうに笑う


「もちろん!一人の食卓は寂しいですからね」

「それに今日は坊ちゃんが厨房に顔を出す日でしょう?」


「そっちが目当てか、あまり期待しないでくれると助かるんだけど」


「何言ってるんですか、いつも旨いですよ」


月に三度だけ厨房に立って料理することにしている

この家にあった料理にまつわる書物を読んで色々試しているのだ

食糧不足を解決する一助にもなればと思って読み始めたがこれが中々面白くて、今では料理も俺の趣味の一つである


「それじゃあ、俺は厨房に行くね」


「はい、楽しみにしときます」


今日は何を作ろうか






「お待たせしましたー」


食堂に行くと皆そろっている


「おはようございます、今日は昨日の夜食の残りを使ったスープです」


「おはようクロア、お前が料理するのがなんだか普通になってきたな」


「おはようございます!お兄様の料理美味しいから私は大好き!」


朝食なので軽めに食べれるものを作ったが皆が感想を言ってくれるのでしっかりと聞いておく

エリア姉様と父上はもう少し味が濃い方が良かったらしい、逆に母上とルーシは丁度良かったとのこと

オルカとスー、そしてヴォルフォは美味しいとしか言わないので細かくはわからないが気に入ってはくれているようだ


「クロア、お前も私の部屋に来てくれ」


食べ終わると父が俺に声をかける


「わかりました、かたずけが終わったらすぐに向かいます」


「それなら私達でやっておくわ、クロアは行ってらっしゃい」


母が食器を持ってくれる


「お母様、私も手伝います」

「わたしもわたしも!」


ルーシやオルカ達も母を手伝う

エリア姉様はもう稽古をしに行っているのでいない


「すみません、ではお願いします」

「ルーシ達も危ないから気を付けて運ぶこと、いいね?」


「「はーい」」


「ではお先に、母上ありがとうございます」


手を振る母達を見て父の部屋に向かう




「父上、クロアです」


「入って良いぞ」


返事が聞こえたので部屋に入ると


「お帰りなさいクロア様!」


「お帰り、坊!」


父とヴァルフォの他に二人いた


一人はグラハ、弓矢の名手で領内の警備隊長だ

もう一人はディン、大きな身体で巨大な盾を振るう元騎士

二人とも父の騎士時代の部下だった人達だ


「ただいま!二人も来てたんだね」


「あぁ、私が呼んだのだ」


「では皆集まったことですし、お二人が居なかった間に起きた話をしましょう」


「できるだけ良い話だといいのだが、どうかな」


「申し訳ない隊長、悪い話しかなくてな」


父がため息をついている


「この前、近くの領や村で盗賊被害があった話は覚えていますか」


「うむ、確かインチェンス侯爵様が討伐に打って出たと聞いたな」


「その通りです、ここからが本題です」

「その盗賊達に討伐に出た侯爵様の騎士団が討伐はしたものの、打ち漏らしがあったみたいです」


「つまりはその残っている盗賊達が我が領に来ていると?」


「恐らくはそうじゃないかと、近くの村々が盗賊の被害にあっているみたいです」


ヴォルフォは報告書を父に見せている


「・・・確かに日にちが近いな、侯爵様に確認は取ったのか?」


「確認しましたが・・・なんというか・・・」


「侯爵様からはななんと?」


「こちらです」


手紙を数枚、父が受け取り中身を見る

簡潔に言うと騎士団などの派遣はしない、そちらで何とかしろとの事

そもそも向こうからすればそれが打ち漏らしの盗賊なのかもわからないので手は貸さないそうだ

困ったものだ、貴族というのは


「侯爵様から見ればそもそも打ち漏らしてないって公言してるみたいですね」


「坊ちゃんの言う通りです、故に手は貸さないとのことで・・・」


父が考え込む


「クロアよ、お前ならこの事態どうする?」


ふむ・・・


「取り合えず被害にあっていない村の人達をこの地に集めるべきでしょう、できるだけ賊どもに食料や水は渡したくない」


「私も同意見だ、侯爵様に手を貸してもらえるほど甘くはないだろうしな」

「戦えない民達では盗賊共の人質にもされかねん」


「ではお二人はここで盗賊達を迎え撃つ気ですか?」


「俺はその方がいいと思いますね、そもそも領民全員で逃げることができるほど余裕があるわけでもないからね」


「坊の意見に賛成だな、逃げ回るのは趣味じゃねぇからな」


「私もウィン様とクロア様に賛成です」


「では意見もまとまったようだな、さっそく取り掛かるとしよう」

「まずは住民に事態の注意喚起およびに近隣に住む者達を集めよう」

「それを終えてからまた対策を練るとしよう、各自取り掛かってくれ」


「「「はっ!」」」


「では俺が被害にあっていない村に向かうとしよう、馬車の依頼もしてきます!」


ヴォルフォが早々出て行ってしまった


「我々は住民のみんなに説明をしてこようか」


「そうだな、坊と大将は色々考えといてくれ」


二人も部屋を出ていく


「では父上、俺は先に自分の固有魔法でもちょっと試してきます」


「わかった、何か作戦を思いついたらまた集まった時に聞かせてみてくれ」


「はい、その時はまた悪知恵でも働かせますよ」


父と二人でニヤリと笑い、部屋を後にする





さて、自分の固有魔法を理解する時が来たな


解体


言葉だけ聞けば色々使えそうだが果たしてこの魔法はどの程度使えるかな

俺がこれを使いこなせればもしかしたら何か変わるかもしれないし、自分の魔法を知るのはいいことだ

どうやって確かめていこうかな・・・


内心では少し焦りがあるクロア

自分達の領が、家が、家族が

もしかしたらもう近くに賊が居るかもしれない、慌てる気持ちを抑えて今は自分のやるべき事に目を向ける

コリーネがくれたこの特別な魔法を知る時だ





肌寒くなってくる季節、農地の収穫期がそろそろ来る

自分の居場所を守る為にも、動き出せねばならない

突然変異と言われた少年の魔法が目を覚ます

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