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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 女装メイド勇者とあなたの吟遊詩人になりたい
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第631話 年齢勝負と眼鏡の本領発揮

「きゃああああああっ?!?!」


 転移した瞬間に聞こえた悲鳴!

 見ると受付カウンターにちょこんと座る天使族、

 これだけの集団が一気に現れたんだ、無理も無い。


「リョクリ、私よ私!」

「あっスワロちゃん、男を探して出て行ったんじゃ」

「帰ってきたのよ、奴隷にされたけれど!」


 見回すとかなり年季の入った冒険者ギルドだ、

 受付嬢の服はいかにも天使って感じでこっちのオリジナルかな、

 奥からもう二人出て来た、こっちは結構な熟女さんだ。


「さっきの悲鳴は何?!」

「きゃーーっにっ、人間っっ?!?! どこから入り込んだのよ!」

「驚かせた事に関しては謝ろう、済まない、まずは落ち着いてくれ」


 ニィナさんがそう言うも、

 ちょっと取り乱し過ぎかなぁ?

 これ勝手に上に行ったら攻撃とかされかねないな。


「タジュタタウヨタタタウナハナタタシガタアタタル」


 天使族長老クオリアさんが謎の言葉を発すると、

 動きが止まる天使族受付嬢の三人、顔を見合わせている。


「わかりました、長老の所へご案内します」


 熟女の受付嬢、名札とか無いな、彼女についていく、

 立派で大きな木製魔導昇降機、これだけの人数も全員乗れるや。

 中でニィナさんが早速、族長さんに質問する。


「さっきの言葉は」

「族長同士で使うとされる古代天使族『ターヌ・キー語』じゃ」

「難しそうな言葉であったが」「そんなことは無いぞ」


 僕もスワロさんに聞いてみる。


「このおばさ……お姉さんのお名前は」

「ウェークさんよ、イナデの親戚」

「そうなんですか?」「ええ、翼は白に戻ってるけど子供を四人産んでるわ」


 いやそんな情報はいらない。

 魔導昇降機はぐんぐん上昇していき、

 やがて外の景色が見える、うん、こことんでもない高さだ。


「わーーいデレスくん、ここ雲の上だよー」

「アンジュちゃん、はしゃがないの」「だってー」

「間もなく長老の住居です、見張りが居ますので私にお任せを」


 到着すると何やらウェークさんがひそひそと、

 他所の長老がどうとか言ってて人間はおそらく今は無害とか。


(あっ、そういえば天使族って力が弱いんだっけ)


 そう、まさに吹けば飛ぶような。


「長老様、失礼致します」


 入るとお婆ちゃん天使とお爺ちゃん天使が居た、

 何気に男の天使族を見るのは初めてだな自分の変身は別にして。

 スワロたち奴隷天使族が片膝着いて二人の前で頭を下げる。


「「「「「ただいま戻りました」」」」」

「……奴隷になっておるようじゃが」

「ふんっ、だから言わんこっちゃないわい」


 お爺さん怒ってるなぁ。


「タヨロタタシイタタカナタ、タワレタタハクタタオリタア、

 ダイタハタチジュタタウナタナタタタジュモタクノオタタサデタアルタ」


 クラリスさんがこっそりネアリーさんに聞く。


「今のは何と」

「さあ、ただ族長語というのだけはわかります」

「あーわかったー、たぬきことばだーーー」「アンジュちゃん?!」


 急に舞いだしたアンジュちゃんに僕は尋ねる。


「狸獣人の言葉?!」

「ううん、『タ』を抜いて聞くんだよー」

「えええ、そんな子供の遊びみたいな」


 これに黄金樹の長老お婆さんも答える。


「タヨクタタゾマイラタレゴクタロウ、タワレタタハフタタォンタス、

 ダイタイチタジュモタクノタタオタサダ、タシテタタドノタタタヨウナタタハナタシヲ」


 小声でクラリスさんが通訳する。


『よくぞ参られご苦労、我はフォンス、第一樹木の長だ、してどのような話を』


<ここから先はクラリスさんの同時通訳でお伝えします>


「そちらの天使族が人間に捕まり奴隷となったのを保護した、

 易々と解放する訳にはいかぬがとりあえずは安心して欲しい」

「男を探しに勝手に出て行った者達じゃ、自分の翼は自分で手入れするじゃろ」


 出た天使族特有のことわざ、だよねこれ?!


「それよりそちらに天使族の住む樹がある噂は昔から聞いておった」

「噂も何もここは天使族の始祖の樹、他の樹は皆、ここから巣立った者の樹じゃ」

「そのよしみで相談なのじゃが、そちらに男の天使族が」「その前に齢を聞こうかの」


 あっ、ついに出た年齢バトル!

 これ年上の方が相手を言う事聞かせられるんだっけ、

 さあお互いの年齢やいかに?!


「ワシは1182歳じゃ」「ワシも1182歳じゃ」


 ええええええええ?!?!


「あんれのう」「鑑定しても良いぞ」「チッ」


 まさかの同い年?!

 チッてクオリアさん得意の? 舌打ちが出ちゃった、

 ということは……お爺さん天使、族長かな、が口を出す。


<ここから通常会話に戻ります>


「同じ場合は住んでいる樹のランクで決まるからの」


 と、いうことは……?!


「あの、お待ち下さい」


 ここで出てきたのはナタイラちゃんだ、変なからくり眼鏡の。


「どうしたのナタイラちゃん」

「この眼鏡で鑑定すると、クオリアさんの方が十九日だけ先に生まれています」

「えっ本当にぃ?!」「かけて見てみますか」


 装着、っと……


「ほんとだ、1183年168日と1183年149日!」


 すげえな、こんな機能もついているとは。


「そんなばかなことが」

「フォンスさんも、って自分は見れるのかな、じゃあ族長さん」


 スワロさんが小声で『ファクトゥルさんです』と名前を教えてくれた。


「……確かにそうは出ておるが、これは正しいのかのう」

「それを言われてしまうと」


 恐縮するナタイラちゃんに構わず、

 フォンス婆さんがサイバーグラスを装着する、

 そして……えっ、僕を見た?! そして外してひとこと。


「お主、お、おおお、男じゃったのかい?!」


 そっちかーーーーー!!!


「ええ、まあ」

「そんなことよりもだ」


 ニィナさんが話を進めてくれそうだ。


「どうする、年齢が同じ場合は樹木のランクを優先させる、

 だがその年齢を日数単位にすればそちらでは逆の優越になる、

 私としては面倒くさいなら対等な立場で話を進めて欲しいが」


 ここで僕は思った。


(……そもそも、なぜここへ来たんだっけ???)

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