手に入らないモンスター
どうしても手に入れたいモンスターがいる。
そのモンスターが手に入れば、どんなものだって手に入るというのに。
手に入りさえすれば、いくつもの国を脅し、王たちを従えて、人々を震え上がらせることができる。
そうなれば、この世界で手に入らないものなどないはずだ。
だから、そのモンスターをどうしても手に入れたい。
伝説のドラゴンを手に入れたい。
しかし、どんなに努力してもそのモンスターを手に入れることはできなかった。
たくさんの犠牲を出しても、どれだけ知恵を絞ってもだ。
なぜ?
俺は理由が分からなかった。
すると、途方に暮れていたところに、モンスターの王が現れた。
ドラゴンよりも強いモンスターがいるなど、知らなかった。
ならば、手に入れるべきはモンスターの王だろう。
だから、そのモンスターを手に入れるために、こう話しかけた。
「私に従え、そうすれば世界の全てを手に入れられるぞ」
モンスターの王は、失望の感情を瞳にこめて喋る。
「だから、貴様の願いはいつまでたっても叶わないのだ。そんなもの、モンスターである我らに価値があるとでも思っているのか?」