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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
最終章 幸せ勇者と淫乱バーサーカーハーレム
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第812話 シフリン魔法使い派遣所という建物が出来ていました

「ただーいまっと」


 アンジュちゃんの声でやってきたのはシフリンの冒険者ギルド、

 随分と綺麗になっているなあ、と見回すと例の薄汚い一角が掃除されている、

 普通にソファーやテーブルがある休憩エリアに……溜まっていたあの子達はどこへ??


(冒険者ギルド内は、落ち着いているな)


 混んでる時間を避けて、

 遅めの朝食をゆっくり採ってから来たからね、

 いや昨夜ベッドで遅くまで愛され過ぎたっていうのもあるけど!


「こっちだよー」


 心なしかここでは低めに浮いて移動のアンジュちゃん、

 ちなみに異世界人は連れて来ていません、なぜだろう?

 アンジュちゃんの気分かな、そこで一応の警備についてこさせたのが……


「ナタイラちゃん、何かあったらお願いね」

「はい、デレスさんと一緒の行動が出来て嬉しいです」

「ちなみに妹さんは」「クァイトくんの御守(おも)りですよ」「なある」


 褐色少女、ってもうそんな年齢でもないか、

 とにかくお伴にそんな感じのをふたり連れた僕、

 いや僕がアンジュちゃんのお伴かなここじゃ、とか思いながら一旦出てついていくと……


「あっ、これは!」

「まほーつかい、あんないじょなのでっす!」


 冒険者ギルドの隣に出来た三階建ての新しい建物、

 でっかく『シフリン魔法使い派遣所』って看板が掲げられている、

 そして入口に花輪まで、六つもあるなこれ、どこからだろう?


『祝 開店 S級冒険者 ニィナスターライツ』

『祝 開店 モバーマス大陸 冒険者組合一同』

『祝 開店 ムームー帝国皇帝 ズッキ・フェゴーティン』


 まさかの女帝名義きたあああ!!!


『祝 開店 モバーマス大陸 商業組合一同』

『祝 開店 ドワーフ国鍛冶師組合 マリウ』

『祝 開店 卒業生 幻術師アンジュ=アヴァカーネ(仮)』


 かっこかりって!

 ていうかアンジュちゃんダブって出してんじゃん、

 ニィナスターライツと……あと何気にマリウさんの触手が!


「たのーーもーーー」


 あっ、アンジュちゃんガラガラと入っちゃった!

 受付にはこざっぱりした青年、いや少年かなこれ。


「いらっしゃいま、あっオーナー!」

「きたよー、おむこさんひきずりまわしてきたー」

「あっどうも、デレスです」「ナタイラと申します」


 いやまだ回されてはないと思うが。


「受付のタムスです!」

「うん、胸の名札に書いてあるね」

「どのような魔法使いがご入り用でしょうか」


 アンジュちゃんが飴ちゃんあげてら。


「きょーはだんなさまに、ここのせつめーにきたのでっす!」

「そうでしたか、奥に師匠と所長が」「しごとしてんのー?」

「師匠はまだ起きたばかりで、所長は事務仕事の最中ですね!」


 ええっと師匠は多分アレだよな?

 そこそこ憶えてる、一応は確認しておこう。


「その、師匠と所長の名前は」

「師匠はミロ師匠です!」「やっぱり」

「所長はイライザさんです!」「……誰だろ」


 後者は知らない人か、

 会えば思い出すかな?

 前のルアンコもだけど、姿を見たら意外と名前が出てくる。


「んぢゃいこっかー」


 廊下を微妙に浮いて移動のアンジュちゃん。


「ししょーーはーーーーどこだーーー」


 おいおいおい、言い方!

 綺麗な身なりの少年が食堂だって指さしてる、

 ていうかみんな小ざっぱりした服だね、見られても恥ずかしくないようにか。


 ガラガラガラッ


「めしくったかー!」

「おおアンジュ! いま食べ始めた所でな」

「あっどうも食事中にすみません」「デレス殿、これは久しい」


 とか言っても半年ぶりでもないかな?

 色々あり過ぎて時間感覚が……少なくとも季節は変わっている。


「お久しぶりです、魔法使いの育成所みたいなのを作るとは聞いていましたが」

「はい、我輩に出来る事を精いっぱいやらせていただいた結果、アンジュの方から資金を出したいと」

「それでこの建物ですか」「私は経営はさっぱりですので、あくまで『師匠』という立場で」「師範代みたいなものですね」


 で、合ってるよね?


