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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第93話 サキュバス無双と女勇者の行方

「長いなぁ……」


 東A冒険者ギルドで地下ダンジョン行き自動昇降機に乗っている僕とヘレンさん、

 一応確認のため言っておくとヘレンさんは奴隷で私物扱いなので人としてカウントされず、

 個人でAランク冒険者である僕は問題なくヘレンさんとAエリアに入れたのだった。


(そういえば今日はモヒトさん居なかった)


 コロメを見たかどうか知りたかったんだけれどな、

 情報がどうも混乱している、Bエリアからゴールデンバッドを狩りに行った情報、

 Aエリアで下へ潜って行ったというモヒトさんの情報、

 もちろん情報屋の情報に時間差があって、昨日B今日はAって事もあるんだろうけど、

 なかなか行方が掴めない女だ、でも宿が特定されているのは大きい。


「あ! そういえばヘレンさん、妖精の指輪!」

「二組に分かれる時にニィナさんからいただいています」

「良かった、いつも魔導昇降機で降りる時に渡してたから、あっちかと」


 そのあたりはさすが、ぬかりがない。


「降りた所に例の女勇者がいるかもしれませんが、冷静に」

「……はい」

「自信なさそうだね、対処は僕がするから」


 そうこう言っているうちに地下百八十階に到着だ。


「わあ、しっかりしている」


 降りた先はちゃんとした洞窟の内部で、

 衛兵がしっかり扉を守り、医務室に休憩所まである、

 ギルドの服を着た僧侶ぽい人は戻った冒険者たちにヒールをかけている。


「あれ? モヒトさん、一緒に行ってたんですか」

「おう! ちょっとAクラスパーティーに指導をな」

「元気ですねー、あ! その、例のあの人見ませんでしたか」


 これでちゃんと通じるよね?


「今日は見てないな、最もワシが降りる前に来ておったら知らんが」

「ありがとうございます!」


 さあ外へ出ようというタイミングでサキュバス六体を召喚するヘレンさん、

 育成途中なので魔石から造り出すのではなく、空間の狭間から出す感じだ。


「ほう、なかなか立派なサキュバスじゃのう」

「モヒトさんそれ褒めてるんですか」

「種類違いをこれだけ揃えるのは大したもんじゃて」


 そんな会話ののち表へ出る、

 このあたりはペアハンだとかなり厳しいらしく、

 さっきのモヒトさんは七人パーティーだった、それでも大変そう。


「よし、八人パーティーの腕の見せ所だ!」


 六人サキュバスだけどね、

 ということでヘルモンキーやらディープマウスやらを狩りまくる、

 基本的にはサキュバスの前衛五体がガシガシやっつけてくれて、

 とんでくる昆虫系モンスターのドラゴンフライをヘレンさんが鞭でしばく以外は、

 僕と白いホーリーサキュバスが回復魔法でじっくりケアする程度だ。


(あ、意外と楽かも)


 などとお調子に乗ってきたのでメンテナンスから戻ってきた

 僕の懐かしの相棒、プライドソードを出して試し斬りをしてみる。


(情報屋でニィナさんに返してもらったんだよな)


