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収穫祭 ①

作品名から(仮)が無くなり、これからの作品名が決まりました。

これからも続けていきますので、よろしくお願いいたします。

「ん・・・」


目が覚める。いつものベッドの上で。

久しぶりに使った寝具は、固いと思っていたけど今ではそれが安心する。


「・・・おはよう、コリーネ」


窓辺に置いてある木像に声を掛ける。


「こうして挨拶するのも久々な気がするね」


あの戦争は結果としてみればいつもより短かったらしい。

ただし戦争が終わってからが貴族としては仕事が多いようで、カランクレス家の人達は特に忙しそうであった。

俺達も戦争から帰ってきたのは三日ほど前からだったが、俺と父上が家を空けてしまったので大量に積まれた仕事をこなしていた。

中には他の貴族への挨拶回りもあり、結局こうして自分の部屋で寝れたのは今日が久しぶり。

そして。


「結局母上に謹慎を命じられてしまったからなぁ・・・」


現在俺とエリア姉様は家から出るには監視がある。

特に姉様は母上に監視をされているので一切家から出れない。

俺はと言うと。


「お兄様!!」


「おはよう、オルカ」


双子が監視役である。


「まだ朝食には少し早いし、オルカも一緒に散歩にでも行く?」


「む、そうやって逃げ出す気なの?」


「こんな朝から、しかもオルカから逃げる訳ないよ。今日はもう走り込みが出来そうにないし単純に、久々に領を見たいだけだよ」


「それならオルカも付いて行きたい!着替えてくるから待っててね!」


バタバタとオルカが走る音が遠ざかる。


「帰って来たんだなぁ・・・」


無事にここに居れる事が、今になって少し嬉しくなる。





-----∇∇∇-----





「今日は全員でお勉強の時間にします」


母上が俺達姉弟全員の前で紙出してきた。


「うえぇぇ・・・」


姉様がすでに嫌そうな顔をしているが、オルカ達は俺や姉様が居る事に嬉しそうだ。


「今日は兄様にも、教えてもらえる?」


「俺に分かる物であれば答えるよ」


スーからの質問に答える。


「そうね、クロアにも教師役をお願いしようかしらね」


そうして、平和と呼べる日常が過ごせている。

しかし一方でそろそろ例の時期が来ている事に外を見ていた。


「そろそろ収穫祭かな」


「お兄様、いつやるんですか?」


「時期としてはもうやってもいいんだけど、俺と父上が離れてしまっていたからね。畑や領の人達の話も少しは聞かないといけないかな」


「僕も楽しみです!」


「ある意味で今年の成果でもあるからね。皆にはたくさん取ってもらわないとね」


「クロア、今年もあれはやるの?」


「そうですね、やろうとは思ってますよ。人も増えましたからね、出来る限り参加してもらって収穫を増やしたいですから」


「なら今年は優勝を頂くわ!」


「期待しておきます」


「と言う訳でして、母上。そろそろ謹慎を解いて頂けませんかね・・・?」


恐る恐る姉様と一緒に母上の方を見る。


「そうね、私達の領にとっても大事な事ですものね。良いでしょう」


姉様とグータッチをする。


「けれど、収穫祭を無事に終える事が条件です。なにかあったりして理由を付けてどこかに行ったりするのは禁止です」


「勿論です、そもそも何も問題ない様にしなければ皆が安心してできませんからね」


母上からのお許しも出たので明日から本格的に準備を始めよう。

父上やヴォルフォ達にも手伝ってもらわないとな。





-----∇∇∇-----





「ふー、この頃暖かくなってきたね」


「そうだなー。それにそろそろあれ、やるんだろう?」


「そういえばクロアが言ってたね、僕は苦手だから参加できないけどリリーはするの?」


「あたりめーだ、今年は優勝してやるぜ」


「それ皆言ってるよね・・・確かに優勝できたら羨ましいけどさ、僕たちはあまり慣れてないし難しいんじゃないの?」


「なんだよ、やる前から諦めろってか?相変わらずだなぁロズは」


「いやぁ、だって・・・」


「二人共ー!」