「こっちはー、ナタイラっちです!」

「初めまして、踊り子のナタイラと申します」

「なかなかの魔力を感じますね」「はい、基本は攻撃魔法ですが回復魔法も」


 例の魔導書で憶えたのもあるけど、

 実は踊り子って攻撃魔法派と回復魔法派に分かれるらしい、

 姫姉妹は両方とも攻撃派だったから、そのうえで全体回復魔法習得は、ありがたい。


(もう姫姉妹のみでも、普通のダンジョンならすぐに攻略できるだろう)


 そして絶賛朝食中のミロさん、

 バイキング形式か、普通に良いものが並んでいるな、

 こういうのって食費が大切なんだよな、特に育ちざかりが多いと。


「あれ? ミロさん、ここってひょっとして孤児院も兼ねている?」

「はっきりそう言うと不味い部分もあるので、あくまで有望な魔法使いの育成所です」

「建前ね、でも魔力が無さそうな子も」「将来の職員ですね、ここの」「なるほどー」


 孤児院を年齢で出た子の孤児院か。

 アンジュちゃんがプチトマトを摘まんだ。


「んー、あそこのユゥアちゃん、お姉ちゃんは魔力あるけどー、

 弟のカッチくんは魔力ないからー、しょーらいのよーむいんさんこーほかなー」

「そこまで考えてるんだ、アンジュちゃん偉いね」「よーむいんだからってなにしてもいーわけじゃないよー」


 当たり前だ、

 さんざんここで(冒険者ギルドたまり場の方ね)酷い事されてたアンジュちゃんが言うと説得力あるな。


「姉弟で引き取ったんですね」

「そこはイライザの判断ですね」

「えっと所長さんですね」「何でもデレス殿と会話した事があると我輩、聞いておりますが」


 ええっと冒険者ギルド職員かな?

 受付嬢でそんな名前の人が居たような、

 いや違うか、このあたり会えば思い出すでしょ会えば。


「デレスくん、あとまだ聞くことなーいー?」

「はい、ミロさん冒険者復帰されたんですよね」

「そうですね、もっぱら弟子の育成目的ですが」


 ここの魔法使いの子たちのね。


「結構、育っていますか?」

「はい、少なくともDランクにはして巣立てようと」

「良いじゃないですか」「魔法学院に入るより、こちらのが手っ取り早いという噂も」


 お金がかからないからね、

 むしろ衣食住付きならば、

 それこそ棲み分けが出来ていいや。


(金持ち&高才能は魔法学院、貧乏は魔法使い派遣所ってね)


 そのうち魔法学院より大きくなったら、どうしよう。


「デレスくん、そだてよー、と、すだてよー、は、べつだよー」

「うん、わかっているよ、育てて巣立てるんだよね」「たびだちだよー」

「それでミロさん、心配していたあたりは大丈夫なんですか、使い捨てとか奴隷とか」


 おさらいすると行き場の無い魔法使いの子ら(アンジュちゃん含む)が、

 冒険者ギルドの片隅に溜まっていたとき、変なのに拾われないように見張っていたのが、

 このミロさんだったりする、冒険者ギルドの顔役も兼ねてたんだっけな確か、当時は半引退してたけど。


「そのあたりの説明はイライザの方から」

「あっはい、朝食中、失礼致しました」「たべたら狩りー?」

「そちらのユゥアらの育成ですね」「カッチ君は」「留守番です、彼に関しては闘わないそうです」


 アンジュちゃんがふわふわ姉弟の方へ。


「カッチくんはびょーきしててー、ハイトウさんのまほーで治ったんだよー」

「あ、そうなんだ」「でー、後払いのちりょーひをユゥアちゃんがぼーけんしゃでかせぐのー」

「それでここへ」「だいきんはー、おまかせなんだよー」「それはなかなか難しいね」


 治療費が後払いでお任せって、

 考えようによっては破格であり、

 逆に言えば見えない鎖に縛られるようなものか。


「カッチくん、戦わないけどここのおそーじとかお手伝いがんばってるよー」

「はは、うん、こういう場所ではそういう人は凄く大事だからね、頑張って」

「……ありがとう、所長さんも僕が便所掃除してた時に言ってた、『汚い仕事ほど綺麗な仕事は無い』って」


 しっかりした物言いだなカッチくん、

 将来は受付を任せられそうだ、もうちょっと成長したら……

 お姉ちゃんのユゥアも撫でてあげている、いやほんと昔のままだったら今頃、下手すると彼女はどうなっていたか……


(今のここは、もうそんな事は決してさせないだろう)


 それはそうと良い事を言うな所長さん、

 これは是非とも会ってお礼を言わないと。


「んぢゃまー、しょちょーにあってくるー」

「はい、デレス殿とお会い出来るのを楽しみにしているそうですよ」

「ええっと名前からして女性ですよね」「もちろんです」


 ということで食堂を後にして廊下へ。


「ミロさん元気そうで良かった」

「おかねにうといとこあるからねー、しょちょーがしっかりしてくれてるよー」

「女性の所長さんねえ」「あのデレスさん、アンジュちゃん、ここへ来た時からじーっと隠れて見ているあの子は」


 ……うん、アンジュちゃんの元カレだね。


「ナタイラちゃん、スルーで」「は、はい」

「いいよねアンジュちゃん」「なんかボクが話すと、泣いちゃう」

「あー、うん、そっとしておいてあげよう」「見るのは無料(タダ)だからねー」


 どういう意味だ、

 と思いつつ所長室に到着。


(なんとなく、シュッコのチアー女史や帝国のストレーナ女史みたいなのを思い浮かべるな)


 さて、どんな女所長が座っているのやら……?!


 コンコンッ


「きたよー」

「あらアンジュちゃん、どうぞー」


 ……なんだこの、とんでもなく色っぽい声はーーーーー?!?!?!

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