コミュニケーション
縁談をきっかけに、守護霊様・指導霊様と図らずもコミュニケーションを取った女性の話し。
麗子は、なぜか三十路も後半頃から、多少の霊感を持つようになった。
視えはしないけどビシビシ感じる程度ではあったが。
ある時、縁あって或る男性との結婚話しが進み、ちょうどその頃知り合った女性霊能力者に、結婚について占ってもらう事にした。
その女性霊能者は、相談者の守護霊や指導霊と会話をして、視ていく方式だった。
しばらく、無言で麗子をみていたところ、
「あらまぁ、そうなの!」と声をあげた。
??何がそうなの? 麗子が疑問に思っていたら、するすると霊能者が語り出した。
あのね、後ろの指導霊の方によるとね、お相手の方、あなたの指導霊とご縁があったみたいなのよ。
あなたの今、後ろにいる指導霊、室町時代のお姫様ね、好きだった殿方がいたのだけど、生憎その方が早世されてしまって、失望のあまりそのまま引きこもりになって過ごされて、、
求婚者は多く来たりしたけど、そのまま誰にも応じずに、一生を終えられたようだわ。
それでね、今回の縁談の方、その時、来ていた求婚者だった方みたいよ。
ご縁なのねぇ。
ところで麗子さん、指導霊ってお判りになる?
人はね、産まれる前に、どう生きようかとプランニングをしてから、母体に入るものなの。
母体に降りて来る時、その人生設計に合わせて、指導霊が選ばれるのよ。
例えば人生のテーマを10項目決めたら、10人の指導霊が応援団として憑いて、人生、その時のテーマごとに指導霊が前に出て、導いていくの。
あなたがピアノが弾けるようになりたい、と企画したら、その企画に合うように、例えば”生前ピアノをもっと弾きたかったけど叶わず亡くなり「心残り」を持ったまま霊界に居た霊”とか、ピアノに縁のある霊が指導霊、つまりあなたの応援団として参加して、一緒に空から降りてくるの。
その指導霊は、あなたがピアノを弾く機会を導いて、そしてもう充分楽しんだ、弾けるようになって満足だとあなたが思ったら、その指導霊も一緒に満足して心残りを消して、光になって、成仏っていうか、霊位がランクアップするのよ。そしてあなたが何かあった時のサポーターとして後ろに控えるの。次のテーマの守護霊が前に出てくるしね。
その応援団、つまり指導霊は、人それぞれ、憑く人数も、技能も違うのよ。
人生設計のテーマ数で人数が変わるし、やりたい事でも技能が違うの。
テーマが美味しいものを作りたい、だったら、料理人を目指していた霊が。
お腹いっぱい食べたい、だったら、生前餓死しちゃった子が憑いたり、
もっと剣を極めたかった霊が、今世の剣道やフェンシングをする人に憑いていたり、ね。
今回のあなたの場合、結婚をしたい、っていう企画に、その室町のお姫様がね、やっぱり結婚したかったって思って、あなたの産まれる時に一緒に降りてきたのよ。
だから、ご縁があって、今回の縁談が来たって事なのだと思うわ。
うん、すごくあなたの指導霊が喜んでいるわ。良かったわね。
え? あ〜そう。。
あのね、あなたは、結婚のご縁が薄いそうなの、だから、来たご縁は大切にね。
こうして、占いは、前世?というか、麗子とは別の人格である室町の姫のご縁からきているんだなぁと、不思議を思いつつ終わった。
相手の方の中にも、ご縁のあった殿方が居るのなら、幸せになれるのではないかと思いながら。。
占いからしばらくして、式の準備で、相手の方とも具体的に種々打合せをするようになった。
そんなある日、当初の話しとは違う方向で、彼が動いている事が発覚した。
あれ?先日は、こうしよう、って、一緒にしよう、って話し合ったのに、どうして自分勝手に動いて終わらせているの? 一緒にって、どうなったの? なんか変。。なんか違う。
だんだん、彼との性格不一致が表に出てきて、ついに麗子は、彼と喧嘩をしてしまった。
麗子は、毎朝、自宅の神棚・仏壇に手を合わせて、神様、ご先祖さまに祈りを捧げている。
そしてこの朝も、手を合わせながら、彼とうまく言っていないと、不安を吐露をした。
「彼と喧嘩をしてしまいましたが、どうか、良い方向に行きますように。」
と、祈ったとたん頭の中に声がした。
「あの者の根性は捻じ曲がっておる!!!(怒)」
え? もしかして、守護霊さま?
麗子が、祈りを中断し、我に返った時、
「うわぁ〜〜〜ん!!!(悲)」 という号泣が聞こえた。
麗子は、瞬時に( あ、泣いたの、室町の姫だ。。 )と判った。
このたった数秒のやり取り。
指導霊よりも上位である守護霊様から、縁談相手はダメ出しが出され、結婚を期待していた室町の姫は、がっかりして号泣してしまったのだ。
室町の姫は、悲嘆に暮れてしばらく泣き続け、どうにも止まらない。
麗子は、考えた。そして、姫に語りかけた。
「もっといい男性と結婚するから。。今回はご縁が無かったと思って。それまで待っててね。」
姫は、麗子の思いを聞き、泣き止み、嗚咽しながらも、グッと感情を押さえてくれた。
麗子も、姫をなだめながらも、
(守護霊様のダメ出し、出てるものねぇ。。 駄目なんだ、)
とスパッと諦める事にし、気持ちをかえる事ができた。
滅多にない、守護霊・指導霊とのコミュニケーションだなぁとも思いながら。
霊的にご縁があったとしても、生きているのは、別人格。
各自、育ってくる環境や出来事で、産まれる前の人生設計から外れる事もあるだろう。
縁談のあった彼も、生きていく過程で、心が捻じ曲がってしまうほど、心折られる事もあったのかもしれないな、と麗子は思った。
その後、麗子が結婚できたか?
否、まだだ。
縁、うすい、って言われていたしね。
実はしばらくして、麗子の霊感はフェイドアウト。今では、ほぼ感じない。
もちろん、コミュニケーションをとった守護霊様も指導霊様も、全く感じず、あの時はなんだったのか?と。
ただ、ふと、
「室町から数百年経て、結婚を一緒に体験しようって降りてきてくれた指導霊の姫さま。
ごめんなさい。
もっといい男性と結婚するって言っておきながら。。」
と、思い出し、室町の姫に語りかける麗子、万年婚活中? いまココ。