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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第六章 歌う勇者と舞う踊り子たち
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第611話 リッコ姉ちゃんと会ったなら という話を聞いてくれたのは……!!

「デレスちゃん」

「あっ、リッコ姉ちゃん」

「ふふ、いつ見てもデレスちゃんはデレスちゃんね」


 そう言った懐かしいリッコ姉ちゃんの、

 眼鏡の奥の目はなんというか、こう、優しさというより……

 今だからわかる、不思議な『にやけ』とでもいうか、愛玩動物を見るような。


「リッコ姉ちゃんは、その」

「ねえデレスちゃん、ずっと姉と弟みたいな関係でいましょうね」

「えっ、それはどういう」「今と変わらないでって事よ」


 でも……でも、

 変わってしまったのはリッコ姉ちゃんの方だ、

 そして、他のみんなも……なんで、なんでっ!!


「デレスちゃんは、ずっーっと一緒よ」

「でも、だって、リッコ姉ちゃんが!」

「もう、デレスちゃんは私が居ないと駄目なんだから、わかってるわね?!」


 うん、リッコ姉ちゃんに何もかも任せて、

 リッコ姉ちゃんの言う通りにさえしていれば良かった、

 でも、でも……!!


「リッコ姉ちゃん! 僕、僕……!!」


 コンコンッ


「失礼致します、デレスさん」

「……ふぁっ?! あぁ、夢かぁ」

「どうなさいました?」「あっはい、どうぞ」


 僕が入って良いと言うと開く鍵、

 ほんと便利すぎて怖いな、天大樹(あまたいじゅ)って。


「お邪魔します」

「ナタイラちゃん、どうしたの」

「夜遅くすみません、その、私、十八歳になりました」


 うん、知っている。


「お誕生日おめでとう」

「ありがとう」「どうしたの」

「はい、ニィナスターライツの、正式なメンバーになりました」


 そうだった、

 これから重点的に育てないと。


「それで」

「……その前にデレスさん、泣いていらっしゃいますよ」

「はっ! ご、ごめん」


 僕はぬぐってお水を飲む。


「お風呂上がりでそのまま寝て、

 リッコ姉ちゃんの夢を見たんだ」

「あの寝取られた、ですか」「うん」


 ナタイラちゃんは聞いている、

 一連の僕の話を……だよね? 確か、

 ライリアちゃんと一緒に聞いていた記憶が。


(言ってなくても誰かから聞いていそう)


「その、ナタイラちゃんに相談すべき事じゃないかもしれないけど」

「……私にも、昔、なんとなく決められた婚約者は居ました」「あっ」

「でも今は、今夜はデレスさんのお話を聞きたいです」「うん、そうだよね」


 落ち着いてベッドで座る、

 ナタイラちゃんも隣に……


「そもそも僕も、ずっと、ずーっとリッコ姉ちゃんに身を任せていたのが、悪かったのかな」

「その方が、楽ですもの、ね」

「うん、婚約者の言う事を聞き続け、従い続け、結果……捨てられた」


 そう、今だとはっきり言える、

 寝取られたんじゃなく、捨てられたんだ。


「それで、今後、今度ははデレスさんは、どうするおつもりですか」

「……リッコ姉ちゃんを拾って捨てて仕返し、みたいなことはしたくないっていうか、

 僕はもうニィナさんのものだから、だから、もう、僕としては……もし会ったとしても」


 うん、僕はもう前とは違うはず、

 でもここでよぎる、もしニィナさんまでに……

 それを見透かしたかのようにナタイラちゃんが聞く。


「もしニィナさんに捨てられたら」

「だから、そうならないように努力するつもりだよ、

 なんだかんだ言って剣の腕では、まだ完全に僕が勝ってるし」


 そう、剣の腕は、ね。


「……ニィナさんに尋ねられましたか? 捨てないかどうか」

「聞いたと思う、そして、ずっと一緒って言ってくれたはず、ニィナさんだけじゃなく」

「そうですか、ではそこに私も……」「ナタイラちゃん?」


(まさか……脱ぐとか?!)


「もっと、その、自分を大切に」

「はい、わかっています、でも、私は勝負をしたいのです」

「勝負って」「私と……私と、決闘して下さい」


 あっ、そっちか!


「僕が新しい街へ行く時に、いつもやっている」

「はい、本来は二十番勝負ですよね、でも次回からは」

「多くなっちゃったからね、一人十番の予定だけど」


 扉の方へ行くナタイラちゃん。


「次の街、チャンミオ、ですよね」

「うんそう聞いてる、でないと女装メイドのお仕置が終わらないから」

「そこへ行く前の決闘を、今からして下さい」


 もう寝間着なんだけどな、

 ていうかすでに寝ていたし!


「いいけど、なぜ」

「それで、それでもし私が一本でも取ったら……

 私を……私を、抱いて、下さい」「えええええ」


 なんでそうなるの?!


「抱くって、つまり」

「私をデレスさんのハーレムに」

「いやそれは」「もう十八歳です」「うん」


 ナスタシアさんと同い年だ。


「もう言います、ずっと、ずっとお慕いしておりました」

「僕を?」「はい、全てにおいての真の強さを見て」

「そう言われても」「ですから、ですから一本取ったらで良いので」


 ……仕方ないな、負けなければ良いか。


「わかった、じゃあ屋上庭園へ」

「はい、ではお互い、着替えてきましょう」

「そうだよね、では後で」「お待ちしております」


 ……今すぐ、かぁ……あっ!


(まずい、まだアレの真っ最中かも!!)


「アマタツーーー!!」


 呼び出しのツルを引っ張りながら叫ぶと、

 少し時間を置いて……!!


「にゃはは、呼んだ~?」

「屋上のエグいお仕置は、いったん中止で!」

「りょうか~い」


 間に合った、

 危うくやべえ天使族の姿を、

 ナタイラちゃんに見せちゃうところだったよ……


(ていうか、やっぱりまだやっていたのね)


 いつ許そうか、もう良い気もするけど。


「あっ、ついでに審判もお願い」

「なにの~?」

「屋上庭園で、ナタイラちゃんと決闘するから」


 戦う以上は、フル装備で行こう!!

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