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家族との時間

倉庫に荷物を仕舞い、皆が居る食堂に行こう




部屋に着くとドアが開いていて中から声が聞こえる


「父様!ご飯の後に修練に付き合ってくれませんか!」


エリア姉様の声だ

大方剣の稽古でもお願いしているのだろう


「エリア、ウィンも帰ってきたばっかりなんだから休ませてあげて」


「だって稽古をつけてくれる人は父様しかいないんだもの!」


「エリアよ、私も稽古をしてやりたいが領地で起きた事なども聞かねばならん」


「もう、そう言ってこの頃全然稽古をしてくれない・・・」


「帰ってきて早々に本当に剣が好きだね姉様は」


部屋に入るともう皆集まっていた


「兄様、お帰りなさい」

「クロア!お帰り!」


ルーシとエリア姉様が声をかけてくる


「ただいま二人とも、俺で良ければ付き合いますよ」


エリア姉様の剣を相手出来る人はこの領地では四人ほどしかいない

その中に父と俺が含まれているのだからこの二日ほどは暇だったのだろう

故に姉様は懇願していたのだろうし


「本当!?」


「構わないよ、ただし制限時間を設ける事」


「なんで?」


「俺も帰ってきたばかりと言う事と、姉様はやり始めたら止まらないからです」


この人は自分が完膚なきまで勝つまで辞めない性分があるから困る

前にも父に勝てずに朝から晩までずっと稽古をしていた

その日は父が珍しく仕事が少なく、身体を動かすためにもいくらでも付き合うなどと言ったが最後だった

最後は母に怒られて終わったが母が居なければもっとやっていたかもしれない・・・


「ふーん、わかったわ」

「じゃあご飯が終わったらすぐに庭でやりましょう!」


「エリア姉様ばかりずるい!オルカもお兄様とお話したい!」

「僕も兄様のお話が聞きたいです」


「あら、じゃあ二人が私に勝ったら譲ってもいいけど?」


「なにを無茶な話を・・・二人とも寝る前にお話をしよう、それで許してくれないか?」


「・・・じゃあ今日はお兄様と一緒に寝ていい?」

「僕も兄様と一緒がいいです・・・」


「俺はいいよ、寝るまで色々話そうか」


「「やったー!」」


二人が喜んでくれている、とりあえず大丈夫だろう


「とりあえずご飯を食べよう、俺は流石におなかが減ったよ」




「皆様お待たせしました!」


ラックモックが運んできてくれる、うちの数少ない使用人の中の一人で、たった一人の料理長だ


豆のスープにイノシシ肉のハーブ焼き、それとバケットだ

王都でいくつか食事を食べたけどやはり故郷で食べる料理は安心感がある


「では、頂くとするか」


皆で食べながら色々話をする

他愛もない話から俺の固有魔法の話だったり

一日空き時間ができた父が何をしてたかなどなど


結局コリーネの話はしない事にした、今話しても信じてもらうのも難しいし誰にでも固有魔法のチャンスはあるなんて話は簡単にするべきではない

恐らく俺しか知らないか、あるいは知っている者はいても出回ってる話ではない事からかなり機密性の高い話なのだと思うから




食事を終えると


「じゃあお兄様、また後でね!」


オルカとスーが部屋を後にする、何か話しているのが聞こえたから何を聞こうか考えているのだろうか


「クロア、早く行きましょ」


「待ってください姉様・・・少しぐらいおなかを落ち着かせてからじゃダメですか?」


「何言ってるのよ、そんなことしてたら時間無くなっちゃうじゃない!」


本当に元気だなこの姉は


「なら私が審判でもしましょうか?」


ルーシが助け舟を出してくれる

しかし珍しい


「珍しいわね、ルーが剣を見るなんて」


姉様も不思議がっていた


「時間を決めても忘れるかもしれないから私がやった方が確実」

「それにお姉様と兄様が本気になりすぎると危険」


「姉様ほどむきなったりはしないと思うけど」


「わかってます、でも兄様もハマり症なとこがあるから心配」


痛いところを言われてしまった


「まぁでも確かに審判が居た方が楽だと思うわね」

「ルーが構わないなら私も構わないわよ」


「ではご一緒します」


「三人とも、あまり遅くなってはダメよ?」


母に心配されながらも三人で庭に行く




「じゃあ、制限時間はこの蝋燭が溶け切るまででいいですか」


一本の蝋燭を持ってきてそれを時間とする


「なら蝋燭が溶け切るまでに剣を身体に当てた回数で勝負よ!」


「私が数を数えておきます、不正はダメですよ」


