第一話 人生に絶望する男
俺は今、人生をこの上なく絶望している
26歳サラリーマンの浅野正志だ……
何故こんな事になっているかって?
電車で通勤中、いきなり誰かに腕を掴まれたと思えば
「この人痴漢です!!!」
なんて言われるもんだから慌てて
「はあ!? 俺!? イヤイヤイヤ違う!」
と言った、よく見ると言ってきたのはJKであり、恐らくグルのもう一人のJKが、
「ウチもそいつが痴漢してたの見た!」
なんてほざきやがる、この時は心底腹が立った
しかし、そんな事を考えている場合でも無い…
なんせ証言者が出てきちまったからだ、
こんな状況じゃ誰だってJK側の言い分を信じるだろう
俺なら絶対信じてしまう…
他の乗客の視線が俺を向き始める
(やばい、どうしよう変な汗が出てきた…)
とりあえずこの駅で降りて駅員と話したが示談金で済ますとの事、俺のなけなしの貯金でなんとか足りるらしい、
腹立つがそれで済ませられるのならまだ良いだろうとその時は簡単に思っていた。
しかし駅での事が会社に伝わっており、会社内でヒソヒソとおれに何かを言っているようだった。
それでも周りの視線を気にしないようにしながら仕事をしていたのだが部長から呼び出されたのだ、
いやな予感がしたのだからそれは見事に的中、
クビを言い渡された…………
そんなこんなで貯金は無くなり会社もクビに…
生きていく理由も特に無くこれからどうしようと彷徨っていると………
キィィィィィガシャーン
と言う、事故を起こしたような凄い音が聞こえてきた
(あぁ誰かが事故に巻き込まれたのか………)
と他人任せな事を思っていたが、俺は宙に浮いていた
(え?なんで浮いてるんだ?)
そんな事を思った途端にとてつもない痛みに襲われた
「ッッッッッッッッグフッ」血反吐を吐いた
それによってとうとう状況を飲み込めた、
どうやら信号が青になっている事に気づかずそのままトラックに跳ねられたと言う。そして遠のいてゆく意識の中ゆっくりと目を閉じた…