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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第492話 スピード重視かアイテム重視か

「……もう地下二十階かあ」

「はいデレス様、ここから先が宝箱の宝庫らしいですが」

「石化した囚人もポツポツ転がってるね」


 人魚島ダンジョンの攻略を開始した僕ら、

 敵はやはり魔王城から来た虫系だのシャドウ系などがいっぱいで、

 前衛のアサシンはサクサクと倒して最短ルートを進んで行く。


「前回の魔王攻略で作ったとかいう地図が役に立ちますね」

「はい、すでに一度攻略されているとルートは基本、変わらないようですので」

「もちろん完璧な地図じゃないけど、特に海中ルートは」


 そう、深くなればなるほど道が途中から、

 海中へと突っ込む別ルートもあってそっちも未完成だ、

 とはいえ人魚族も人魚族でルートを作っていたらしくある程度はわかっている。


(島の外、海中からの攻略も魔王部屋まで行けたらしい)


 人数に余裕があればアイテムで海中側からも別働隊を、

 となったのだがニィナさんアンジュちゃんナスタシアさんを欠いているし、

 それに実は水中と陸地両方ある魔王部屋については秘密の作戦が……


「クラリスさん、ディープスワンプラミアです」

「はいモグナミさん、資料通り、ここから登場ですね」

「ティムなさいますか?」「喋れないラミアは不要ですね」


 泥だらけラミア、

 魔王城の敵に負けずよく棲んでたものだ、

 と思ったらダンジョン、というよりも洞窟だな、その脇からぬるっと出て来た!


「ハッ!!」

「あっ、エルちゃんありがとう」

「周りはお任せ下さい」


(後衛の防御もばっちりだ)


 前衛はアサシン四人が見事な連携で先を急ぐ、

 すでに叩き込んである魔王部屋までのルートを一直線だが、

 脇道も多く奥には宝箱が沢山あるらしい、ミミックも居るには居るらしいが……


「ええっとクラリスさん、いちど見てみたいです『ミミックラミア』とやらを」

「この階から登場するバレバレなミミックだそうですわね」

「何でも後ろにまわれば尻尾があるんでしたっけ」「旦那様、ではサキュバスで」


 前が楽なので後ろや僕ら後衛の周りを警護させてたサキュバス何匹かが、

 って四体か、バニちゃん(バーニングサキュバス)、フリちゃん(フリージングサキュバス)、

 ポイちゃん(ポイズンサキュバス)、エルちゃん(エルドラドサキュバス)が脇道へ入って行った。


「ヘレンさん、行かせたメンバーはちゃんと考えてですか?」

「全体に念じたらこうなったようです、それぞれ立場をわかっているようで」

「というと」「まずシルバーサキュバスはアサシンに擬態して前衛をやっております」


 うん、だからアサシンの前衛は四人だ。


「そしてシャドウ系の強い敵が出た時はガス魔石目的でダクネスサキュバスが」

「アサシンの背後で様子を窺っているものね」


 二列目というやつだ、

 意志が通じるのか無言でシル姉ちゃんと素早く入れ替わる。


「ゴッデスサキュバスは前衛に何かあった時のため、

 前だけの判断で回復をします、いざとなったら蘇生も」

「だね、ダクちゃんの隣りで二列目待機だね」


 もうこれだけで僕らの仕事は無い、というレベルだ。


「最後にエントサキュバスが最後列で警備、これは残した方が良いでしょう」

「いざとなったら、通過した脇道から大量の敵が来た時のタンク役だよね」

「以上は残す必要があるので、それ以外のサキュバス四体が行ったのだと思われます」


 そう話している間にも壁からまたぬるりとラミアが、

 これは僕が処理だな、とプライドソードであっさりと倒す、

 まあ索敵で隠れていても場所はわかるんだけどね、壁の中に居ても。


(ハーゥメさんが索敵に引っかからなかったのは、レベルか熟練度か個人スキルなのか……)


