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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
最終章 幸せ勇者と淫乱バーサーカーハーレム
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第804話 謝罪と謝罪

「では正式なこちらでの結婚式はアイリー城でするそうですが、

 一応、こちらのミシュロン家でも再度、軽くご挨拶をさせて頂きますので」


 夕食会も終わりようやく帰ろうと、

 玄関の前で僕はミシュロン家の皆さんに告げた、

 窓から見えたニィナさんの兄や姉(らしき人物)を睨んだらスッと引っ込んでやんの。


(呼び出して罵倒するのもいいけど面倒臭いからね)


 そのあたりは、やるなら次回だ、多分やらないけど。

 弟や妹たちと名残惜しそうにしつつも離れたニィナさん、

 さあこのタイミングですよ、と義父上を見ると、その目線は……国王陛下だ。


「では改めて、ニィナ=ミシュロンよ」


 陛下が宰相さんとならんでこちらを向くと、

 ニィナさんもさすがに緊張気味に構えた、やはり元騎士団員。


「……本当に済まなかった、国王として大切な部下を失ってしまった、

 屈辱に耐え、長年、我がアイリー国のために戦い、護ってくれた事に感謝する、

 そして国王として詫びよう、どうか、どうか幸せになって欲しい……申し訳なかった」


 頭を下げた国王陛下、

 宰相さんも一緒に軽く……

 いや陛下が頭を下げたんだ、軽くだなんて言っちゃいけない。


「陛下、悪いのは一部の者です、

 それをあぶり出せたという意味では私は気にしておりません、

 今後は帝国の宮中伯へ嫁ぎますが、騎士団員としての誇りは忘れません」


 ニィナさんも片膝ついて頭を下げた、

 頷く陛下、にしてもまさか最初に陛下が謝罪するとは、

 おそらくそのために来たようなものだろう、と、なると……


(義父上へのプレッシャー、半端ねえ……!!)


 これで変な謝罪したら、

 ミシュロン公爵家の立場どころか、

 それこそ宰相さんがレイピアで胸をズブリだ。


「ニィナ」


 陛下とは別の方向からこちらを向いた義父上のサオンジ=ミシュロン公爵、

 そちらへニィナさんや僕が身体を向けるとその両隣は正妻ムムカ=ミシュロン第一夫人、

 側室でニィナさんのでっかいでっかい実母、スザァヤ=ミシュロンことぶるんぶるん夫人(失礼)が並んでいる。


(第三夫人だっけ第四夫人だっけ、とにかくちゃんと立ってる)


 姿勢が良いとかいうレベルじゃなく、

 ちゃんと安定して大地を踏みしめているとでもいうか、

 だなんて強烈な存在感のスザァヤさんばかり見てないでミシュロン家当主を見る。


「父として娘に辛いことばかり押し付けて申し訳なかった、

 愛情が足りなかったと言われればそれまでだが酷い父で済まない、

 公爵家としてではなくひとりの父親として謝罪する、許して欲しい、済まなかった」


 深々と頭を下げると、

 両隣の奥さんも頭を下げる、

 スザァヤさんお腹がつっかえて大変そうだ。


(奥で執事さんも頭を下げているな)


 そして、みんなして下げ続けた時間の長いこと、

 これって声をかけた方が良いのかな、といったあたりで自分たちで頭を上げた、

 うん、形としてはまあ完璧に近い、きちんとした謝罪ではある、一応は僕のリクエスト通りだ。


(問題はニィナさんなんだよな)


 ここで正面のニィナさんが言葉を返す。


「私は心の中では許すつもりは無い、わかっていると思うが、

 絶対に許しはしない、しかしそれは心の中だけでの話だ……

 父上、何にせよ今日まで、と言っていいか、とにかく育てて頂いた事には感謝する」


 ニィナさんも頭を下げた、

 意地を告げつつ大人の対応……かな?

 陛下もこれを見届けてウンウンと頷いている。


(これでも相当言葉を選んでいるんだろうな)


 うん、もうこれで良い、

 下手に言葉を足させると、

 余計な感じになりそうだからね、嫌な予感が。


(なのでここは僕が喋ります)


 まずは陛下の方へ。


「陛下、ありがとうございました、結婚式の日はよろしくお願いします」

「うむ、帝国からも招待されておる、外交に上手く使わせて貰おう」「それは是非」

「では帰るぞ、公爵もよく謝罪した、これで手打ちだな、少なくとも形の上では……ではな」


 馬車の方へ行く陛下、

 僕らが乗って来たやつじゃないか!

 いいのか、ミリカさんも居るな、あと警備の騎士団員……


(そうか、ニィナさんの元部下、陛下の護衛が本業で来てたのか)


 おそらく食事中とかも屋敷の周囲を警備していたのだろう、

 乗って走り去って行くのを見届ける僕ら、ちゃんと頭を下げて……

 見えなくなった所で改めて僕は公爵家の出てきている面々に向かい合う。


「ではニィナさんは、いただいていきます」

「ああ、確認だが自害はしなくても良いのだな?」

「もちろんですよ、結婚後も必要な時は『使わせて』いただきますから」


 ニィナさんを道具に使っていたミシュロン家への、

 僕からの精いっぱいの嫌味である、伝わっているかは別にして。

 そしてニィナさんも、とりあえずのお別れの言葉を。


「では父上、義母上、母上、失礼する」

「うむ」「ご苦労様」「また美味しいものをね」

「リィナ、ミィナ、ユース、キョース、またな」「はいお姉さま」「さま!」「姉上、また」「またぁ」


 転移スクロールを掲げる僕、

 ナスタシアさんもきちんと範囲に入れて……


「では!!」


 僕のその言葉で、

 天大樹(あまたいじゅ)一号館の、

 冒険者ギルド前に到着したのであった。


(ふう、緊張した)


 その直後、

 ニィナさんが僕を抱きしめた!!


「うっ、うううぅぅ……」

「ニィナさん? ……ニィナさん?!?!」

「デレス……デレス、ありが……とぅ……」


 ニィナさんが、

 泣いているううう?!?!?!

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