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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第七章 女装メイド勇者とあなたの吟遊詩人になりたい
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第615話 治療と謎のクンクン

(うっわ、これは酷い……)


 まさに戦場の病院といった感じ、

 兎獣人を中心に怪我した人々が並べられている、

 受付嬢のひとりがこちらに気付いてウサミミをひょこひょこさせながら走ってきた。


「あっ、パティー!」

「ナツネェさん、お久しぶりです、その、強い治癒ポーションはありませんか!」

「治癒魔法を使える方々を連れてきました、特にひどい方は」「奥に!」


 蘇生魔法が使えるヘレンさんとゴッちゃん(ゴッデスサキュバス)が、

 ついでに他のサキュバス達も一緒に連れられる。


「ではクラリス」「ええ」


 とここでイケボが。


「私も治癒魔法を一通り」


 出てきたのはハイトウさんだ、

 彼にはアンジュちゃんが尋ねる。


「どこまでできるのー?」

「一通りです」

「どのとーりー?」「憶えられる賢者魔法は全て」


 と、いうことは……!!


「そせーまほーもー?」

「はい、最高位『グレーテストリザレクション』ですね、死後も一時間以内であれば」

「いったげてーーー!!」「かしこまりました召喚主アンジュ様」


 焦るアンジュちゃん珍しい。


(一通りって、本当に全部かよっ!)


 慌てて追いかけるハイトウさん、

 そして僕らは所狭しと寝かされている人々を……

 うん、八割が兎獣人、一割が他の獣人、あとは人間だ。


「では私がまず全体に、シューティングスターヒールを」

「あっ待ってナタイラちゃん、クラリスさんの方が魔力は強いですよね?」

「ええまあ」「じゃあクラリスさんも使ってみては、さっき僕が言ったやつで」


 あえて声に出して……!!


「リレーションリフレイン!」


 みんな光る光る!

 イワモトさんMAINAさんもしっかり光っている。


(離れたヘレンさん達はどうだろ、まあいっか)


「ではナタイラちゃん」

「はい、シューティングスターヒール!」


 冒険者ギルド内の怪我人から声が漏れる!


「おお、少し治った」

「息が楽になったみたい」

「……はっ、俺はいったい」「アナタ!」


 あちこちで怪我が軽減されたみたいだ。


「ではクラリスさん」

「はい……シューティングスターヒール!!」


 更なる治癒魔法の光が降り注ぐ!

 いやほんとナタイラちゃんより多くて綺麗だ。


「痛くないぞっ?!」

「うそ、あの怪我が、もう!」

「立てる、立てるぞー!!」


 更に治ったようだ!


「ボクもー、しゅーてぃんぐなんとかー!!」「おいおい」


 無詠唱で出来るからって荒っぽい!

 うん、ナタイラちゃんとクラリスさんの中間くらいの量、

 魔力はクラリスさん以上でも治癒魔法レベルがそこまででは無いからね、多分。


「お前達がやったのか?!」


 うわ、でかい熊男!

 かと思ったら耳の形からして兎獣人か、

 すげえ毛深くて熊獣人と見間違えちゃったよ。


(そしてこういう時はリーダーのニィナさんが反応します)


「ここのギルマスか」「ああ、マルーセという者だ、他のエリアも頼む」

「デレス、二手に分かれてもその魔法は有効か」

「はいおそらく、でもリレーションリフレイン自体、早めに切れちゃいます」


 まだ憶えたてだからね、熟練度が足りない。


「違う部屋では厳しいか」

「検証している時間がもったいないです」

「まあそうだな」


 ニィナさんは意を決した表情に。


「では皆で一緒に周ろう、マルーセ殿、案内してくれ」

「わかった、こっちが終わったら裏の商業ギルドも頼む、繋がっているからすぐだ」

「あっアンジュちゃん、残る元から居た治療魔法を使う人に飴ちゃんを」「あーい」


 渡しながらクラリスさんが軽く説明している間に……


「あの、ありがとう」「助かりました!」「貴女達は英雄だ!!」


 治った方々 (ほとんどウサギ)にお礼を言われる。


「終わりましたわ」「よし、行こう」


 こうして別のフロアを巡って治癒魔法をかけ続ける僕ら、

 みんなどんどんどんどん治っていく……本当に怪我人が多いな、

 そして状況がヤバい重体の者はヘレンさんとサキュバス達が治癒・蘇生させているだろう、ハイトウさんもか。


「お姉さん達、ありがとう!」

「まさに天使、いや女神様だ!」

「もしや伝説の、『ニィナスターライツ』の皆さんでは?!」


 ちょっとくすぐったいな、

 そして商業ギルドやさらに道を挟んである病院でも治療をする、

 ヘレンさん達もいつのまにかこっちへ来ているみたいだ、ちらっと見えた。


「……あのニィナさん」「どうした」

「僕もシューティングスターヒールを使えて、お礼を言われるのは良いのですが、

 兎獣人の特に女性が、やたら僕の匂いをクンクン嗅いでくるのですが」「あっ」


 と声を漏らしたのはナツネェさん。


「どうしたんですか」

「あの、その、今はそれ所ではないので、のちほど」

「はぁ」「さすがに今この状況で、どうこうは無いと思うのでっ」


 どうこう……?!

 シューサーくんが僕の耳元へ。


「……一応、気を付けてください……」


(何をー?!)


 とかなんとか思いながらも、

 治療を繰り返してあちこち廻り続け、

 元の冒険者ギルドロビーへと戻ってきたのだが……!!


「なんだ、増えているではないか」

「ですわ、おそらく外から新たな怪我人が」


 こうして僕らの治癒・蘇生は夜まで続いたのでした。


(落ち着いたらナツネェさんから『あっ』の謎を、教えてもらおう)


 ちょっと悪寒がした理由も、解けるかも?

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