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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第六章 歌う勇者と舞う踊り子たち
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第535話 ウチへ潜り込もうとした理由その真実

「貴方は、天使教の教徒でしょう!!」


 クラリスさんの指摘に表情で『バレた!』という感じになるハーゴさん。

 天使教とは、天祈教の派生宗派で天使族を崇拝する宗教なんだったっけ。


「い、いや、お、俺は……」

「声が震えていますよ?」

「……宗教は関係ない!」「そうですね、『純粋な』弟子入りであればそうですが」


 なるほどぉ、

 だからあんなに天使族に興味津々だったのか。


「きちんと弟子としての仕事はする、だ、だから!!」

「んー、これだと天使族の弟子になっちゃうねー」

「あっ、アンジュちゃん意外と鋭い」「えへへへへ」


 そのあたりはちゃんと、わかるんだ。

 ニィナさんも厳しい顔でハーゴに少し近づくと、

 慌てて言い訳を始めた、焦ってる焦ってる。


「そんなものはきっかけに過ぎない、俺は、俺は幻術師として」

「もういいだろう、安易にアンジュの弟子になりたいと言ったあたり、アンジュを見ていない証拠だ」

「げ、幻術師はいくら居ても良いだろう、俺を置いておけば」「ふぉふぉふぉ、ハーゴよ、もうあきらめるのじゃ」


 スフマさんも苦笑いで諦めさせちゃうみたいだ。


「……そうか、そういう訳か」

「えっニィナさん?!」

「天使教のスパイというだけではなく、帝国のスパイでもあるのだなハーゴは」


 あっ、じゃあスフマさんも送り込んできた側か、

 でもそれを言ったらスフマさんだってラスル村で、

 ジュマジさんから茶飲み友達として情報を聞き出してるだろうし……


「ニィナさん、ひょっとしてウチって、そんなに大きくて重要な組織ですか?!」

「何を今更、天大樹(あまたいじゅ)と最上位治癒魔法、蘇生魔法ついでにエリクサーが複数あるだけで十分過ぎるぞ」

「うわあ、おっかないなあ、僕、抜けちゃおうかなあ」「なら私もだ」「私もですわ」「ボクもー」「旦那様について行きます」「ご主人様、私も」


 って、それじゃあ天大樹(あまたいじゅ)が、もぬけの殻になっちゃう!!


「じょ、冗談はさて置いて、ハーゴさんはスフマさんから学んで下さい、今日もその一環なんでしょう?」

「……また、何か協力させてくれ」

「よし、話は終わりだ、バリアも大丈夫そうだな……いや待て、なんだ?」


 あっ、あれだけ降っていた音符が

 もう襲撃して来なくなっているっぽい、

 残骸はまだいくつかバリアに引っかかっているのもあるけれども……


「ニィナさん、これは」

「考えられる事はいくつかあるが、悪い方から言うと、このバリアを破るため溜めて攻撃する、その準備中か」

「その攻撃ってバリアは持ちそうですか? ってスフマさんに聞かなきゃ」「おそらくは大丈夫じゃろうて」


 うん、あれだけ降っていたのが、本当に静かになった。


「あとは攻撃箇所(こうげきかしょ)を低くした、上空からが無理ならばと、地上部からの攻撃に切り替えた」

「……でも、見た感じまだそういう(たぐい)の攻撃は」

「来るとしたらこれからだろうな、あと、あるとすればこの予測は当たって欲しいのだが……」


 遠く、音符の発生元であろう魔王の山を見るニィナさん。


「このバリアを見て諦めた、という可能性も、なくはない」

「あっ、それだと良いですね」

「どのみち、魔王は早く倒そう、オークションが始まる週末までにはだ」


 そっちもそっちで、忙しくなりそうだ。


「ねーねー、夜になったからやーめた、なんじゃないのー?」

「アンジュちゃん……確かにそうだね、もう完全に夜だ」

「ふむ、だとすれば朝になれば再開される可能性が」「なしのありのずーずー」


 ……?


 …………??


 ………………!!!


「アンジュちゃんそれ、『()きにしも(あら)ず』かー!!」

「そーともゆーねー」


 危うく、わからないままスルーする所だったよ……。


「では一応、街中を見て回るとするか」

「はいニィナ様、街の修復のお手伝いは」

「それはこの国の兵士がやるだろう、重傷者の治療は来ればしてやれ」


 というニィナさんクラリスさんの会話を横目にアンジュちゃんは……


「ねーねーハーゴさん」

「はいっ、アンジュ師匠!」

「ししょーはいーけど、これあげるー」


 真っ黒な飴玉を手渡しする。


「こ、これはっ」

「まりょくかいふくキャンディ―、こくとーあじだよー」


 新味きたこれ!!


「ありがたく、いただきます師匠!」

「でしっこは、いらなーい」


 ……僕も一口欲しいな、黒糖味(こくとうあじ)キャンディー。


(そういえば、まとめてオークションで売るんだっけか)


 そのあたりの整理も、どっかでしないとな、

 いや僕が知らないだけでニィナさんは準備をかなり進めていそうだけれども。


「ついでだ、夜になったということはだ」

「あっ、王城へ」

「そういうことだな」


 ということでキカエデ城へと徒歩で向かうのだった。


「ワシはもういいな?」

「あっはい、スフマさんありがとうございました、ちゃんとハーゴさんも連れて」

「わかっておるわい」


 改めて、ニィナスターライツのフルメンバーでご挨拶だな、

 姫姉妹もついてきちゃっているけど……それはまあいいか。

 

(ストレーナさんに声かけなかったけど、別にいいよね)


 そういえばチアーさんはどうしたんだろう、

 確か一旦帰ったんだったけど、それから僕は会ってない、

 まあ音符があたって街中で気絶しているとかなければいいや。


「あっ、ニィナ様、デレス様、皆様少し、お時間を」

 

 冒険者ギルドのロビーで駆け足になるクラリスさん、

 何かと思えば新しい怪我人がまだ少し居るようだった、

 ヘレンさんも手伝う……まあ、辻ヒールみたいなものだと思えば良いか。


(そして治療が終わり、夜のキカエデ王都だ)


「街中が落ち着きましたね、まだ音符が転がっていますけど」

「旦那様、これはいったい何で出来ているのでしょうか」

「ヘレンさん触らなくていいから……アンジュちゃん、鑑定できる?」


 僕のアイテム鑑定だと反応は無い。


「んー……『音符』だってー」

「音符は音符かぁ」

「持って帰るー?」「いや、いいや」


 飾るにしては微妙だし。


「あっ、あちらにも足を引きずっていらっしゃる方が」


 ……ちょっとお腹が空いてきたな。


「ニィナさん、キカエデのお城で豪華夕食とか出たりは」

「いや、言われても断る」

「どこかに予約でも」「まあ、予約といえば予約だな」


(いったい夕食は、どこへ行くのだろうか……?!)

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