リリーとロズが歩いていると声を掛けてくる子が居た。


「ん?なんだ、シェリスじゃねぇか」


「おはよう、シェリス」


「クロア様が帰ってきたのはもう聞いてる?」


「うん、聞いたよ。それに収穫祭もそろそろやるって言ってたよ」


「そうなのね、私も頑張らなくっちゃ・・・!」


「僕は知らないんだけど優勝すると何か貰えるの?皆が皆勝つっていってるんだけど」


「あれ?ロズは知らないのね。去年は確か、優勝するとお肉だったり野菜だったりが貰えたのよ。それに加えて税の免除?とか言ってた気がするわ」


「ええ!?そんなすごいんだね・・・」


「そんな事よりも私達の間ではもう一つの方が興味深々だけどね」


「もう一つ?」


「なんでも、優勝した人の家族全員でイストフィース様の家に招いてもらって、クロア様の作る料理を頂けるとか言ってた気がするわ!」


「それは・・・魅力的だね。クロアから貰ったあのパイは美味しかった・・・」


「そうだ!だからあたしは優勝するぞ!」


「もしかしてリリーが頑張る理由ってそれ・・・?」


「他になんかあるのか?」


「いや・・・」


ロズがリリーを微妙な目で見ていると。


「あれ?珍しい三人だね」


「お、クロア!」


「ただいま」


「おかえり、クロア」


「お、お帰りなさいクロア様!」


「何の話をしていたの?」


「何って、収穫祭に決まってんじゃねぇか」


「ああ、五日後ぐらいにはやる気でいるから準備しておいてね」


「ク、クロア様」


「どうしたの、シェリス」


「優勝したら、クロア様のお料理を食べれるって聞いたんですけど、本当なんですか?」


「そうだね、家で一緒に晩御飯を食べて今後もよろしくお願いしますって感じかな」

「それにしてもそれ噂になっているのか、てか妙にやる気がある人達はそれ目当てって事か?」


「少なくともあたしはそうだぜクロア。またあのパイとか肉とか食べさせてくれよ」


「パイは少なくとも貰い物で作った物だから無理だけど、肉料理とかなら頑張ろうかな。実際今年は大量にあるからね」


今年は鹿に感謝だ。


「と言うか、シェリスもそれ目的だった?以外に食いしん坊だったっけ」


「い、いや!リリーと同じにしないでください!私はクロア様のお料理を食べた事が無いので気になると言うかなんというか・・・」


シェリスが焦っている、今のは確かに女子に言う言葉では無かったな。リリーが居たからついでに聞いてしまった。


「ごめんごめん。そういうつもりで聞いたわけじゃないんだけど、失礼だったね」


「い、いえ。クロア様は別に悪くないと言うか・・・」


「なんだよー。あたしが食いしん坊だって言いたいのかよ」


「それは事実だろう」


「なにー!」


「っと、まだ収穫祭の準備をしなきゃならないんだった。またね」


「あ、こら。逃げるなクロア」


手をひらひらとさせながらクロアが去っていく。


「はぁー、緊張した・・・」


「何だよシェリス。まだクロアと話すのに緊張するのかよ」


「だ、だって・・・///」


照れながらもじもじするシェリス。


「まぁ確かに僕から見てもクロアはカッコイイと思うよ。でもなんだか僕達の間だとそこまで女の子人気は無いよね」


ロズが不思議そうに考える。


「それは当然でしょ。クロア様は貴族だもの。私達からすれば身分違いだわ」


「なるほど、だからリアンの方が女の人達から人気なのかな」


「リアンの奴そんなにカッコイイか?年上の癖にあたしよりも剣は弱いし体力も無いぞ」


「でも背は高いし、シュッとしてて顔もかっこいいんじゃないかな。僕は男だからそこまでわからないけど・・・」


「確かにリアンは人気のイメージがあるわね、私はクロア様一筋だけど」


「まぁそれもこれも、あたし達が主役の収穫祭を考えたクロアのおかげなんじゃないか」


「そうかも」


「リリー、貴方には負けないわよ!」


「あたしだって!」





イストフィース領に賑やかさが帰ってきた。

年に二度行われる収穫祭。そして最初の一回目は子供達が主役の祭りである。

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