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子供ではいられない

改めまして、本編となります


三日に一話は更新を目指していきたいと思います、よろしくお願いいたします

その光景が目に入った時、俺は不快だった

この国には貴族と平民と言う階級があって、貴族達は平気な顔して自分より弱いものを虐げて

そしてその弱い者達は理不尽な事でさえ諦めて受け入れている奴らがいて

どちらも不快だった、貴族という存在もそれらから受ける行為を諦めてる奴らも


だからこそ俺は作りたいと思った、平等とまでは行かぬまでも理不尽な差が生まれない国を作りたいと


「早いものですね、今日が俺の生誕の儀式日ですか」

イストフィース家長男、クロアがそう呟く


「そうだな、お前が生まれてもう六年になるのか・・・なんだか感傷深くなってしまうな」

イストフィース家当主、クロアの父ウィンが頷いている


「受けれるだけ早く受けた方がいいですから、神様から特別な魔法が貰えるのか貰えないのか」


さっさと判明してしまった方が色々考えることができる、貰ったのならその魔法をどう生かすか考える時間が必要だが、貰えないのなら考える必要もないから


「お前は私とリリルの子だ、きっと固有魔法を授かるさ!」


父は根っからの騎士で戦いを本業としてきた人だが固有魔法も持っている、いわゆる文武両道

と言っても領地経営ではかなり頭を悩ませているが


馬車から見える王都の道、王都の教会でしか生誕の儀式は行えないらしい、理屈はよく知らない

恐らく優良な魔法なら王家や貴族が囲うために王都でしかできないのではと俺は考えている

相変わらず反吐が出る、貴族という立場の自分自身も含めて


「それにしても我が領内に比べてここは賑やかですね、さすが王都だ」


「それを言うな、私達の領内の発展のためにもお前の固有魔法を知っておく必要があるのだから」


すでに貰える前提で話をしているらしい


「とはいえ魔法一つで変われば苦労などどこの領地もしてないでしょう」


「わかってはいる、お前も王都などを学んでおく必要がある、儀式のついでによく勉強しておこうじゃないか」


他愛のない話をしていると馬車が止まる、どうやら目的地に着いたようだ


「お待ちしておりましたイストフィース殿、そちらが儀式を受けるご子息ですか?」


教会のシスターが俺を見る


「ショウナ様、本日はお時間を頂きありがとうございます」

「こちらは教会への献金です、お納めください」


父がシスターに金を渡している、儀式にはどうやら金がいるらしい

この金が固有魔法の秘密を守ってくれるとも言うらしいが俺は正直信じていない


「お初にお目にかかります、イストフィース・リーゼ・クロアと申します、本日はお時間を頂きありがとうございます」


「まぁ・・・こんなしっかりとした挨拶をあなたみたい子にされたのは初めてだわ」

「初めまして、この王都の教会を任せれていますショウナと言います、クロア君と呼んでもいいかしら?」


「ショウナ様のお好きにお呼び下さい、僕は儀式を受けに来ただけなので」

「儀式はすぐに始められるのでしょうか、馬車の疲れも特に無いので僕は今すぐにで」

と、言いかけると

「こらっ!クロア!」

父が叫ぶ

「あまり急かすな、ショウナ様もお忙しい身なのだぞ」


「まぁまぁ、子供には退屈なお話は苦痛にもなりましょう」

「クロア君の言う通り、先に儀式をやってしまいましょうか」


シスターがそそくさと準備をしてくれている

父が申し訳なさそうにしている、少し急かしすぎたようだ

「クロアよ、儀式は場合によっては長引く事もあるという、気をしっかり持って行きなさい」


「わかりました父上、とりあえずやってみますよ」


「クロア君、こちらの部屋にいらっしゃ~い」


どうやら準備が終わったらしい、儀式の部屋に入っていく


部屋に入ると中は暗かった、蠟燭の火だけが灯り中央には何かの銅像そして台


「足元に気を付けてね、段差とかはないから安心して」


「ありがとうございます、なにをすればいいのでしょうか?」


「あの台の上に乗って仰向けになるの、そしてこの部屋を君以外は入れないようにして神様のお声を待つのよ」


「声を待つって・・・どれぐらいの時間なのでしょう?」


「かなり長くても2時間程度よ」

「それ以上待ってもお声がかからない場合は残念だけど魔法を授かれないでしょうね」


「わかりました、本日はよろしくお願いいたします」

「ふふっ・・・一応外からも君に害がないか調べながら待つから安心してね」


感知できる魔法かなにかなのだろうか、少し気にはなったがとりあえず儀式を進めてしまおう


「クロア君はどんな魔法が使ってみたいの?」

「やっぱり男の子だし英雄様達のようなすごい魔法?」


準備をしながらそんな話をしてくる

「僕は・・・どんなものでもいいです」


ショウナ様が不思議そうな顔をする

「固有魔法を授かれば子供ではなくなる」

「我が父の領地はなかなか人手もなくて開拓するにしても安定して暮らすにしても大変なんです」

「だからまず僕は父の子供ではなく、一人の貴族として、領民の人達を救えるようになりたいのです」


ショウナ様が固まっている

「クロア君って本当に子供?」

「でも、そんなにしっかりしてるなら儀式も大丈夫!」


ショウナ様が詠唱を始め、それが終わると台が少し光ってるように見えた

「それじゃあ、またあとでね」


部屋に1人になった、台に進み仰向けで寝転がる

蝋燭の火がなんとなく目の端に映る

やけに眩しく感じて目を閉じる


空気は冷たい、なのに台の上に横たわっている自分の身体はなんとなく暖かい


馬車で移動してきたせいか少し身体が痛い、少しずつ眠くなっていく


眩しかった蝋燭の火がいつの間にか消えている

いや、消えているんじゃない・・・俺の意識が眠りについたのだ


「私の声が聞こえる?」


幻想的な音が、耳に聞こえた

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