第643話 竜の巣探しと竜以外の魔物
「ホーリーシャワー!!」
聞きたくもない猥歌(春歌)を聞きながら、
浮遊島でドラゴンを倒しまくっている僕ら、
そしてこの島には意外な魔物も沢山居た、そう、馬系だ。
「この透明な一角獣、やたら硬いな」
「しかも光属性のようでホーリーシャワーがあまり効きません、ヘレン!」
「はい、『ナイトメアスカルユニコーン』倒すには闇魔法が効果的なようですわっ」
こうなるとアンジュちゃん無双になるはずだが居ない、
なのでポイズンサキュバスやダクネスサキュバスが大活躍なのだが、
四方八方から来る敵相手にやや押され気味だ、コイツら飛べるし!!
(一旦引くしかないかな、いやここは!)
「クラリスさん、『スマイリークラウン』を」
「デレス様、それだとこちらからの攻撃が」
「一旦落ち着くには良いよ、飴玉あるよね?」「はい、もちろん」
ということで防御壁魔法でまずは休憩、
透明な円形バリアで一休みだけど周囲に敵がびっしりだな、
上も含めて……人が、敵が来ないからか魔物が繁殖し過ぎている。
「ふう、デレス、良い判断だったな」
「ニィナさん、一旦出ても良いですか?」
「断る、デレスは一生このままにしてやる」「いやいや」
そんな寄生生物になるのはさすがに。
「仕方ない、少しだけな」
うん、表に出ても僕はメイド服のままだ。
「んしょ、じゃあ……とりあえずここまでの感想をみんなに聞きましょう」
僕は吟遊詩人三人を見渡す、
みんな僕より背が高いねっ!
「ふむ、ではまずはオトゥハから」
「はい、相手への行動不能がどのくらい効いているかわかりませんが、
私の『ぶきっちょクオリティ』成功確率、初期の5%よりもはかなり上がっている気が致します!」
そのあたりどうなんだろう。
「ふむ、ダペナから見てどうだ」
四角い『パーフェクト鑑定眼鏡』をかけています。
「パーティー効果で26%にまで、上がっていますっ!」
「なかなかだな、今はLv38だったか、おそらくレベルが上げればもっと、だな」
「ありがとうございます、これも皆さんが護ってくれているおかげです」
特に最後の最後でエントサキュバスが身を挺して助けてくれていたからね、さすがタンク。
「ではそのダペナはどうだ」
「はい、ずっと『愛の旋律』のスキル魔法ばかりでしたが、よろしかったでしょうか」
「うむ、非常に助かっていたぞ、特に魔力面ではな」
本人以外、パーティー全員の体力魔力を演奏中にじわじわ回復させるスキル魔法だが、
絶えず魔法打ちっぱなし状態のメンバーはいざとなったら飴ちゃん回復があるとはいえ、
定期的に魔力が補充されるのは少ない量だってありがたい、さすがLv50吟遊詩人だ。
(演奏を三人交代でしているから、休んでいる間にダペナちゃんの魔力も回復するし! 飴なしでも)
「でも、もうひとつ『セッションコール』の方はそれはまだ」
「それは魔王戦等の強い敵に取っておこう、使用魔力も大きいようだしな」
「はい、仰せのままに」「ではカウミはどうだ」「……」「カウミ!」「……別に」
まーた急にクールなキャラに。
「ダペナ、見てやれ」
「はい、Lv44ですね、敵を眠らせる確率が29%にまで上がっています」
「魔法は」「まだのようです、あっ、変身があと2分で解けます」
そういえば一度、
空中で人魚になってたな、
空飛ぶガウンで平気そうだったけど水着の下半身が取れかけてたっけ。
(やっぱり人間体の方が人魚体より、地上や空中での能力が高いらしいよ!)
などと見ている内に種族変更スクロールを使い直した。
「……これでいいかしら」
「はい、また2時間そのままです」
「よし、Lv50になったら指輪はオトゥハへ」「いや、その前に」
僕はそう言ってホワイトベアードを見る。
「そうか、コイツが居たな」
「えっと、腕はどこだろう、ちょっとごめん変な所触ったら怒ってね」
「承知した!」
んー……
あっ、いつのまにか虫が紛れ込んでる、
定期的に洗った方が良さそうだな、あったあった可愛いピンクの腕が!
「うん、指ははめれると思います」
「わかった、では魔王が居るであろう竜の巣を探しながら皆のレベルを上げていこう」
「おそらくどこかに洞窟があるはずですわ」
そしてみんな休憩が終わり息を整え……
「さあデレス」「はいニィナさん」
(この有無を言わせず強制的に従わされるのが心地よい)
と、僕はニィナさんの胸に再収納され戦闘再開だ、、
クラリスさんのバリア魔法を解除し敵を倒しまくる、
そして竜の巣を探しに移動、吟遊詩人の奏でる音楽を楽しみながら……
♪~
オトゥハさんは今回はリュートだ、
早くLv50になって自分用が欲しいって言ってたな。
♪~
ダペナちゃんのショルダーキーボード、
講習本最後にあったという『異世界で伝説の、ショルキー最高の曲』が早く聞きたい、
オトゥハさんも一緒に歌いたいとか二人で盛り上がっていたらしい。
そして……
♪カチカチカチ カチカチカチ
「♪おっとこーんなところにふったつっもお芋が、いやみっつ(以下下品すぎて省略)」
いいかげんこの猥歌(春歌)から普通の曲にならないかなあ。
などと進んでいるうちに泉が現れた、あれ、何やら見覚えのある魔物が……!!
「デレス、あれは」
「はい、懐かしい、ケルピーですね」
「御主人様、普通のケルピーではありませんわ、あれは『ハイケルピー』です」
道理で神々しいはずだぁ……
「……特に攻撃はしてこないな」
「むしろ、怯えているかと」
「とりあえず放っておきましょう、それにしてもすごい数ですね」
ここで僕が浮かんだアイディアは、後に取っておこうっと。
(さあ、この島の魔王はどんなドラゴンだろう? ……ドラゴンだよね? ねっ???)