新年は病と共に ②
魔法とはイメージの具現化
魔法の修練をするときに聞いた言葉である
特殊属性はイメージがしにくく扱いずらい
それでも比較的に【光・闇】は扱いやすい方【聖・呪】は難しいと言われる
王国内で扱える人数は【呪<闇<光<聖】と言う感じである
【呪】に至ってはもはや使い手が居ないとまで言われている
と言うのも生まれ持った者の適正属性を確認する術が無いからである
昔に属性確認という魔道具を作ろうとしていたらしいが、ほぼすべての人が基本属性を使えるため、特殊属性だけを確認するという事が難しく結果的に魔道具の作成は断念された
そのため現在では特殊属性は修練で覚えられなければ適正なしと判断するしかない
とは言え使い手が少ない魔法はイメージの問題で実は扱えるかもしれないなどと言ったこともある
聖属性の使い手が多くみられるのは教会などに属している者達が扱えるので聖属性魔法そのものを見る機会が多いからでもあるのだろう
そして彼は一つだけ適性があった
「俺にも聖属性が使えればな・・・」
いつも通り農作物を収穫しながら少年は呟く
新年を迎えたがいまだにオルカは回復していない
他の者にもうつる可能性もあるので部屋にはサルテ婆ちゃんと時々家族が部屋をのぞく程度
オルカの意識はあるが苦しそうに、弱弱しく笑うので
「ここまで無力とはな」
文献も探した
家にあるだけの本を漁った
一つ可能性があるがリスクがありすぎる
「オルカに直接試すわけにもいかない」
「こんな事ならもう何人かあの時の盗賊共を・・・いや結果は変わらないか」
可能性とは俺の固有魔法である
『解体』なら風邪の病原を消せるのではないか、と考えた
だが体内の何をどう解体するのかなどわかるわけもなく
発動してオルカの体内を破壊してしまう恐れがあるこれを使うことはできない
「回復・・・治す・・・」
「ベニア姉様に扱い方を聞いてみたかったな」
家族で唯一の聖属性の使い手であるベニア姉様
ベニア姉様に手紙を出すこともできるが帰ってくるのは不可能だろう
この新年祭間近の期間など騎士団の忙しさは最高潮だろう
その中で聖属性の使い手の離脱など許されるわけもない
「聞いたからと言って使える訳でもないだろうけど」
「俺のこれも便利ではあるのだけどね」
クロアは地面から黒い空間を作りそこに収穫物を入れていく
彼は闇属性の適性がある
そして彼はそれにブラックボックスと名付けて扱っている
物を空間に入れて出したい時に出せる夢の様な魔法に聞こえるが、かなり不効率な魔法なのだ
まず空間には時間が流れている、つまり物は腐るしお湯は水になる
さらには空間内の重力が特殊なのか、例えば水を入れた桶を空間にしまい、空間から取り出す時水だけ無くなっている
水を取り出すとばらけて水が落ちる、雨のようとまでは行かないが桶の固まりが6分割されているような感覚
液体を保存するなら密閉されている必要がある
そして入る量
これはクロア本人の魔力量に比例しているので比較的かなりの量が入る
しかし空間に物をしまっていればいる程魔力を消費する
つまり入れすぎると魔力を消費しすぎてしまい、魔力が無くなると空間の中身がすべてぐちゃぐちゃになる
一度それをやってみた時に大量の水と木をしまっていたのだが、回復をして取り出してみると木はボロボロに水は消えていた
「物の出し入れができるのは便利だけど、それ以外だと何も使えないのがな・・・」
入る量が無限に近くとも魔力を消費する時点で限度がある
過ぎれば物がほとんど無駄になるのも嬉しい事ではない
「クロアー」
「リリー、ロズ、そっちは終わった?」
「終わったよ、うぅ寒い」
今日は親友達も手伝ってくれている
親達は新年祭に向けての護衛や村の警護の確認をしている
その間手伝ってもらっている
「しかしこんなのが食い物になるのか?」
「初めて見る野菜?だね」
「なるよ、すごい貴重な物にね」
そういいながら二人が収穫してくれた箱もしまう
「へぇー、それにしてもやっぱりいいなぁ」
「クロアの特殊属性はかっこいいよね!」
リリーは単純に便利そうに
ロズは魔法そのものに
「確かに便利だけど、結構きついよ」
「でもこれぐらいなら全然入るんだろ?」
「まぁ倉庫に運ぶまでなら、一日中しまうのは多分無理」
「便利なばかりじゃ無いんだね、でもやっぱりかっこいいよ!」
「ありがとうロズ、と言っても闇属性をこれぐらいしか扱えないのはなんだかね」
「闇って言うとあとは周りを暗くしたりとか?」
「僕達もあまりわからないもんね、四属性もまだ全然扱えないし・・・」
「母上が定期的に教えてくれてたのが去年は色々あったからあまりできてないのか」
「うん・・・クロア達が忙しいのはみんな知ってるから仕方ないけどね」
この領では魔法および座学として母上が定期的に子供から大人達にまで生活魔法や文字、数字の計算を教えている
流石に攻撃魔法は教えられないと言っていたが生活魔法や座学を領民に教えている貴族など母上ぐらいだろう
「でも特殊属性ならなんかできそうなのにな」
「そうだね、特にクロアなら何か思いつきそう」
「無茶言わないでくれ、このブラックボックスも相当ひねり出して無理やり使ってるぐらいなんだから」
「でもまぁ色々考えて試してはいるんだ、あんまり上手くいってないけど」
「そうなんだ・・・そろそろ帰らない、寒くて」
「いや、手伝ったんだからクロア」
「わかってるよ、運び終わったら付き合うって」
「そうこなくちゃな!」
「こんな寒い中やるのぉ!?」
ロズが絶望している横で元気そうなリリー
二人なりに気を使ってくれているのが分かる
頼もしすぎる親友達だ
「ふう、この量ぐらいならそこまで消費しないな」
倉庫を出てリリー達の元に戻ろうとする道中
倉庫のゴミが外置いてあった
基本的に燃やせる物とそうでない物で分ける、火属性はみんな扱えるから
そこでふと
目に留まったのだ
恐らく腐っていたのだろう、何かの食糧が捨てられている
「誰が無駄にしたんだ」
この寒季は食料も大事だと言うのに
「しかもこれ倉庫のゴミじゃないな、まったく・・・」
そこに寒さの中では珍しく少し虫が居た
「汚いな、燃える方にあるし燃やしておくか」
クロアが魔法を使う寸前
「?」
腐っていた黒い部分に虫が多く集まっている
「フレイム」
小さな出力で燃やす
そして
「黒・・・集まる・・・いや集めるが正しいのか?」
闇属性も基本的には黒い
「吸収や吸引する力か・・・試したことも無かったな」
親友達の元に戻る道中でクロアは何かを思いつく
新たな魔法の使い方か
彼の探求心がうずいている
新年祭はもう間近である
時間は容易く進んでいく
寒空はいつもより早く太陽を隠す
この季節は、月がいつもより、はしゃいで見える




