成り上がり貴族の宿命 ①
祝20話
近いうちに世界観設定に書き足しをするかもしれません
少々更新が開く可能性があります、同じペースで更新できるように心がけますがちょっと開くかもしれません
そろそろ寒い季節に入りそうです、皆様もお気をつけて過ごして下さい
「今日お前達に集まってもらったのは、一つの依頼を受けるかどうかで相談したくてな」
ウィンが執務室に集まる四人と話している
「こんな時期に依頼があるとは珍しいですね、それに周辺の人達は俺達が盗賊に襲われたのを知っているだろうから依頼なんてないと思ってましたけど」
「クロアの言う通り、これは東の防衛都市を務めているカランクレス公爵様からの依頼でな」
「公爵様ですか・・・これはまた大物に依頼されましたね隊長」
カランクレス・コルエ・ドーバル公爵
フローレレ王国で唯一隣国との国境線があるのが東の土地
その中でも最も戦いが多いと言われているのがカランクレス公爵の治める領地である
王国が大陸の西をほぼ占めているので国土を広げようと隣国は攻めてくることが多い
それ故カランクレス公爵は常に戦力を欲している
王都護衛騎士などは王国最大の戦力に近いが、国境の小競り合いなどに出向く事は無い
そのためカランクレス公爵は派閥を広げ、貴族同士の繋がりで戦力を補強している
「しかし依頼と言うのはどう言う事でしょうか?」
「国境での小競り合いなら召集などになるのではないですか」
「まずは依頼について話すか」
「依頼と言うのはカランクレス公爵の娘であるアルティ嬢の護衛だ」
「護衛ですか」
「アルティ嬢はエリアと同い年でな、今年九歳になったそうだ」
「そしてまだ生誕の儀式を受けていないらしい、と言うのも公爵の都合上あまり娘達を外に出せない状況が多かったようでな」
「国境沿いでは仕方ないでしょう、我々も騎士の時に出向きましたができればあまり行きたくはない場所です」
「お前は弓だったからいいじゃねぇか、俺は最前だったから流石に肝が冷えたぜ」
父達は国境沿いについても知っている
恐らく今回の依頼はそれがあったからだろう
「しかし公爵のお嬢様の護衛とは、父上も信頼されているのですね」
「うむ、毎年派閥に入らないかと催促されている・・・私はそういうのが苦手だからな、のらりくらりと避けてはいるがそろそろ答えをしっかり出さねばならない」
「まぁそもそも派閥どころか赤字寸前なので、お金さえ払えば引き入れることができると多くの貴族から思われていますからね」
貴族同士の派閥、及びに戦力の確保
当然隣国との戦いなどもあるが貴族同士での戦いも多い
その時に戦力があればあるほど戦争にならないので力を蓄える事が貴族は推奨されている
もちろんカランクレス公爵などに喧嘩を売る相手は居ないが、インチェンス侯爵は昔に少しあったそうだ
しかし父上が南の領土であるこの地を任せれてからそれは起きていない
少なくとも南にいるということはインチェンス侯爵の味方という可能性があるから手が出せないのだ
父上が成り上がり貴族である事は知れ渡っている、しかし同時にどれほどの武勲を上げたかも知れ渡るからだ
それに加えてインチェンス侯爵の戦力まで加わったら戦いたくなどないだろう
実際インチェンス侯爵にはお世話になっている事もあるのでもし助力を求められたら父は間違いなく手を貸すだろう
そしてそれは他の貴族にも知れているからこそ、派閥などの誘いが絶えないのだ
「事実だいぶ金を積まれて派閥に入らないか誘われているからな」
「金を積むだけで我々は下に着くと思っているあたり浅はかな貴族が多いですね」
「口が過ぎるぞヴォルフォ」
「それにカランクレス公爵は金を積んでないからな、我々の武勲に興味があってずっと声をかけていただいているのだ」
「それに関しちゃぁなんだか嬉しいとこだな、実際騎士の時は戦うか酒を飲むかしか楽しみがなかったもんだ」
「あなたには奥様もいたでしょう、息子さんも儀式を受けないのですか?」
「そりゃぁ無理だ、金がねぇからな!」
一同で笑う
お金が無いのも事実だが金だけで動く事はない
きっと彼らなりの騎士道なのだろう
「さて、談笑するのもいいけど実際この依頼をどうするかで父上は俺達を呼んだのでしょう」
「そうなるな、依頼料はかなり多いので我々としては助かると言えるがこれを受けてしまえばまた我が領の空き時間が増えてしまうからな」
「人手不足が解消されないのが辛いですね、父上達ではなく我が領の精鋭部隊!みたいなのを派遣できれば一番ですが」
「坊ちゃんは無い物ねだりはしない主義でしょう」
「その通り、依頼を受けるならグラハと俺が領地に残りますよ」
「私は異論在りません、クロア様とウィン様にお任せします」
「俺達も隊長が決めた事なら異論ありませんよ」
「実の所カランクレス公爵の誘いを断り続けていて少し心苦しかったからな・・・こうして実力を信じて娘を預けると言われているなら応えたいと思っていたのだ、皆感謝する」
「そうと決まれば準備をしなければなりませんね、母上の誕生日の近いですしかなり忙しくなりそうだ」
「心配せずとも依頼の日はリリルの誕生日の少し後だ、じっくり準備していこうじゃないか」
「奥様の誕生日は領全体がいい雰囲気になりますからね、その後に戦死なんて縁起でもないことできないですね」
「当たり前だ、そんな事してみろ一生小言をあの世でも言われるぞ」
また笑いあう
領主とここまで笑いあえる部下も居ないのでは無いかと最近思う
「では俺は畑を見に行きたいのでこの辺で、それに万が一俺が出向くことになっても大丈夫なように訓練もしておきますよ」
「そうならないように気を付けるさ」
「皆も戻ってくれ、今日はありがとう」
「ディンはなんだか楽しそうだね」
「そりゃぁ一人の騎士として力を認めてもらえるのは嬉しいもんだぜ」
「あなたはもう少し後先を考えた方が良いと思いますけどね」
「いいではないか、依頼としては守るのが優先なのだろう?ディンにはお似合いだ」
三人が談笑している、煽りあったりもしてるがお互いに信頼もしているのだろう
言葉の節々からなんとなく、そんな感じがする
「じゃぁ三人共、俺はここで」
「はい、坊ちゃんも寒いので気を付けてください」
「そうだぜ、奥様の誕生日に風邪なんて引いた日には恨まれるぞ」
「それは考えたくないね、三人も寒さには気を付けて」
本格的に冬に入ってきた
復興はまだ終わってはいない
この寒さで護衛の仕事は大変そうだ、なにか暖かくなる物でも作ろうかな
山間の領地
冬の寒さは非常に厳しい土地である
それでもそこに住む者達の心の火は灯り続ける
彼彼女らからすれば、この寒さなど気にならないのかも知れない




