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不等で理不尽な世界で(仮)  作者: 麒麟草
成り上がり貴族の宿命
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成り上がり貴族の宿命 ⑧

二人が帰還した

しかし帰ってからもやる事が多い二人は




「何だかんだやらないといけない事が多すぎて二日経ってしまいましたね」


「まったくだ・・・互いに多少聞いてはいるが見聞きした事を改めて共有せねばな」


こうして数人で集まって会議する時間が取れずに間が空いてしまった


いつものようにウィンの執務室

そこにはイストフィース親子とヴォルフォ、ディン、グラハそしてサキユが居る


「エリアはどうしたのだ、呼んでいないのか?」


「姉様が挨拶をしにきてくれた貴族など覚えていませんよ、なのでサキユに家名だけでも覚えてもらっていたんですよ」


「しかしクロア様、サキユに覚えてもらって相手が誰だかわかるのでしょうか」


「確かに見た目などはこの子からの情報しか無いかもしれないけど」

「事前にあの茶会参加していた貴族名簿を見て記憶しておいた」


「さすが坊だぜ・・・って言っても何になるんだかさっぱりわからねぇけど」


「坊ちゃん、なぜ名簿を?」


「茶会に参加しているという事は少なからずインチェンス侯爵に賛同する者か動きを確かめるための他貴族の勢力の者」

「誰が参加しているのかは勢力の確認にもなるから大事なんだ、特にわざわざ男爵に挨拶しにくる人達は覚えないとね」


貴族の礼儀として下の階級の者が上の階級の者に挨拶をするのは失礼に当たる

中には古い習わしなので気にしない人も居るが、基本的には上の階級の挨拶を待つことになる


「つまりは挨拶をしに来たのは基本的に後者って事になるかな、もちろんただの興味本位と言う人もいるかもしれないけど」


そもそもあの茶会には父上が居ない時点で侯爵の勢力に加わったなどと思わない者が多かっただろう

しかし問題は途中で俺が侯爵に連れ出されてしまったと言う事

勢力の者からすれば面白くないだろう

他勢力の貴族からすれば何事かと思うだろう


「やはり俺が呼び出されてから挨拶に来た人が多いんだね、政治と言うのはめんどくさいな」


「ボクとエリア様の二人になった途端にいろんな人から声を掛けられました!」


「ありがとうサキユ、こういう事は姉様にはできないからね・・・」


姉様はまた今日も鍛錬している

何故かと言うと


「父上が煽るからですよ、あの日から姉様がしつこいったらありゃしない・・・」


「いや、それは・・・すまん」


家族での夜食の時間に少しだけ父上からの話を聞いた

そしてエリア姉様と同い年で固有魔法を授かり、しかもその子も剣士としての才能がかなりあったなどと

少し褒めるものだからエリア姉様的にはライバル視している様子だった

さらには模擬戦をした事もバレてしまってから父上も姉様に毎日のように模擬戦を申し込まれている

時間が無いと父があしらうと俺の方に来ては打ち合いを要求してくる、たまったものではない


「はっはっは、しゃぁないでしょう」

「エリア嬢を相手出来るのは坊と俺らぐらいしかいないんすから」


「私は娘にせがまれますね・・・正直私は剣士ではないのでエリア様のお相手をできませんから」


リリーにまで伝播しているらしい


「だがしかしいいニュースもある」


父上がそういうと全員の声が鎮まる


「カランクレス公爵も娘のいい刺激になったと喜ばれていたようで、依頼料に上乗せで褒賞をいただいたのだ」

「そして昨日クロアが取り組んでいた農地の収穫をし、売り先や我々が使う分の計算を終えた」

「ついに・・・我が領で黒字ができたのだ!!」


「それは・・・!」


「やりましたね大将!」


「おめでとうございますウィン様、長年の夢がついに一歩踏み出せたのですね」


「おめでとー!よくわからないけど皆が嬉しそうならボクもうれしー!」


騒ぐ大人を横目に


「嬉しいのはわかるけどギリギリの黒字だからまだまだ油断できないよ」


