動物と魔物 ①
章設定と言う物を初めて知りました。
一旦分けてみました、これからもよろしくお願いします。
今日は変わったメンバーで山に来ている。
「兄様、早く行きましょう」
クロア、ルーシ、サキユ、ヴォルフォ、サボンが山に居る。
「少し落ち着けルーシ」
「ルーシ嬢も今回の事は中々気になるようですね」
「まぁ、あの子は動物が好きだからね」
「皆にまで突き合わせて申し訳ないのぉ」
サボンがクロア達に頭を下げる。
「気にしないでサボンさん、これは俺達の問題でもあるから」
何故、山に居るのか。
少しだけ時間が戻る。
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「獣害がいつもより多いな」
報告書類を父上が見ていて、そんな言葉が耳に届く。
「仕方がない、と言ってしまえば終わりですが。恐らく復興作業に人員がかなり割かれてしまって、動物にまで手が回っていない状況ですからね」
「それも有るだろうが、それを含めても多いのだ。クロアも少し見てみろ」
そう言うので、父上の書類を見てみる。
「・・・確かに、多いですね」
イストフィース領は元々獣害が多い領ではある。
山々に囲まれている領なので、動物や魔物が非常に多い。
「これからサボンさんの所にも用があったので、ついでに聞いておきますよ」
「そうだったか、頼めるか」
「はい、何か分かったら報告します」
そうして、クロアがサボンに聞きに行くと、これから山に調査に行くとの話だったので人を集めて山に入る事にした。
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「しかし、本当に多いですね」
山の中間付近に簡易キャンプを設置しているので、皆で休憩している。
「儂も驚いておる、ここまで増殖しておるとは」
この簡易キャンプに来るまでに、鹿と猪が非常に多かった。
魔物も少し見かけたが、寧ろ少なくなっているようにも見えた。
「ボクも見てたけどすっごい動物が居ましたね」
「どう思いますか、兄様」
「そうだな・・・動物よりも魔物が少なく見えたのが気になったね」
「生存競争に魔物が負けたってことですか?」
「あまり考えられないけど、数の暴力と言うのはどの生物にだって脅威だよ」
「・・・兄様は動物を処分すると?」
「処分と言うと言い方が悪いけどね、でも間引く必要はあると思ってるよ」
「良くも悪くも鹿などの草食動物は山の草も水も平らげてしまうからね」
「でも、動物は必死に生きてるだけなのに・・・」
「わかっているよ、だけど動物達が山で食べるものを失ってしまえば、人里に降りてきて、我々の育てている食べ物にまで手を出すだろう」
「動物達を管理するなど、俺達人類のエゴだろう」
皆の中で沈黙が流れる。
「でも、その覚悟が無ければこの領で住む人達を守れない」
「わかっています・・・私も貴族の端くれですから」
ルーシは昔から動物達が好きだったから、この手の話はいつもしなかった。
だから今回の事に付いてくるとは思わなかったのだが、どうしてもと押し切られた。
「聞いてもいいかな、ルーシ」
「はい、兄様」
「なんで今回の件で付いてきたんだい?」
「それは・・・私も少し見なければいけないと、思ったのです」
「父様が、姉様が、兄様が、村を守った時に、何もできなかった自分が、嫌だったのです」
「だからどんな物でも、見てみたくなったの」
「そっか・・・」
これを成長と思えばいいのかわからないな。
「この話は一旦ここまでにしておこうか」
「改めて、サボンさん、被害にあっているのは特に鹿なんですかね」
「そうじゃのぉ、鹿は草木を平らげるから薬草や埋めたばかりの植林を食べてしまってのう」
「取り合えず鹿を減らす方向で話を進めてみようか」
「それがいいと思いますね、ここまで来る中でもっとも多い動物でしたからね」
「それに鹿肉は美味いからのぉ、村の食糧不足としてはありがたいわい」
「確かに、ジビエの中でも癖はあるけど栄養も多いからね」
「一旦帰りましょうか、山の中で夜になるのは危険です」
「ヴォルフォの言う通りだね、山も見れたし一旦帰ろうか」
そうして一同は山を下りる。
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「と言う感じでした」
「そうだったか、やはり復興作業に人が多すぎるのも問題か・・・」
「人手不足に関しては、もう少しすれば増えるのですけどね」
「インチェンス侯爵からの話だったか、ありがたい話だ」
(もとはと言えばザーロ子爵の所に居た人達だけど、貰える人がいるなら貰っておきたい)
「今日明日の話ではないので、それよりは今は獣害がの方が大事ですね」
「そのようだな、まずは復興作業に合わせて畑などを守る柵なども必要か」
「鹿だけなら何とかなりますけど猪も増えてましたからね、必要であれば父上にも狩りに出てもらうかもしれません」
「その時は私も行くさ、エリアが付いてきそうだがな」
「いいと思いますよ、エリア姉様なら猪に遅れは取らないでしょう」
「だろうな、しかし魔物が少ないと言うのが気になるな」
「それは俺も気になっていました、山には熊や狼など強い動物も居ますが、魔物が減るほど強いとも思えません」
「誰かが魔物を狩っていると言うのは、考えすぎか」
「無くは無いとも思いますが・・・わざわざ辺境の地のここまできて魔物を狩るなんて酔狂な人が居ればの話ですね」
「あまり自分達の領を辺境と言うな・・・」
「今はまだ事実ですから・・・しかし領に住む人達が狩りに行くとも思えないですからね。動物に住処を奪われたと考えるのが一番自然ですね」
「この件はまた改めて考えるとしよう、今日はご苦労だったな」
「いえいえ、俺も気になっていたので」
「また明日から周辺の調査もしますよ」
「頼んだ、復興作業も目途が立ったからもう少しの辛抱だ」
「そうですね、まだまだ寒いですけど、頑張りましょうか」
一つの問題を治めれば、新たな問題が生まれる。
この領が休まる事は、今の所無いのかもしれない。
だけどこれがいつも通りで。
今はただ貴族として、人々を守る。
それが本来の貴族としての役目だから。




