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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第八章 ざまぁ勇者とギャンブルのような決闘
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第731話 リミオンシアターと小さく前ならえ

「ここが予選会場か」


 ニィナさんが見上げる大きな二階建ての建物、

 屋上に『チャンミオ リミオンシアター』と看板が文字別に建てられている、

 『ア』の上では何か生き物が……ワイルドキャットが乗っているな、シアターで飼っているのか。


(ちなみに『リミットオン』略してリミオンだそうです)


「ややや、自動販売機が三つもありますぞ!」

「赤い自販機はあの会社だよね、青はあの会社、病院にもあったよ」

「黄色いのは格安で有名なメーカーですね」「しじみ汁ですって、こんなの誰が買うの?」


 異世界人達が色めき立っている、

 銅貨を入れると封がされたジュースとかコーヒーとか出てくるやつ、

 田舎出身者が見て喜ぶ事で有名な『無人販売魔導装置』だ、確かに自動販売機って呼び方も出来るな。


(黄金樹にもあったなそういやコレ)


 さすがに『しじみ汁』は無かったけど。


「入るぞ、予選の申し込みだ」


 中は風魔石の空調が効いてて気持ち良い、

 四季がはっきりしているらしいこのチャンミオでは、

 暑い日も寒い日も、ここでなら快適に劇とか見れそうだ。


「ようこそシアターへ!」


 入って正面、

 普通なら座席売り場であろう場所に、

 胸に青いリボンをつけた、可愛らしい受付嬢が居た。


(胸の名札に『イチカ』と書いてあるな)


「予選の受付に来たのだが」

「はい、用紙はお持ちでしょうか」

「四人だ、サモンも行けるか」「推薦状があれば」


 参加者はオトゥハさん、MAINAちゃん、ニイヅマさん、ナタイラちゃんだ。


「……はい、予選は明日・明後日になります」「早いな」

「本来ならギルマスさんの推薦であれば免除なのですが」

「時間は」「朝から夕方までお好きな時間ですよ、本選は翌週です!」


 あまり時間とか気にしなくて良いよね、

 アンジュちゃんの学校は後はお別れ会と卒業式だけらしいし、

 ちなみにテストは合格らしい、理由はシュッコの平和に貢献したからだとか。


(点数関係ないんかーい!)


 まあ特別コースだし。


「ステージを見ていかれますか?」

「うむ、下見は大切だからな」

「ではご自由にどうぞー」


 ロビーを良く見るとお土産売り場もあるな、

 歌い手さんお奨めのプリンとかも売っている、

 『劇場の冷蔵倉庫に入れておくと誰のものでもすぐ盗まれます』て書いてある、治安悪いなオイ。


(二階席への階段もあるのか……)


 そして重圧な扉を開けいよいよ劇場へ、

 座席がいっぱい並んでいてステージには灯りが、

 そしてすでに三人の女の子が練習をしていた。


「「「フライング……コカトリス!!!」」」


 飛び跳ねてる、踊りも取り入れているのか。


「メッシャ、高く飛びすぎ」

「フゥリンはアピールしなさすぎだよ」「ふたりとも、合わせよう?」

「アャカは笑顔だけが取り柄なんだから黙ってて!」「メッシャちゃん、酷い……」


 あっ、喫茶店で声だけ聞こえていた子らだ!


「ちょ、誰か来た!」

「あっ、ごめん、ステージ使う?」

「わあ大所帯! 皆さん参加されるのですかあ?」


 黄色・青・ピンクの練習着の三人が並んで僕らを見る、

 それに応えるニィナさん。


「いや下見だ、邪魔して悪い、我々の中からは四人、参加するが……君たちは」

「はーい! みんな行くよ、小さく前へ……ならえっ!!」


 おお、三人、息がぴったりで横を向いて両手を小さく胸のあたりで突きだした!


「私達は歌い手トリオ『ネクストニューカマ―ジェネレーションズ』略して『ネクジェネ』です、

 私はリーダーのメッシャ、生まれも育ちもここ、チャンミオです! そして……」

「フゥリンです、よろしくお願いします」「アャカです! 一緒に頑張りましょう!」「いやライバルだろう」


 ニィナさんの冷酷なツッコミに小声で「そぅでした……」て言っているアャカちゃん、かわいい。


「我々は冒険者パーティー『ニィナスターライツ』だ」

「あー知ってる、めっちゃ強いんでしょう?!」

「七大魔王を倒して回っているらしいね」「本選で出てきますものね、七大魔王」


 知ってるんだ、僕らの事……

 いや七大魔王参戦の方はポスターにでかでかと載ってたし!


「魔王との戦闘については我々に任せて欲しいが問題は『歌い手』としてだ」

「んー、勝って貰った方が七大魔王を討伐できるかもだけど、私達も手を抜く訳には」

「メッシャ、私に良い考えがあるよ」「なになにフゥリン」「私達が優勝したら、五人、助っ人で入って貰おう?」


 そんなのアリなんだ。


「ふむ、まあ考えておこう」「やった、ぶいっ!」


 喜ぶアャカちゃん、ほんと笑顔が人気って感じだ。


「ちなみに冒険者としては」

「リーダーの私、メッシャが魔法使い! そして」

「フゥリン、剣士だよ」「アャカ、僧侶です、頑張ってます!」


 若さ的にそこまでレベルは……って感じだけど、歌い手としては良さそう。


「わかった、予選の日が一緒になったらまた会おう」

「はい、本選でも!」「それまで練習、がんばるよ」「えへへへへ」

「では続けてくれ、行くぞ」


 こうしてロビーに戻ると……!!


「アンジュ、ついてこなかったのか」

「屋上のワイルドキャットつれてきたー」

「ん”に”やあ”あ”あ”あ”あ”~~~……」


 首輪に名札がついている、

 名前は『おおおやぶん』ですって、

 うん、ふてぶてしい感じが、まさに大親分だね!


「よし、では天大樹(あまたいじゅ)に戻ろう、参加組は特訓だ、良いな!」

「「「「はいっっっっ!!!!」」」」


 ……あ、帰る前にしじみ汁を買っちゃおうっと。

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