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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 女装メイド勇者とあなたの吟遊詩人になりたい
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第644話 長い螺旋ダンジョンとドラゴン魔王の正体

「よし、強引に進むぞ!」


 ニィナさんの号令でダンジョンを進み続ける、

 ここはいったいどこまで奥に進んだのだろうか?

 たまーに外からの光が横から入るものの、基本的には真っ暗な道だ。


(ここまで何があったかと言いますとねえ……)


 浮遊島の山頂に行くとでっかい穴がありまして、

 そこはマグマが噴火するとかでは無く普通にドラゴンが出てくるダンジョンで、

 入ると螺旋状の大きく長い洞窟でした、ええ、ほぼ一方通行の。


(たまに内側に向かって巣があるよ!)


 面白そうだから卵も回収しつつ、

 進めば進むほど奥からドラゴンが湧くわ湧くわ、

 あと外のドラゴンも入ってきて挟み撃ちですよ。


(この手のダンジョンは色々とやっかいでしてね)


 室内で敵が恐ろしく湧くダンジョンはルーナ魔王城で体験したけど、

 あそこはまだ狭いので一度に攻撃してくる敵はそれ程でもなかった、だが、

 ここのダンジョンはとにかく広い、大きい、そこをドラゴンが普通に飛んでくる。


(ニィナさんは似たような所を経験済みらしい)


 そう、僕が七大魔王部屋手前まで飛ばされたムームー帝国の。

 あれはニィナさんとアンジュちゃんとあと誰だっけ、で設置してたな転移魔方陣、

 クラリスさんが居なかった気がするけど、じゃあどうやってだっけ……今はまあいいや。


(そんなこんなでかなり進んだ状況でこの敵の鬼湧きである)


「ヘレン、ホワイトベアードはどうだ」

「はい、『目くらまし』『かなしばり』以外に『放電』も憶えたようですわ」

「そうか、Lv50までは続けてくれ」「だそうよホワイトベアード!」「承知した!!」


 この巨大モフモフが普通に通れるダンジョンで良かった、

 いや進めば進むほど、先が細く狭くなるとかだったらヤバかった、

 本当の意味で詰まって出られなく……ヘレンさんの瞬間移動があるから大丈夫か。


(実はこのホワイトベアード、タンクに出来ないくらいやわらかくて体力も無いらしい)


 まさに愛玩動物の延長戦である。

 そして……


 ♪~


 ダンジョンに入ってからもずっと演奏され続けている音楽、

 吟遊詩人三人による交代制ゆえに三曲に一曲は猥歌(春歌)なのはアレだが、

 その元凶? カウミさんは無事にLv50となり新スキル魔法も憶えた、例の歌い出し魔法だけど。


(戦闘であまり意味のないヤツね!)


 とはいえ初期スキルによる状態異常の確率は確実に上がっていて助かってはいる、

 これでホワイトベアードがLv50になれば次はオトゥハさんの番だが……

 ダペナちゃんは演奏以外では鑑定眼鏡で新しい敵が出てきたら解説してくれる係だ。


(早速、変なのが来た!)


「おい、あのドラゴンは何だ!」「はいっ、ビッグウィングドラゴン、

 翼だけが大きくて本体が小さいドラゴンで、攻撃されると翼で身体を隠すそうです!」

「では翼を斬れば」「おそろしく硬いようですが!」「そうか、デレス行くぞ!」「はいニィナさん!」


 ビッグウィングドラゴンに突っ込む僕ら!


「「でやあああああああ!!!」」


 ベルセルクソードで強引に翼を弾くニィナさん、

 身体を護るビッグウィングドラゴンに僅かな隙間が空き、

 そこへ僕がプライドソードの遠距離攻撃で……斬る!!


「グワァァァアアアァァァーーー!!!」


 うん、あの小さい本体は一撃だった!

 そして硬い翼は回収したら何かの素材になりそう。


「よし、まだまだ行くぞ!!」


 こうして奥の奥の奥へ螺旋のダンジョンを進んで行く、

 たまにある子育て部屋でバリアを張って休憩しつつも、

 進んで進んでどんどんどんどんどんどんどんどん潜って行くと……!!


