第83話 サモナーレベルアップとアンジュちゃんの診断
「おめでとうございます、ヘレンさんはレベル五十一になりました!」
「えっ嘘?!もうレベルは上がらないって言われていたのに!!」
うん、僕とニィナさんの個人スキルは今日も絶好調だ、
それに加えてニィナさんが事前に魔石と一緒に渡した
経験がパーティーメンバーの分みんなまとめて倍になって貰える
『妖精の指輪』も効果てき面で、その結果がレベルアップである。
「サキュバスはレベルが上がってはいないのか?」
「お待ち下さい……経験は入っているようですね、レベルアップはもう少しです」
「そうか、なるほど」
「基本的にはサモンも経験は入りますがティムモンスターよりは少ないです」
「サモンの倒した経験値はヘレンには入らないのか?」「入ります、分けあうようです」
おそらくサキュバスも妖精の指輪的にはヘレンさん扱いなんだろうけれど、
サキュバスは自分の倒した分だけ、しかも全部は入らないのか、そりゃあ上がりにくい。
(あれ?じゃあサキュバスに妖精の指輪をはめたらどうなるんだろう?)
そんな事を考えながら素材は渡さず東C冒険者ギルドを後にする、
そして待ち合わせの西冒険者ギルドへ、すでに夜になっていてアンジュちゃんクラリスさんは、
いたいた!壁に貼られた依頼表を見てまわっていた、ニィナさんが声をかけ合流する。
「どうだったそっちは」
「はい、色々と見ていただきました、健康診断としては正常でした」
「とりあえず荷物が来ていないか聞いてくる」
ニィナさんが勇者受付へ行くとしばらく話してすぐ戻ってきた。
「荷物も待ち人も明日だそうだ、とりあえずアンジュの話をしよう」
近くにあった立ち飲みのテーブルにたむろする、
ギルド併設食堂の外側で注文すれば受け付けてもらえるので、
せっかくだから軽い飲み物を頼むことに、僕はヘレンさんに聞く。
「ヘレンさんは何を飲みます?」
「せっかくだからワイ……いえなんでも」
「エールで良いな、では私も飲もう」「ではわたしも」
ニィナさんクラリスさんもつきあってお酒か、もう戦わないからいいだろう。
「これが短期学校で調べていただいたアンジュちゃんの基本情報です」
クラリスさんが出した紙は詳細だった、ニィナさんが見終わって僕にまわってくる。
名前:アンジュ 年齢:19 性別:女 レベル:51(82、26%) 主属性:闇
職業:幻術師 体力:108 魔力:8972 攻撃力:25 防御力:11
素早さ:449 運:526 個人クラス:D
所属パーティー:ニィナスターライツ(Bクラス)
所属メンバー:ニィナ(勇者、リーダー)
クラリス(賢者、サブリーダー)
デレス(勇者、勇者ポーター)
アンジュ(幻術師)
ヘレン(サキュバス系サモナー、奴隷)
幻術師魔法
レベル25 パーソナルウェザー(天候召喚魔法)現在Lv5
レベル30 コンパス(方位確認魔法)現在Lv1
ダークネスイルミネイト(暗幕魔法)現在Lv4
レベル35 鑑定眼 現在Lv3
ディグホール(落とし穴魔法)現在Lv7
ランダムダイヤル(数字出現魔法)現在Lv4
レベル40 無詠唱
コンフィデンスボディ(状態異常無効化魔法:味方単体)現在Lv4
ウェイトレスネスシャトル(浮遊魔法)現在Lv10
ユニークサウンド(効果音魔法)現在Lv4(4曲)
レベル45 索敵
転移(瞬間移動、最高でパーティー全員まで同時可能)現在Lv3
ナイトシーカー(パーティー以外認識できなくなる)現在Lv1
ザデス(魔力と比例する確率による即死魔法)現在Lv1
レッツパーティータイム(魔力と比例する確率による踊らせ魔法)現在Lv1
レベル50 魔力吸収(人でも魔物でも魔力を吸い取る)現在Lv1
隠匿(アイテムや魔物を自分のパーティー以外認識できなくさせる)現在Lv1
デイドリーム(一時的な魔法封じ魔法)現在Lv1
ネイキッドコード(装備品以外の防御無効化)現在Lv1
仲間経験値倍増
個人初期スキル:超大器晩成 レベル50まで極端に上がりにくいがそれ以降は徐々に必要経験値が少なくなる
武器:イリュージョニストロッド(魔法成功率増加:微量 レベル10で冒険者ギルドから貰える)
ショートクロスボウ(10本連続発射)
防具:セクシーパンサーローブ(物理防御A、魔法防御S、魔法自然回復A、重量軽減A、素早さ向上A)
装備:ピンクのネックレス
魔力回復ネックレス(魔力自然回復増加:微量、レベル50で冒険者ギルドから貰える)
男性用セクシーパンツ(魅了向上E ※性別違いのため)
運動用ジュニアブラ
婚約指輪(精神安定E)
前にアンジュちゃんがヘレンさんを鑑定した時より情報が多い、
これは単にアンジュちゃんの鑑定レベルが低いからか、面倒くさくてはしょったのか。
……あれ?折って続きがある、めくって見よう。
精神障害度D 先天性:64% 後天性:36%
あーこれアンジュちゃんに隠してるのかな、慌てて折り曲げ戻す、
こうやってあらためてはっきり書かれるとちょっとショックはあるというか、
そうだよな後天性が八割とかだったらすでに引き取った貴族がどうにかできてただろう、
幻術師のレベル的に育つかどうかは別にして。
「それでクラリス、アンジュの今後の予定は?」
「明日からまず午前に普通の学校授業、
早く育てたい貴族の息子とか施設から金持ちに引き取られた子が数名居るようです」
「では午後から幻術師の授業か」
「そうですね、もちろん他に幻術師の生徒はいませんが、
アサシンの男の子が居るそうで授業内容によってはペアを組むそうです」
「てっきり隔日で普通と幻術師の授業を受けるのかと思っていたぞ」
時間があったらアンジュちゃんの自習にもつきあってあげなきゃ。
「五日授業で残り二日は休みです、ちなみに料金は白金貨二枚で」
「やはり高いな、仕方がないか」
「そのかわり三か月で仕上げてくださるそうですよ」
駄目でもお金は返ってこなさそう、
ああケルピー資金がああああぁぁ……。
「どうしたデレス、頭を抱えて」
「いや、アンジュちゃん当分一緒には戦えませんよね」
「アンジュ、どうする?」
「……二日休みがあるならどっちか、あと授業の帰りとか」
「アンジュちゃん、ほんと無理しないでね」
僕の言葉にコクコク頷いている、
ヘレンさんはアンジュちゃんの情報に眼鏡の下の目を丸くしていた。
「これは……凄まじいです」
紙をクラリスさんに返す、
丁度飲み物が来た、テーブルが高いから僕とアンジュちゃんは果実汁を取るの大変、
と思ったらアンジュちゃんは普通に浮き上がる、むしろ今まで地についていた方がレアか。
「ではこれからに向けて、乾杯」
「「「「かんぱーい」」」」
さあ明日から本格的なオークションの資金稼ぎだ!
……と思ったのもつかの間、意外な落とし穴が待っていた。




