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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第六章 歌う勇者と舞う踊り子たち
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第605話 魔導書を渡す相手とフミッカの王子様にお土産を

「……えっ、そうなんですか」

「ああ、これに関しては私よりデレスに頼む」

「わかりました、まあ、リーダーのご命令であれば」


 コロシアム地下、

 落札品の受け渡し手続きでごった返している中、

 僕はニィナさんとふたり、少し外れた所でこっそり会話をしていた。


「では私はエリクサー関連の引き渡しに行ってくる」

「僕は魔導書ですよね」

「ああクラリス達とな、そして受け取ったら……」


 混んでいるためか全てを一緒にするのではなく、

 二手に分かれて作業を分担するみたいだ、効率的。

 ニィナさんはヘレンさんナスタシアさんと合流、僕は……


 ドスッ!


「うあっ?!」


 振り返ったら誰かとぶつかった!


「アラ失礼……まあ、素敵なメイドちゃんね」

「う”えっ?!」


 オネエ系貴族きたあああああ!!!


「どうカシラ、ウチに来たら言い値で雇うワヨ?」

「い、いえっ、ご遠慮願いますっ!」

「アラ残念、美味しそうなのに……ウフフ」


 僕はクラリスさん達の方へ逃げる!


「いかがなさいました?」

「うん、自分が女装メイドって事を思い知らされた」

「まあ」「それより魔導書を貰わないと」


 ええっと国王一家は……

 あっ、食事中の天使族がどさくさまぎれに羽根を抜かれそうになってる、

 この場所でそんなことするヤツ居るのか、まあ天使教だろう、と思って近づくと……


(うわ、フミッカの王子だ!)


 止めないのか両親、あと執事。


「すみません!」


 僕の声にビクッとする王子の、ええっと名前は……


「な、ななな、なにもしておらぬぅ、ぞ! なあスティン」

「シレッド坊ちゃま……」

「ご両親は止めないんですか、ここでは国王とか関係無いですよ」


 あっ、夫婦してそっぽ向いちゃった。


「そんなことより魔導書を」

「おお、落札感謝する、代金はギルド経由で受け取った」

「もうですか」「そちらとて儲かっているのだろう?」


 あっそうか、こっちもこっちで売ったからね、

 そのあたり直接の代金渡しをする場合もあれば、

 あまりの大金や直接会えない場合は商業ギルドがやってくれたりする。


(どっちみち遅かれ早かれ書類にサインは必要らしいけど)


「ではアイテムを」

「スティン」「ははっ」


 フミッカ国王カイエンの命により、

 横に居たギルド職員から魔導書を取って僕に渡す執事スティンさん、

 そしてそれを今度は僕がナタイラちゃんに渡す。


「えっ、私ですか」

「うん、詳しい話は今夜だけど、どれにするか選んでおいてね」

「あ、ああっ、ありがとうございますっ!!」


 姉妹で喜んでいるや。


(でもごめん、ライリアちゃんは……)


「あの申し訳ありません、書類にサインを」


 あっ、商業ギルドの職員さんが困ってる!


「あっはい、ええっと僕で良いんでしょうか」

「ニィナスターライツのメンバー様でしたら、誰でも」

「ではサブリーダーの、わたくしが」


 クラリスさんが書いてくれるみたいだ、

 でも『ニィナスターライツの』って言ったら、

 アンジュちゃんだってサインできちゃうぞ、それでいいのか。


(当のアンジュちゃんはなんだかサイン攻めにあってる)


 色紙とか装備とかだからいいけど、

 変な契約書とか出されたらわからないなコレ。


「アンジュちゃん、ほどほどにね」

「相手はえらんでるよー」「ならいいけど、変なのに書いちゃ駄目だよ」

「デレスくんの身体とかー?」「こら!」


 裸に落書きして遊んではいけません。


「しかし良い出会いができて良かった、なあマーオ」

「ええ、是非とも文学都市、芸術都市フミッカへいらして下さいね」

「はい、ではお近づきの印に、ええっと……みんな一枚ずつごめんね」


 そう言って天使族三人から……


「あんっ」「んがっ?!」「ふぁあっ!!」


 声からしてリーリヤさんテーマリーさんハーゥメさんかな、

 それぞれ白、白、金の羽根を抜いた、その三枚を坊ちゃんに渡す。


「い、いいのか?!」

「まあ、地面に落ちたのを王子様に拾わせる訳にはいきませんし」

「ありがとう、良い土産になった」「額に入れて飾ると良いみたいですよ」


 布団はあげられないけど、これくらいならね。


(遠くで止められている天使教が頭抱えてら)


「これで手続きは終わりましたわ」

「クラリスさんありがとう、じゃあ行こう」

「どうかね、今夜は一緒に食事を」「是非、お話がしたいわ」


 にこにこ笑顔の夫婦、王子もご機嫌だ。


「カイエンさんごめんなさい、そうなると国王様からの誘いになるので」

「何も堅苦しい事は無い」「ニィナさんとも、リーダーとも打ち合わせが」


 多分。


「そうかなら仕方ない、あの女勇者には頭が上がらないようだな」

「頭が上がらないどころか全身で有無を言わさず抑えつけられているとでもいうか」

「ふふ、仲がおよろしいのね」「はい、幸せなのは間違いありません」


 クラリスさん達ともね。


「んじゃアンジュちゃん」

「先にいっちゃうー?」

「そうだね、ニィナさんはヘレンさんが居るし」


 転移的な意味でね。


「んじゃ、ばいばいちーん」


 とまあ瞬間移動でニィナ城へ。


(天使族、回収しなかったけど、まあいいか)


 羽根が落ちたら誰か回収するだろう。


「「お帰りなさいませ」」


 あっ、メイド奴隷勇者のふたりだ、

 サブリーダーらしくクラリスさんが対応する。


「戻りました、何か変わった事は」

「何人か来客ですね、止めておりますが」

「では内容は」「エリクサーが買えなかったので治して欲しいと」


 もうか、

 まあ最初から買える望みは薄かったからね、

 元から買う気無くて治療して貰おうっていうのも居そう。


「デレス様」

「うん、面倒くさいから天大樹(あまたいじゅ)へ」

「そうですね、みんなで行きましょう」


 さて、ニィナさんに託された、

 ナタイラちゃんライリアちゃんへの合否発表だ。

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