第637話 出来なかった決闘を改めてと思ったらハンディ付きですか
こちらでの夕食は天使族が作ってくれた、
いや長老クオリアさんは食事の時だけ起きて食べ終わったら客室で寝ました、
もうお婆ちゃんだからね仕方ない、黄金樹と対等に話が出来た功労者だし、一応は。
(そして落ち着いた後、空中庭園でいよいよ決闘だ)
そう、待望の『劇団くっころ』をやる時間である、
やはり星空の下でやらないと気分が出ないというか、
本当は次の街へ行く時の、互いの強さ確認のためだったような気がする。
(はっきりそうと決められた訳じゃないけどね!)
でも巨大ゴーレムの報せという邪魔が入ったため、
個人的にナタイラちゃんとやった以外は出来なかった、
なので改めて仕切り直しというか、ちゃんとやりたいという僕の希望だ。
「ジャッジはアマタツさん、副審は天使族の皆さんが交代でお願いします」
「「「「「はーーーーーい」」」」」
「にゃはは、任せてね~、今回から一組十戦だったよにゃ~」
そう、時間がかかり過ぎるからね。
「それはそうとニィナさん、食事中に言われた通りにしてきましたが」
「あぁ、デレスはメイド服での参戦だ、『チャンミオに行くまで』の約束だからな」
「厳しいですね」「それくらいのハンディを貰わないと、私が泣く」
またまたぁ、とも思ったが、
ニィナさん僕関係になると意外とそういう所があるからね、
まあ僕が圧倒的優位に立ってないと淫乱バーサーカーの暴走が止まらない危険性がある。
(アンジュちゃんはもう手に負えないよ!)
それはともかく早速そのニィナさんと第一戦だ、
控え副審の天使族はティムモンスター達と一緒に見学、
いや相変わらずホワイトベアードの存在感が半端ないが、今は目の前に集中だ。
「んぢゃま、武器はプライドソードとプリンセスソードでいいよね~」
「はい、やはりこれで」「威力より素早さだからな、では今度こそっ!」
「いくよ~~サブレフリーも良いよね~?」「はいっ」「お任せ下さいですわ」
互いに適度な距離を取って、
花の照明の下、僕らは……剣を構え、そして!!
「はじめ~~!!!」
その結果は……!!
「そこまで~、デレス6勝、ニィナ4勝ね~」
「やっぱりスカートは戦い難いですね」
「これでも勝ち越せないか……」「こっちも必死なんですよ」
女装ハンディとはいえ負け越すと、
今以上にニィナさんの『夜の要求』が多く激しく凄まじくなる、
それはそれで嫌じゃないけど限度を超えるのはさすがに避けたい。
「くっ、殺せ! このまま慰み者になるくらいなら、いっそここで!」
「残念だが僕はそこまでやさしくありませんよ、ここに感度が4000倍になる薬があります」
「くうっ、私はそれで……あぁ、私が弱いばかりに私は、私わああああああ!!!」
なんだか巨体が身悶えているけど嬉しそうだ。
「では次はわたくしが」
「はい、僕から一勝でもできたらくっころしますよ」
「ふふ、もっと下着を強く縛ってあげた方が良かったかしら?」
何気に動きにくいんだよなぁ。
「サブレフリーも交代したよ~、んぢゃ~~……はじめ~!!」
続いての結果は……!!
「最後に取られちゃったね~、デレス9勝、クラリス1勝~~!」
「くっ、殺せ! お前のような悪女にこの身体を奪われるくらいなら!!」
「あーら残念、坊やは違う意味で殺してあげるわ、ふふっ、男としてね……」
やばい、そこそこ興奮する!
「てゆ~かラスト、これが聞きたくてわざと負けてな~い~?」
「な、何を言うんですかアマタツさん、そそそそんな訳はないじゃないですか」
「あら、私はデレス様が喜ぶならいつでも……最近はヘレンとばかりこういうプレイをしているようですが」
ハーレム要員同士で情報交換しないでー!!
「次はボクだよー」
「アンジュちゃん、僕は今こんな格好だから瞬間移動は無しで」
「いいよー武器も鎌じゃなく棒でぶつよー」
例のベルベットなんとか杖だ。
「一本でも僕が勝ったらアンジュちゃんが『くっころ』ね」
「いいけどボクはわざと負けてあげないよー」
「望む所だよ、ていうかさっきのはわざとじゃ」「んぢゃいくよ~~」
また副審が交代しつつ、
さっさと闘いを進行させられてしまう。
「はっじめ~~~!!」
して、その結果はというとですねぇ……
「は~いそこまで~、アンジュ10勝~!!」
「わぁいわぁいわぁーーーい」
「くっ殺せ! お前のような不気味な幻術師に」「オマエハコレカラ、カイラクジゴクニオチルノダー」
そんな急にフードを目深に被らなくても!
「ていうかアンジュちゃん、次はギャル系ファッション増し増しでやってみて」
「いいよー、明日からがっこーだからそこでもマシマシにしてみるー」
「あっそうか、オークション休みって今日までだもんね」
続いてヘレンさん、
鞭をしならせてやる気満々だ。
「今の旦那様は、食べ頃ですわ」
「いや、そんなこと言ってわざと負けるように仕向けても」
「あら、そう考えるのが心の隙になりますわよ?」
食べられたいなら食べられたい時に呼ぶよっていう、
確かにヘレンさんのベッドでの『悪女ムーブ』はクセになるくらい凄いけど!
いかに女装ハンディとはいえ、ここは圧勝して僕の強さを証明しなくては。
(でないと、どんどんどんどん精神的に押し切られる隙を作ってしまう!)
「そんじゃまもういいね~、は~じめ~~!!」
アマタツさんの軽い感じで始まった戦いの結果は……!!
「すごいね~、デレス10勝~!」
「うっしゃあああああ!! さすがにもう慣れましたよ」
「くっっ……殺しなさいっ! このまま惨めに生き恥を晒すくらいなら!!」
あっ、ヘレンさんちょっと嬉しそう。
「そうですか、そんなに生き恥を晒したいですか、
たっぷりとお嫁に行けない身体にしてさしあげますよ」
「きいいいいいいいいいいいい!!!」
まあ、僕がお嫁(側室)に貰うんだけれどもね!!
「次は、次は私ですっ!」
「あっ、ナスタシアさんそんなにウキウキで来なくても」
「この日を、この戦いを楽しみにしておりましたっ!!」
どんだけ好きなの『劇団くっころ』が。
「勝っても負けても大喜びしそうですが、真剣勝負ですよ」
「はい、望むところですっ!」
「んじゃま~、サブレフリーも揃ったしぃ~」「みなさ~~ん!!!」
魔導昇降機から出てきたのは、
ナツネェさんとシューサーくんだ!
と、いうことは……!! ニィナさんが前に出る。
「どうした、また出たか」
「はい、『シアー』がまた、『グラ』と『ゼノ』を連れて」
「またサミンセーか」「いえ、今度はシップブリジという街に」
また邪魔が入ったかぁ、
でも、こればかりは仕方が無い。
「よし、ではこのまま行くぞ、ナツネェ、そこに冒険者ギルドは」
「当然あります!!」
「わかった、天使族は留守番を頼んだ、ニィナスターライツ、集合!」
転移スクロールを掲げるナツネェさん、
そして僕らはまたサミン国へと転移するのであった。
(僕は相変わらず、女装メイド服のままでねっ!!)
ひょっとして、
この姿のままで七大魔王『シアー』を倒さないと、
いけないのかな……???