「着きました、地下二十一階への階段」

「ありがとうナツネェさん、って僕にそんな近づいて報告しなくても!」


 捕食されたそうで怖い。


「サブリーダーはクラリスさんだけど、事実上のリーダーはデレスさんでしょ?」

「ええっと、今この攻略に置いてはクラリスさんに報告して下さい」

「はいはい、私だってサブリーダーやってたからクラリスさんの苦労はわかるよー、特にリーダーが居ないと」


 あぁそういえばそうだったな、

 リーダーがお爺ちゃん獣人でパーティー名がお爺ちゃんが叫んでるみたいな、

 でもわざわざ僕に近づいて報告したのは別に気を使ってじゃない気がする、むしろ……


(僕へのアピール?!)


 そういえば今のパーティー抜けたいみたいな雰囲気の話、してなかったっけ?

 おまけにニィナ城の裏に小さい兎小屋、といっても立派なアジトを入手してたし。

 戦力からしたら申し分ない、ウチに来たら謎のアサシンとして大活躍してくれるだろうけれども……


(でも、でもケモナー沼に埋められるのは、嫌だああああああ!!!)


 そう思うと、すすすっとナツネェさんから引いて離れてしまう僕。


「あの、皆さん進まれないのですか?」

「はいジュニーさん、別ルートのサキュバスを待っていますわ」


 階が変わるとパーティー効果が切れちゃうからね。


「戻ってきました」


 そうエンちゃんが言って身体を壁につけると、

 わざわざ宝箱そのものを持って来たサキュバス四体がやってきた!


「ええっとこの大きいのミミックラミアじゃないよね?」

「はい、普通の宝箱ですが見た事の無い大きさでしたから」

「うーん、アンジュちゃんのベッドに使えるな」「でしたらデレス様もですわね」「こら」


 珍しくボケたクラリスさんに突っ込んだのは良いとして、

 開けてみると中には……うん、種だ、ご丁寧に真ん中にちょこんとある。


「……この種のサイズは」

「はいクラリスさん、普通の『魔力の種』ですね」

「なぜわざわざ」「うーん、気分を落とさせるため?」


 いや魔力の種でも十分嬉しいけれども。


「旦那様、まだ脇道は沢山ありましたが、いかがなさいましょう」

「うんヘレンさん、地下三十三階まである事を考えると、

 急いで行って討伐しても帰りに種を、宝箱を見て回る時間あるかなあ」


 こうやって脇道一本でもそこそこ戻ってくるのに時間が、

 いやこれはわざわざ宝箱を運んできてくれたからだよな、

 一応アイテムボックスへ入れてっと、さあどうしようか。


「困った時のクラリスさん」

「先へ急ぐのを優先するか、宝箱のアイテム回収を行いながら進むかですわね」

「うん、魔王倒してから余った時間で、ってそれやってる余裕があるかどうか」


 心残りはあっても、何もどうしても今日中に倒さないとって訳でもないし、

 いや出発直前はやっかい事は片付けて気分スッキリ七大魔王戦へって思ってたけれども!

 うん、まあ人間そんなもんだ、と考え込んでいるクラリスさんを見ている僕。


「魔王を倒した後、時間がなければ後日、下部組織に」

「でも石化防止にはクラリスさんのその杖が」

「では私だけ参加して、残りは下部組織から編成して再度こちらへ」


 という訳で宝箱は後回しにする事となったのだった。


(助っ人の分配もあるから、アイテムはいま入手できるならした方が良いんだけどね)


 あくまで目的は、最優先は魔王退治である、

 もちろん魔王を退治できればそのアイテムや素材で儲かるだろうし、

 分配はそれでも十分なはず、そもそも雇ってるんだから。

  

「ではダンジョンを降りるスピードを上げましょう」

「さすがモグナミさん! まさにスピードスター」

「いえデレスさん、、私はハズッキ様程ではありませんが」


(……なぜここでギルドの上司を持ち上げる?!)


 確かにそうだったけれども、

 変な含みとか、無いよね……。 ね?!

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