 昨日の僕がドワーフの姫に拉致られた直後か、

 それとも今朝なのか知らないけれどメンテで渡していたのを

 ニィナさんがベルセルクソードと一緒に引き取ったらしい。


「よーし、あのスリーピースカンクを斬っちゃうぞー」


 匂いで眠らせる危険な魔物だが先手で行けば大丈夫だ、

 といった感じで百八十階から百九十階あたりをひたすら狩り続け、

 僕の特殊能力で強化されたサキュバスの攻撃を堪能し、

 まさに『サキュバス無双』とも呼んでいいような時間を過ごしていると、

 気が付けばおそらくお昼過ぎあたりだろうという頃合いになった。


「ヘレンさん大変です! お腹が空きました」

「……わかりました、戻りましょう」

「それにしてもサキュバスの動きの切れ、凄いですね」


 やっぱり強化される特殊能力のおかげかな、

 でもこれってヘレンさんに能力倍が行っているからなのか、

 サキュバスにも能力倍が行っているからなのか、両方なのか。


「……おかげ様で魔石が沢山取れました」

「土属性が多かったから余剰分は売っちゃいましょう」

「風属性は多くても残した方が良いですね」


 あいかわらずの急な地下渓谷を洞窟まで戻って入ると、

 衛兵にチェックを受ける、冒険者カードを見せてちょっと気になった事を聞いた。


「あ、衛兵さん、たとえばここにBエリアまでしか入れないパーティーが来たとして、

 もう狩れないよー、地上に帰してよー、ってなったらどうするんですか?」

「その時は衛兵付きで地上まで戻して、門まで連行します」

「なるほど、さすがに『ダンジョンに戻れ! 出ていけー!』とはならないんですね」


 良心的だ、命がかかっているから当然か、

 そして良い事を聞いた、と一息ついてから魔導昇降機に乗る。


「ヘレンさん、今のでちょっと試したい事が」

「……何でしょうか?」

「ダンジョン内のSクラスの昇降機まで行って、上まで戻してもらいましょう」


 うん、これで合法的にSエリアに入れる!


「……わかりました、手掛かりが掴めるのであれば」

「Sクラスに昇格している可能性がゼロじゃないからね」


(どうなっているんだろう、ワクワクする、Sエリアの娼館って!!)


 冒険者ギルド五階まで戻るとモヒトさんがソファーでくたびれていた、

 さすがに老体に鞭打ったのか今日はずっとこんな感じになるらしい、

 ただ僕のために女勇者が来るかどうか見てくれているというのでコモモをあげた。


(あんまりあげすぎると意外と早く無くなるから、ひとつだけで)


 受付で土属性の魔石をしこたま渡す、

 そして真面目熟女受付嬢からまたも嬉しいお知らせが。


「おめでとうございます、ヘレンさんはレベル五十二に上がっております」

「……凄い、凄いわ、本当に凄い!」

「あれだけ狩ればね、早く五十五にしちゃいましょう」


 受付挟んだ向こう側、Sエリア受付のマリーナお婆さんは熟睡していて、

 声かけても返事なかったのでコモモあげるのあきらめようとしたら、

 モヒトじいさんが『渡しておいてやるからよこせ』と、まあいいやってひとつあげました。


(魔導昇降機に乗った瞬間、かぶりついていたような)


 そして一階から外へ、

 噂の、情報があったコロメが良く行く高級レストランを覗くも居ない感じで、

 そのまま流れで娼館の前を通り過ぎる、へえ、ここよく見たら二十四時間営業か、凄い。


「いかがなさいました?」


 前とは違うお綺麗なお姉さんに声をかけられた、

 店前担当の客引き娼婦さんかな、うん、お嬢様系だ。


「いや、なかなか素敵な娼館だなって」

「ありがとうございます」

「奴隷じゃないんですね」

「はい、Aエリアのこちら『誘惑リップス』に奴隷はひとりもいません」

「へえ、じゃあ純粋な職業としてやってらしてるのですね」


 高そー。


「出張もやっていますよ」

「宿まで来てくれるんだ」

「はい、他エリアでもダンジョンでも」

「ダンジョンって! ダンジョンでするの?」

「まれにパーティーに混ざって戦闘しますね、危険手当はいただきますが」


 ん? そんな事もやってるのか、

 そういえばBエリアの娼館だと元冒険者奴隷が娼婦やってたみたいだから、

 なるほど、そういう使い道もあるのか、なかなか面白いな。


「お姉さんも?」

「はい、私は魔法使いですね」


 すっとアイテム袋から杖を見せてくれる。


「あ、ひょっとして女勇者とか居ません?」

「まさかぁ」

「ですよねー」


 とまあ有益な情報を貰い、

 また機会があれば、とその場を去った。


(じゃあ前に会った、最初のあのお姉さんも後衛系かな)


 となるとSエリアの娼婦がますます楽しみだ。


「……ご主人様、その表情」

「いやいや、抱かない!抱かないってば!想像してただけ!」

「……娼館狂い(ぽそっ)」


 ええっと、隷属の首輪って、どうやって絞めるんだっけ……??

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