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国境戦 ⑭

いつも読んでいただきありがとうございます。

体調不良で投稿をお休みして申し訳ありませんでした。

今日からまた定期更新して参ります、これからもよろしくお願いします。

「おい!外はどうなっているんだ!?」


一人の男が叫ぶ。

アウフルによって遠ざけられた帝国幹部の男だ。


「我々も確認しております、今しばらくお待ちください」


数人の兵士が落ち着かせている。


「くっ・・・一体いつまで続くと言うのだ」


離れたテントに連れてこられた彼はあまり状況が分かっていない。

そして、その場所は。


「・・・?。私も外を見てきます、少々お待ちください」


外がやけに静かな事に気になり、兵士が外に行く。


また、静かになる。


「まったく、見回りも碌に出来んのか」


男も気になり外に出る、するとそこには一人の少年が居た。


「おや、兵士には見えないけど、あんたも帝国の人で合ってる?」


切り刻まれている部下の死体と、剣を持つクロアが居た。





-----∇∇∇-----





「あなた達、強いわね。流石に負けるかもって思ったわ」


アウフルが兵器に腰掛けながら話している。

その眼前には、突っ伏している三人の女子。


「ぐっ!」


「くっ・・・そ・・・!」


エリア、フェーネ、アルティは身動きを取れずに倒れている。


「数が少なくてよかったわ、流石に何十人も相手できないから」

「口はお喋りできるようにしてあるから、話してもいいわよ」


アウフルの言葉に、アルティが反応する。


「これが、貴方の、固有魔法ですか・・・!」


「見ての通りよ。私自身、この魔法はあまり好きじゃないんだけどね」


アウフルの固有魔法

『感覚混濁』

その名の通り人間を含めた生物の感覚を狂わせる力。

発動条件は相手が近くにいる事と視界に映る事、相手に触れれば更に強く狂わせる事が出来る。


「くっぉお!」


フェーネが無理やり動こうとするが、立ち上がるのですらかなり難しい。


「私は、交渉がしたいんだけどね。はっきり言ってこのままあなた達を殺しても王国との亀裂がさらに大きくなるだけだとも思ってるからね」

「だから人質になってくれた方が私としてはありがたいんだけどねぇ。かといって、人質に三人もいらないからね」


アウフルはエリアに目を付ける。


「アルティちゃんは価値があるけど・・・一人ぐらいは、死んでもらわないとね」


その言葉に、アルティは悔しさがあった。

今、自分は立場で助かっているだけだと、改めて理解した。


「舐められた物ですね・・・!」


「そんな怖い顔しないで、綺麗な顔が台無しだよ。私の部下も男が多くてね、女の子と話のは久々なんだ」


アウフルは楽しそうにエリアの元に歩き出す。


しかし。


「・・・どうやったの?」


エリアは立ち上がっていた。

なんとか立てたと言う方が正しいだろうか。

それでもエリアはこの混濁の状態で立ち上がったのだ。


「なる、ほどね・・・」


エリアは剣を握る手に力が籠る。


「クロアや姉様の言ってた事が、今なら理解できるわ」


「クロア?」


「私の弟よ。そして、何だか昔の自分が恥ずかしくなってきたわ」


「何を言ってるの?」


エリアの言葉にアウフルは理解不能だった。


「私ね、固有魔法を貰えなかったの」


「それで?」


「羨ましいと思ったわ、固有魔法が有ればもっと強くなれるって。もっともっと戦えるなんて思っていたから」

「でも、アンタのこの力を見て、初めて理解したわ」


エリアはアウフルの目を見て、言葉を続ける。


「アンタ、言ってたわね。自分の魔法が嫌いだって」


「言ったわね」


「だから分かるわ、アンタはこの魔法を磨こうとしなかったんでしょ?」


その言葉に、アウフルの眉が動く。


「私の家族はやたらと固有魔法を使える人が多くてね、父様・・・は知らないけど、姉様もクロアも固有魔法を伸ばすのは大変だって言ってたの」

「あの言葉の意味が今なら分かるわ」


エリアが徐々に剣を構え始める。


「私は考えが浅かったから、固有魔法さえあれば強くなれると思っていた。でも違った、固有魔法を磨いているから、極めているから、あの人達は強いんだって理解したわ」

「現にアンタのこの魔法は、慣れてしまえばただの遊びだわ!」


エリアはそう言い放ち、アウフルに向かって剣を振るう。

しかし、威力は無かった。


「汚い型ね、そんな動きで良く遊びなんて言えたわね」


アウフルはレイピアを振るってエリアを吹き飛ばす。


「うぁぅ!」


しかし、エリアは一瞬で立ち上がる。


「アンタ、この魔法を十分に扱えないんじゃない?」


「何言ってるの?」


「口は動かせる、なんて言ってたけど口までは出来ないだけの言い訳じゃないの?」

「それに、身体の方だって、確かに感覚がぐしゃぐしゃになってるけど、それを更に入れ替えられてるわけじゃない」


エリアのこの言葉は半分正解で半分外れ。

やろうと思えばアウフルは口、所謂言語も混濁させて喋りずらくさせる事も出来るが、現状それに魔力を回す意味は無いと考えているからしない。

しかし身体の感覚を更に入れ替える事は出来ない。

ゲームの状態異常の様に、上下左右の操作を反転させることは出来ても、さらに入れ替える事が出来ない。

上を下に変えられても、上を右に変える事が出来ないのだ。

きっと、この魔法を更に鍛え上げればそれは出来る事なのかもしれない。

だが彼女はこの魔法を嫌い、それをしてこなかった。

故に、目の前の少女に、自身の魔法をねじ伏せられる。


「はぁぁ!」


エリアは剣を振るう。

分かる、先程より明らかに、精度が上がっている。


「驚きだね、こんな状態でも戦ってくる子が居るなんて思って無かったわ!」


しかしアウフルはそもそも強い。

いつもの状態で戦えない時点で、エリア一人では勝ち目がない。


「良く言ったぜ!エリア!」


アウフルの背後から更にもう一人の女。


「なっ!?」


フェーネも立ち上がっていた、だがやはり動きがぎこちない。


「ったく、なんなのよ。王国の女の子って戦闘狂しか居ないの?」


「エリア、多分アタシはお前より動けない。魔法で援護はしてやる、連戦で悪いが行けるか?」


「当然です・・・!」


身体の自由を奪われてもなお戦う。

その光景に、アルティは目を奪われていた。


(私は・・・ここに来て、前線に出たいと言って、何をしているのでしょうか)





女達の戦いは、まだ終わっていない。

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