バッサリと切り捨てる最年少の子供


「坊ちゃん・・・喜びの感情を忘れてしまったのですね」


「我が息子ながらなんと冷徹な・・・」


嬉しいのは分かるけどそこまで言われる筋合いもない


「それに、この程度で喜ぶにはまだ早いでしょう」

「来年にはこの黒字をさらに伸ばしていくんだから」


皆が笑う


「それもそうですね、嬉しい事に変わりはありませんがまだまだ尽力しますよ」


「クロア様かっこいいー!」


サキユが抱き着いてくる、羽毛が・・・


「サキユ苦しい」


「あわわ、ごめんなさい」


嬉しさは当然ある

だけどこれはカランクレス公爵の依頼がかなり大きかった

実力に見合った報酬ともとれるが、自分達の領地だけで黒字にしたわけでは無い

俺にとってはそれが少し悔しかったのだ


「確かに喜んでばかりはいられんな」

「それに我が領にも移住をしてくれる者が増えている」


盗賊達の一件から移住者が増えている


「中には我が家へ兵士として領に来る者達もいる」

「人手が増えることは好ましいが同時に問題も多くなるだろう」


今は寒季(かんき)なので新しく家を建てる速度が遅い

移住希望者の中には待ってもらっている人達も居ると聞く


「身を引き締めて来年も過ごすとしよう、皆もよろしく頼む」


「「「はっ!」」」


「ところで坊」


「どうしたの、ディン」


「何やらいい物を作ってると聞いたんだけど、どうなんすか」


どこから漏れたんだ・・・


「・・・姉様に稽古付けるついでに聞いたな?」


「流石だぜ」

「で、実際はどうなんすか?」


父上達が何の話かわからず俺の答えを待っている


「・・・試作品だけどあるよ」


「一体何の話をしているのだ」


「実はインチェンス侯爵に手土産のついでにもう一つ持って行ったんです」


「ディンが欲しがってるって事は酒か何かですか?」


「ヴォルフォ、そんな代物じゃねぇぜ」


「俺が作ったのは葉巻だよ」


「!?」


皆が驚く

当然である、嗜好品を作るのはかなりの工程と工夫がいる

そしてその中でも問題視もされている葉巻

値段が高いというのもあるが、何より死を早めると言われている

忌避する人も多いがフローレレ王国では人気の品でもある

特に兵士の男性からの人気が凄まじく

嗜好品と言えば、女性は紅茶と化粧品、男性は葉巻と酒、と言われる程だ


「そんな物まで作っていたのか・・・」


「あくまでもできるかも検証だったんですけどね」


トルト叔母さんに作り方やレシピの様な物が無いか聞いたら種と一緒に無償でくれた

この前の迷惑料だとかなんとか

そしてその工程をみて、俺の固有魔法と魔力で強引に押し切れるのではないかと


「ただし生産は今は無理、人手が足りなすぎるし作り方を教える時間がない」


「坊、一本だけでいいから・・・」


「無理だよ、そもそもディンに味が分からないでしょう」

「俺も分かんないからサボンさんに確認してもらってるけど」


サボンさんは愛煙家でもあるので味の違いを明確に教えてくれる


「クロアよ」


瞬間

背筋に悪寒が走る

見なくても分かる

父が怒りの感情をあらわにしているのが


「そう言う事は報告せぬか!!!」


父のゲンコツは久々に痛かった


「くぅ・・・言うタイミングを見失ったんですよ!」


「まったく・・・」

「そしてディン、貴様もだ」


「へっ?」


「よくも報告もせずに隠していたな」


「いや、大将、これは・・・」


「問答無用!」


その日、一人の大男の悲鳴が領内に響いたという

報告会が終了する

まだまだ話すことも多いが今日だけでは時間が足りないという事でまた後日

その日からディンがクロアに何かを言い寄っている所が散見されて、リリルの怒りを買ってまたも悲鳴が響いたのは別の日






一年が終わりを告げようとしている

彼彼女らにとっては長い一年だった

しかし同時に

変革の年でもあったのだ

静かに、それでいて強力な変革

それがどんな方向に向かっているのは、まだわからない

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