第675話 ゴーレムとゴーレムをぶつけ合うその先に
「でやあああああああ!!!」
ニィナさんがボロボロのベルセルクソードでクリスタルなゴーレムを弾き、
後ろのゴーレムにぶつけると確かにダメージを受けているようだ、うん、群がらせて正解だ、
クラリスさんもバリアを解除したので味方に回復魔法をかけまくっている。
(ゴーレムの目から光魔法が飛んでくるからね)
僕らのレベルだと即死は無いし、
ナタイラちゃんが回復魔法シューティングなんとかを降らせているから、
二重の回復で万全の状態だ、例え死んでもゴッちゃん(ゴッデスサキュバス)の蘇生もあるし。
(なので攻撃組は、作戦に専念できる)
「はああああああああっっ!!」
ヘレンさんはサキュバス達を操って、
エンちゃん(エントサキュバス)やホフベさん(ホワイトフロントベアード)がゴーレムを持ち上げて他のゴーレムにぶつけたり、
一番素早いシル姉ちゃん(シルバーサキュバス)がゴーレムの殴りを素早く避け、わざと後ろのゴーレムに当たるようにしたり……
「なるほど、では私も!」
あ、ナスタシアさんが真似し始めた!
さすが勇者アサシン、身のこなしが鮮やかだ、
そしてゴーレムのパンチが他のゴーレムの顔に当たって少し割れた。
(うん、繰り返せば行ける!)
ダクちゃん(ダクネスサキュバス)も闇魔法でゴーレムの視界を封じ、
混乱させて同士討ちをさせる、こういった状況を吟遊詩人が歌のスキルでアシストする……
猥歌(春歌)のカウミさんも演奏をソロバンとやらにしたから敵が適度に止まって相討ちの的にし易くなる。
(敵の動きをたまに止める効果の武器スキルね、武器というか楽器というか)
本来は計算のための道具らしい、
ってそんな話はさておき、他のサキュバスはその吟遊詩人を護りつつ、
ヘレンさん自身も鞭でゴーレムの方向を変えて相討ちをさせている、上手い。
「あっ、アレは僕が行きます!」
そう言って勇者スキル『バウンドアタック』でニィナさんの胸元から飛び出し、
ゴーレムに体当たりしてその反動でまたニィナさんの胸の中へと戻る、受け止めもしっかりだ、
そしてゴーレムは他のゴーレムにぶつかって、あっ、バラバラになった、やっとまともに倒せたぞ!
(さすがレベル100って感じかな、身体は少し痛いけど)
って遠くから僕を狙って光魔法が!
ニィナさんはベルセルクソードでそれを防いでくれた、
そして飛び上がって奥のゴーレムの群れに……!!
「お前かあああああ!!!」
目から光魔法を出していたゴーレムを真横に斬り、
隣のゴーレムにぶつける! うん、これまた綺麗に壊れた、
そして魔石がポロンと……これ、光魔石と土魔石が混じった感じだな。
(地魔石……ということは!!)
いや、それよりも!!
「コシャクナ、コザカシイ!!」
ゴーレムも怒っているな、
喋れるくらい知能があっても、
だがやはり人間の方が賢いっていう感じだ。
「邪魔!!」
ナスタシアさんが飛んできた緑の丸い魔物、
その名も『まりもエクスプレス』を斬った!!
今まで何度も邪魔してきたけど素早過ぎて当たらなかったんだよな、ようやくだ。
「あ、あああああっっ!!」
ナタイラちゃんがずれた鑑定眼鏡を直しながら変な声を出した!
ニィナさんが少し心配気味に声をかける。
「どうした」
「今の敵、経験値が凄いです、今のでオトゥハさんのレベルが90に!!」
「何っ、それで何か憶えたか」「はい、吟遊詩人スキル『みんな仲良し』ティム確率を更に、大幅に上げられます!!」
頷くオトゥハさん、
そしてミニハープで綺麗な歌声を演奏しつつ、
ヘレンさんがダメージを負っているゴーレムにティムをし始めると……!!
「グッ……グアアアアアァァアァ……コンゴトモ、ヨロシク……」
まずは一体、ティムできたようだ!
「では、おやりなさい!」「ハハッ」
おお、しっかりと別のゴーレムを殴りかかった!
「オマエ、ウラギッタノカ!」
「テキハッケン、テキハッケン、ハカイシマス」
こうして次々とティムしていき、
順調に七体味方につけた、あと一匹……と思いきや、
一度にティムできるのって八体までだっけ、となると……
「このショタコンどもめ!!」
と、向こうでご機嫌にゴーレムを振り回してゴーレムにバチコーンと当ててる、
あのモッフモフさんを合わせるとこれ以上は無理か、解除するとどっか行っちゃいそうだし。
そうこうしてクリスタルインテリジェンなんとかゴーレムを操りつつ、敵を倒しに倒して行くと……!!
「おい、奥が開くぞ!!」
ゴゴゴゴゴ……
遺跡の奥にある大きな宮殿風建物、
そこの扉が開いたようだ、敵はまだ残っているんだけどな、
と思ったら今度は黒いゴーレムがぞろぞろと出てきた!!
「あれは何だ?! ヘレン、ナタイラ!!」
「……ラストガーディアンゴーレムという名前ですわ」
「鑑定しますと『どのゴーレムより重くて硬い』そうです!!」
うっわ、これはお互いぶつけるとか出来るのかな?
「弱点は!」
「はい、『ひっくり返ると起き上がれない』そうです」
「ならば足場を崩すか!!」
こうしてあっさり倒せた。
(まったく、何しに出てきたんだよ……)
こうして僕らは宮殿の中へ……
「マテ! ナカニハ、コノナカニハ、アルジサマガアアアアア!!」
と縋ってきたゴーレムをエンちゃんが担いでポイした。
(主様かぁ、いったいどんなゴツいゴーレムなんだろう??)
と、思うでしょう???
しかし奥で待っていたのは、
意外にも程があるゴーレムであった!!!