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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第六章 歌う勇者と舞う踊り子たち
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第533話 対魔王特訓とそれは反則だってさ

 ♪ちゃ~ちゃ~ちゃっちゃっちゃ~

 ♪ちゃ~ちゃ~ちゃっちゃっちゃ~~


 軽快な音楽と共に床を這って来る◎に囲まれた音符のマーク、

 それをリズミカルに踏みつつ前へ前へと進む、これが難しい!


(これ、強制的に踊らされているな)


 特に連続で音符が来る所が難関だ。


「そこは片足ケンケンじゃなく両足踏みかな」

「あっ、こうですかMAINAさん」

「デレスっちなら爪先立ちで行けるっしょ」


 ……新鮮な呼ばれ方だ、

 でも十八歳なら僕より年下のはず、

 さらに言えばアンジュちゃんが従えているサモンなはずなんだけどな。


(今はダンスの先生だからね、仕方がない)


「まだまだこのあたりは初級編ですぞ」

「えっ、中級上級になったら、どうなるんですか?」

「スライドといって足を左右に引きずる動作が入りますな」


 さすがにそれは、きつい。


 ♪ちゃっちゃら~ららっ

 ♪ちゃっちゃら~らららっ


「ほら、そこステップ入れた方が向きを変えやすいから」

「そちらはむしろ順番通りに行かずに……」

「ううう、あ、足が……つっちゃうよおぉぉぉ……」


 いくら素早くやれた所で、この捻りは未経験だ。


 ♪ちゃらららっちゃっ……ちゃっ!!


(ふう、終わった)


 二分間の音楽が終わり、

 床にへたり込む僕、そして……


「判定結果が出ますぞ!」


 冒険者ギルドの地下練習場、

 その壁に訓練の結果が映し出された!


「ふーん、99個中65個踏んでるね、初心者にしてはやるじゃん」

「MAINAさん、お、お褒めいただいて……ふぅ」

「でもこの曲、最上級難易度は音符が634個くるよ」


 ひええぇぇぇ……さすがにそれは。


「じゃ、お手本を見せるかな」


 MAINAさんがやる気満々でスタンバイする、

 なんだろう独特の動きやすそうな服、体のラインがわかるピッタリな、

 下着とも違う身体を覆う服だ、そのなんていうか、本当に胸が無いなぁ。


「さあ、音符が来ますぞ!」


 ……僕は立ち上がり、ニィナさんと並んで見ながら小声で話す。


「これでさらに近づいて攻撃とか、無理がありますね」

「おそらくガドーは一撃も当てられなかったのであろうな」

「それで怒ってこんな惨状に……まだ外は降っているみたいですね、音符」


 たまにでかいのが当たる衝撃がする。


(それにしてもMAINAさん、身のこなしが凄いな)


 的確に音符を踏んでいる、

 まるで出現する前からパターンがわかっているみたいだ、

 あっという間に最前線まで行ってバドリン人形をぶっ叩いている。


「そういえばMAINAさんって攻撃は素手でなんですね」

「いやよく見ろ、トゲのついた輪を握っている」

「あ、ほんとだ」「あれは『ナックル』という武器ですぞ」


 いつのまにかニィナさんとは反対側の隣に来ていたイワモトさん。


「ところでイワモトさんもこういうダンスは」

「得意ですが腰にきますな、回復魔法必須でお願い致しますぞ」

「できるんだ……」「歌いながらでも、できますゆえ」


 そうこうしている間に二分が経過して終わった。


「あっちゃっちゃ、3ミスか~」

「それでも敵には十分なダメージを与えていますぞ」

「次、ボクがやってみるー」「アンジュちゃん?!」


 思わず声が出ちゃった僕、

 大丈夫かな、難易度はまず初級からだ。


「ええっと、踏むんだよ、わかってるよね?」

「スフマにやったみたいにー?」

「余計な事は考えなくていいから!!」


 音楽が始まるとアンジュちゃんは……瞬間移動を連発した!


「あっ、召喚主たるアンジュ様、それは反則ですぞ」

「そうなのー?」

「最悪、運営にBANされるかと」


 BAN?

 運営???


「えー、めんどくさーーーーもー」

「召喚主っち、浮くのは良いみたいだからさ」

「ぢゃあ、こうかなー」


 空中を滑って足でトン、トンと音符に触る、

 うん、踏むんじゃなくって触る感じ、これなら時間節約だ。


(踏んばらなくて良いからね、すいすい空中を泳ぐながらって感じだ)


 こうして前のバドリン人形へ……


「えい、えい、えい」


 幻術師の杖でぶっている、

 練習だからね、長杖だと時間かかるし、

 鎌だとスパッと行きそうで多分、壊しちゃう。


「良い感じですぞー!」

「難易度ちょっち上げても良いんじゃね」


 さすが召喚主だけあってサモンに褒められながら……無事、クリアした。


「やったー、1ミスだってー」

「御主人、では続いては私が、素早さは自信がありますから」

「うん、ナスタシアさんは回数をこなして慣れて行くタイプだから、頑張って」


 こうして訓練は、特訓は続いて行ったのだが……


「ニィナ様、私達も」「特訓、いえ討伐に参加させて下さい」


 とやってきたのは姫姉妹だ。


「ふむ、確かに『踊り子』には適した魔王戦ではあるが」

「戦力になりたいんです」「これならきっと、力になれます」

「……考えている事はわかる、妹も奴隷解放して欲しいのだろう、だがそう焦るな」


 そっか、お姉ちゃんが開放されて次は妹を、と。


(だからついて来たがっていたんだな)


 昼食後も自然とくっついてきちゃってたし、

 避難者の誘導で結構頑張ってくれてたから追い返さなかったみたいだけど、

 いざバドリン戦となると……対七大魔王は経験あるから許して良い気もするけど。


「見ていただいてからの判断でも良いので」「お願いします」


 リーダーっぽい真剣な表情のニィナさんが、

 腕を組んでふたりを見下ろしている。


「……遊びでは無いのだが、まあ良い、とりあえずやってみせてみろ」

「はい、では私から」「だいたい見て覚えました!」

「では審査はイワモトとMAINAで頼む」「了解であります」「チェキるよ」


 一方その頃、

 訓練場の隅ではちょくちょく来る怪我人を、

 クラリスさんヘレンさんゴッちゃん(ゴッデスサキュバス)が治していた。


(サキュバスにも試して欲しかったんだけどなぁ)


 特に素早さ特化のシル姉ちゃん(シルバーサキュバス)とか。


 ♪ちゃ~ちゃ~ちゃっちゃっちゃ~ 

 ♪ちゃ~ちゃ~ちゃっちゃっちゃ~~

 ♪ちゃららんらんっ、ちゃんちゃちゃんちゃちゃんっ……


 こうして特訓は夕方過ぎまで続いたのであった。


(※曲はあくまでオリジナルですよ!)

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