「うわ、急に下がる所に出ましたね」

「ああ、奥は真っ暗のようだが……」

「ホワイトベアード!」「承知した!!」


 ヘレンさんの声(命令?)で目を光らせるモフモフ、

 奥に照らされたのは……下ってすぐの場所にある魔王部屋だ。


「よし、全員降りるぞ!」


 扉前に降りると後ろからドラゴンは追って来ない、

 いや上を見ると影はあるものの降りて来ない、まるで降りられないみたいだ、

 クラリスさんを見ると特にバリアを張っているようには見えない。


「ふう、ここは安全地帯のようだな」

「逆に言えば並の冒険者なら、ここから逃げられませんね」

「そもそも人は来られるのか?」「ティムしたドラゴンでもきついかもですね」


 ヘレンさんがやってきた。


「ホワイトベアード、Lv51になっておりますわ」

「そうか、では指輪をオトゥハに」「わ、私がっ!」


 モフモフしている最中だったナスタシアさんが手を探して外す、

 何気に前衛としてしっかりニィナさんや僕のサポートをしてくれた、

 彼女も彼女でレベルを上げてあげたい所ではあるんだけれどもね。


(そして無事に、オトゥハさん装着、っと)


「さあどうする、一旦アジトに戻るか、それとも」

「戻るってアンジュちゃんが居ないから転移魔方陣は設置できないんじゃ」

「馬車があるだろう」「あっ、アレか!」


 転移魔方陣が中に描かれた馬車本体、

 あれって今、ニィナさんのアイテムボックスだったっけ、

 出して安全地帯であろうここに置けば、いつでも来られるしここから帰れる。


「確かにアンジュちゃんが合流した方が確かですが、クラリスさんは」

「そうですわね、扉を開けて様子を見て、無理そうなら逃げ込むとか」

「しかしそれでは敵の炎で馬車が焼かれる危険があるぞ」「扉の横に置きましょう」


 確かに死角になるスペースはあるな、

 魔王が扉の位置から出られないならほぼ安全だろう。


「わかった、見るだけ見よう、では設置するぞ」


 非常口をスタンバイしてっと、

 まあ初手で何かあったらクラリスさんがバリアを張るでしょ。


「……これで良いな、さあ魔王戦、おそらくドラゴンだろうが、

 どんなドラゴンだと推測する? 私はクリスタルドラゴン系だと思うが、クラリスは」

「はい、聖なるホーリードラゴンの上位とかでしょうか、ヘレンは」


 あっ、これみんなにどんなドラゴンが魔王でも適応できるように、

 心の準備をさせているな、最後に僕に回ってきそうだから真剣に考えよう。


「妙に色っぽいサキュバスドラゴンとかでしょうか、ナスタシアは」

「あっはい、人魚島のようなアリゲーターラミア、

 のようなアリゲータードラゴンとか、吟遊詩人の皆さんはいかがでしょうか」


 これまた緊張している三人へ。


「はい、わかりません」

「扉を鑑定してもわかりません」

「……わかる訳ないわ」


 よし、ここは僕かな?


「承知した!」


 お前も答えるんかーーーい!!


「ええっと僕ですよね、意外とシンプルでいて強い、

 エンペラードラゴンとかあと前に居た魔王のレインボードラゴンみたいな、

 特殊な条件でないと倒せないような変幻自在ドラゴンとか……何が来ても頑張りましょう」


 さあ、誰の答えが一番近いか……!!


(承知したドラゴン、とかだったらびびるね!)


「よし、では扉を開けるぞ、ヘレン」

「はい、サキュバスに開けさせますわ」


 力自慢のエントサキュバスが扉をギギギと開くと、

 その先に居たのは無数の様々なドラゴン、その最奥には……

 鞭を持ったドラゴンが玉座に座っていた、ヘレンさんが叫ぶ!


「あれは……『テイマードラゴン』ですわ!!」


 まさかのドラゴン使いドラゴンきたあああああ!!!


(いや、魔王ってそういうものか)


「ニンゲンガ ココマデクルノハ ハジメテダ……ヤレ!!」


 しかも、喋った!!!


「よし、行くぞ!!」

「「「「「「「はいっ!!!!!!!」」」」」」」

「承知した!!!」


 こうしていよいよ対魔王戦へ!

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