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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 女装メイド勇者とあなたの吟遊詩人になりたい
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第668話 空飛ぶペンギンといたずらブラックラビット

「おかえりなさいませ」

「ああモグナミ、まだ居たのか」

「あと数分で勤務終了時間、こちらの仕事も私はお休みとなります」


 という事は日付けが変わる直前か、

 天大樹(あまたいじゅ)の冒険者ギルド受付も、

 モグナミさん以外は三ヶ所ともアーバンラミアになっている。


(アマタツさんの一部になってるから、起きてるけど寝てるようなもんなんだっけ)


 植物というのは、そういうものらしい。


「さすがにこっちの会議室はもう誰も居ないか」

「はい、それぞれ宿泊の部屋でお休みですね、荷物は置いてありますが」

「研修会の間は仕方あるまい、少し使わせて貰おう」


 という事で冒険者ギルド会議室へ、

 さらに奥はギルマスルームって書いてあるな、

 モグナミさんの部屋か、とりあえず各自、思い思いの場所に座る。


「さあナツネェ、そのユッカァーリンであったか」

「ユクァーリーン先輩です」

「その兎獣人について詳細を教えてくれ」


 まだ暗い表情のまま、

 淡々と説明を始めたナツネェさん。


「先輩はサミンで有名なサモナーで、

 冒険者としても『ラビットの小部屋』というS級パーティーのリーダーで、

 私も前の前に所属していて大変、お世話になった方で……」


 兎柄のハンカチで涙をぬぐう。


「なぜそれが『シアー』の中に」

「わかりません。元々『いたずらブラックラビット』と呼ばれるお調子者で、

 人気も実力もあったのですが、その、私が抜ける頃は年齢的にもうキツくなってきていて」


 ブラックラビットというと黒毛なんだろうな。


「では残りの『グラ』と『ゼノ』も」

「ひょっとしたらサブリーダーのふたり、あっふたり居たんですサブリーダー、

 白うさぎのホシャン先輩と水色うさぎのナンナ先輩の可能性もありますけど」


 兎獣人も毛色が豊富なんだな、

 まあ熊みたいな兎獣人もギルマスで居たし。


「わかった、その二人についてはサミンセーのギルマスに聞けばわかるか」

「もし冒険者を続けていて、あのゴーレムの中に居ないのであれば、すぐ」

「それを祈りたい所だな、それであのサモンは」「スカイペンギン、鋭さとスピード、破壊力が脅威です」


 空飛ぶペンギンとか、びっくりしたよ。


「弱点はあるのか」

「背後が弱いですが、あのサモン自体が使い捨ての武器のようなものなので」

「本体を、サモナーを叩くしか無い訳だな」「はい……」


 このあたり、

 イワモトさんが一人で頑張っても限界があるし、

 クラリスさんのバリア魔法は中から攻撃が出来ないからなぁ。


(やはり吟遊詩人のスキル頼みか)


 おそらくニィナさんも同じ考えだろう。


「……よしわかった、次にシアーが出現するまで徹底的に吟遊詩人のレベルを上げよう、

 これに関して何か意見がある者は」「あのニィナ様」「クラリス、どうした?」

「場所はまたノチルク山脈でしょうか」「ああ、そのつもりだが」「やはりホワイトベアードも育てたいのですが」


 あれもあれで魔物版の吟遊詩人みたいな所があるからね、能力的に。


「ふむ、ではあの洞窟要塞を、ホワイトベアードが出入りできるよう削るか」

「そうですわね、もしくは別働隊に任せて育てさせるか」「そうなると狩場は」

「アンジュ城なのでっす!」「ふむ、しかしアンジュ、あの城の中にホワイトベアードは大きさ的に」「敵が出てきた所をこーげきさせるよー」


 そうか、わざわざ入らなくても溢れさせれば良いのか。


「ではそのあたりはアンジュに任せるが、明日も学校だろう」

「うんー、きょーは別荘で寝ようかなー、おっちゃん達を出したままー」

「そういえばあの三人は」「こっち着いた時、すぐ別荘いかせたよー」


 会議で聞きたい事があったらどうするんだっていう、

 まあアンジュちゃんなら瞬間移動ですぐ連れて来られるか。


「よしわかった、もう他には無いな?」

「あの、よろしいでしょうか」


 と声を上げたのは意外な方向、

 会議室のドアから顔を覗かせていたモグナミさんだ。


「どうした、もう日付けが変わって休みだろう」

「そこまで厳密にスケジュールを気にしてる訳では……ニィナ様にマリウ様から伝言が」

「何だ」「内容は商業ギルドで聞いて欲しいと、マリウ様はすでにお休みになられております」


 僕はモグナミさんに尋ねる。


「マリウさんって三日三晩でも鍛冶を打ち続けられるとか言っていませんでしたっけ」

「はい、でもデレス様のためにお肌を大切にしたいと、鍛冶エリアに温泉まで引いて」

「そんな事できるんだ、ってひょっとして僕の部屋にも温泉が?!」「私はわかりかねますが」


 この会議室にもアマタツさんを呼べそうなツタがあるな、

 でもまあいいか、もう解散みたいだし、自分で確認すればいい。

 ニィナさんがモグナミさんに再度尋ねる。


「商業ギルドにまだ人は」

「二十四時間体制ですので夜は一人は居るそうです、ドワーフが……

 ちなみに冒険者ギルドもツタで繋がったアーバンラミアが夜中から朝まで、最低でも一体は」


 商業ギルドはともかく冒険者ギルドのアーバンラミアって、

 ちゃんと受付業務とか出来るんだろうか、まあ留守番かな。


「よし、他に何もなければ解散だ、私は商業ギルドへ行くがデレスは」

「はい、お腹も空きましたし部屋で……クラリスさんと」「まあ!!」

「あっ、あくまで相談というか、ちゃんと後でニィナさんにも内容は報告しますから」


 と、いう事で僕はクラリスさんと、

 Lv5となった天大樹(あまたいじゅ)のSSSルームへと移動したのであった。


(さあ、ふたりっきりで相談しよう……リッコ姉ちゃんについて)

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