「姉様と俺がするわけないだろう・・・いつでもどうぞ」


「行くわよ!!」


剣の腕では姉様の方が上だろう

しかし魔力の差でその力量は覆る

魔法を最初に扱えるようにするために誰もがやること


魔力循環という


魔力を身体になじませ自在に操るようにするために最初に行う事

この魔力循環には身体能力の向上効果がある

人によって強弱があるが基本的にこれができるようになって初めて属性魔法を扱えるようになる

故に剣の腕では負けるが、身体能力で俺に勝てるものはこの領地にはいない

何故なら俺の魔力量や出力はコリーネと話していたように普通ではないから


「くっ・・・」


姉様と打ち合う、当然姉様も魔力循環はさせているが俺とでは出力が違う


「ほんっとうに押し勝てない、クロアと父様だけに!」


「そもそも父上以外の大人に勝てている時点でおかしいですけどねっ!」


「そんなこと言ったらあんたもたいがいでしょうが!!」


二人で打ち合っていると木剣が折れそうになっている

するとルーシが


「この前お姉様が木剣を折りすぎたから木剣が折れたら失格とします」


「なっ・・・」


困った、力まかせに振るっては剣が先に折れてしまいそうだ


「ふふ」


姉様は余裕だ、恐らく俺と打ちあっても折れない自信でもあるのだろうか

ならば


「俺も負けず嫌いなんでね!」


「えっ・・・」


姉様の木剣を折る


「これで姉様の失格です」


「ちょっと!」


「はい?」


「今なにしたの!明らかにクロアの方が折れそうだったのに!」


「姉様が剣の扱いが雑だからでは?」


そもそも何本折ってるんだこの人は


「とはいえ確かに変でした、何をしたのですか兄様?」


ルーシにも言われては流石にごまかせんか


「木剣にも魔力循環をしただけだよ」


「木剣にも?」

「どう言う事よ」


「魔力循環を覚える時に母上に言われたでしょう、魔力はイメージや想像によって差が出るって」


「そうな事あったわね」


魔法の話などは本当に覚えていないのか


「その時に魔力循環は鎧や洋服を身に纏うイメージだって言われたのは覚えてる?」


「はい、お母様にそのようなイメージだと覚えやすいと言われました」


流石ルーシは覚えがいい


「しかしそれがどう木剣に繋がるのでしょう?」


「つまり木剣も身体の一部だと思って纏わせるんだよ」


「なるほど、剣も身体の一部と認識できれば魔力を纏わせ強化できる・・・そう言う事ですか?」


「ルーシは理解が早いね」


妹の頭を撫でる、話が早くて助かる


「えへへ・・・」


「うーん、つまり剣も魔力で強化できるの?」


「そうですね、概ね合っています」


「じゃあそれができればもっと強くなれる?」


「少なくとも剣が折れることはなくなるのでは?魔力で剣の強度が上がりますからね」


「なら私も身に着けないと・・・父様もできるのかな」


「どうですかね、でも俺より姉様や父上の方が強いと思いますよ」


「なんで?魔法はクロアの方がすごいじゃない」


「かもしれませんが、姉様と父上より俺は剣を握ってる時間は少ないですからね」

「身体の一部とイメージするのは姉様にとっては簡単なのでは?」


姉様が嬉しそうに笑う


「じゃあそれを教えてくれたから今日の負けは認めてあげるわ」

「私も使えるようになったらまた勝負よ!」


「わかりましたよ、今日はもう戻りましょう」


「時間もちょうど良さそうですよ、お二人とも」


ルーシがそう言うと蝋燭が溶けかかっている


「ルーシと姉様は先に家に入っておいて、木剣とかをかたずけてくるよ」


「わかりました、兄様も今日はお疲れでしょうから早く休んでくださいね」


「ありがとうクロア、まかせるわ」


木剣を姉様からもらってかたずける

この後は部屋でオルカとスーが寝るまでお喋りかな・・・

固有魔法などは明日試そうか


身体を洗い自分の部屋に入ると双子が待っていた

さて何から話そうかな


王都で出会った聖女様の話に市場で見た物など馬車から見た景色などを話していたら二人から寝息が聞こえた

こうして家族の笑顔や安心している寝顔を見ると心が満たされる

俺ももう寝よう、明日もまた忙しそうだ


王都で味わったベッドなどより質は悪い

だけどそれ以上に暖かい者が一緒に寝ているからか寝心地はこちらの方が良い

月明りが照らす夜は更けていく

気が付けば狭いベッドから三人の寝息がしてる

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