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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第481話 戻って来ないサキュバスと真面目な時は本当に頼りになるね

(……おかしいな、偵察のサキュバスが戻って来ない)


 昼食もすっかり終わり、

 元気になったストレーナさんが帝国の素晴らしさを語り終え、

 続いて幻術師スフマさんの聞きたくもない半生を聞き終えた所だ。


「まあ、では今は帝国の新しい幻術師を育てるのに忙しいのですわね」

「ほっほっほ、じゃがまだ『これぞ』という後継者が出てきておらぬのじゃ」


 やさしいなクラリスさん、

 ちゃんとリアクションというか感想を言ってあげている、

 まあ暇だからだろうけど……にしてもヘレンさんの表情が不安そうだ。


「サキュバス、帰ってきませんね」

「おかしいです、何かあればすぐに戻ってくるはずが」

「地図で見ると監獄までそこまで時間がかかるとは思えませんよね」


 しかも空を飛んでるし。


(どっかでサボって野外パーティーとかするサモンでもあるまいし)


 親愛度の低いティムモンスならまだしも。


「ええっとモグナミさん」

「はい、偵察隊が帰ってきませんね」

「考えられる事は」


 こういう時は冒険者ギルド職員兼顔役のモグナミさんだ。


「……実は冒険者が帰ってこない原因は敵の、魔物の特殊能力ではないかと」

「でもそのあたり、状態異常の防御を万全にすれば」

「しかし相手が、それこそシャドウ系であれば並の冒険者は防御が困難です」


 なるほど、確かに魔王城からシャドウ系がわらわら流れ着いているもんな。


「あのー、よろしいでしょうか」

「あっナツネェさん、アスリクだとシャドウ系ダンジョンがありますよね」

「一応、シュッコにもシャドウエリアがありますよ」「そうだったジュニーさん」


 真面目な表情のアサシン三人組、

 うん、本当に真剣な場面では頼りになる人達だ。


「あのサキュバスなら、例え空飛ぶシャドウが居ても逃げ切れますよね」

「確かに」


 僕がナツネェさんに頷くとまたもジュニーさんが。


「それにシャドウ系サキュバスが居るはずですから取り込まれないのでは」


 同じ属性だとそうなるんだっけ?

 取り込まれても自力で他所から出られるとかもあるのかな、

 このあたり、シャドウ系つまりガス属性のダクネスサキュバス(ダクちゃん)本人に後で聞こう。


(あっ、モグナミさんが何かひらめいた!)


「ザザムの冒険者ギルドで説明を受けたと思うのですが、

 この島はラミア系が巣食っております、ダンジョンの方も」

「うん、じゃあラミアに巻きつかれているとか?」


 エントサキュバス(エンちゃん)くらいの巨体を拘束するには倍の身長は居るな。


「いえ、ラミアの高位種ですと、魔力で相手の動きを止める魔物も居たかと」

「それが地下から出てきてるって可能性か、なら魔王城から出て来た魔物にもそういのが」

「デレス様、その手の魔物は魔王城から来た中には見当たりませんでしたわ」


 ここでニィナスターライツの頭脳クラリスさんからの助言が。

 真面目な表情の兎獣人ナツネェさんも氷水を飲んで意見を発する。


「監獄が壊滅しているのなら、そこから特殊能力特化のラミアなり、準魔王クラスの魔物が来てるんじゃないかな」

「うーん、でも冒険者ギルドで聞いた人魚島ダンジョンのボスって、モグナミさん」

「はい、水陸両用の『九分の七ぎょどん』ですね、水中ルート地上ルートどちからからでも行けるようです」


 でも、そいつの特殊能力ではそんなのは聞いてなかったぞっと。


「これは私の推測なのですが」

「はいジュニーさん」

「飛べるサキュバスが帰って来ないとなると、行方不明の天使族も同じ敵にやられたのではないかと」


 やられる……

 つまり倒されているってこと?!


「ええっとヘレンさん、自分のサモンが死んでるかどうかってわかりますか?」

「魔物鑑定は魔物そのものを見ない事には」

「そっかあ」「鑑定水晶があれば私でもできますが」「モグナミさん!」「では私のを」


 クラリスさんが自前のを出した、

 それを使ってモグナミさんがヘレンさんを鑑定すると……!!


「……出掛けたサキュバス七体、全て状態が『石化』になっていますね」


 な、なっ、なんだってーーーーー?!?!


「そんな敵が!」

「おそらくラミアの高位種かと」

「ラミアとは限らないですね、ラミア亜種の準魔王にメデューサ系っていうのが確かいますよ」


 ナツネェさんも新たな知識で教えてくれる、

 そうか、そういうのも居るのか、っていうかほんっと助っ人アサシン軍団、

 真面目な部分では頼りになるなぁ、これで淫乱バーサーカーだから裏表が凄い。


(そんなことよりも、だ)


「デレス様、やはり距離があるとパーティー効果の状態異常無効は効かないようですわ」

「うん、サモンだけで行動させたのは失敗だったかな、じゃあみんなで救出に行こう」

「行かれるのですね」「はい、ストレーナさん達は表に出ないで、スフマさん、僕らが帰って来なかったもしもの時は」


 大きく頷いてくれている、

 さすがに帝国お抱え幻術師はあのへっぽこチゴパスみたいな事にはならないだろう。


(と言いつつストレーナさんたちとさっさと逃げたりして!)


 準備を整え、僕ら六人とフリージングサキュバスはいざ出発だ。


「では皆さん、よろしいですわね? 参りましょう」


 クラリスさんの号令で砦を出る僕ら、

 前衛は頼もしいアサシントリオだ、って速い速い!

 なんとかついていく、クラリスさんヘレンさんは低空飛行してるし。


(石化かぁ、なら防げるけど、問題はサキュバスがどうなっているかだなぁ)


 高い上空で石にされたなら落下の衝撃でバラバラになってなければ良いが……

 その時はくっつけてヘレンさんで蘇生かな、いやサモンが死んでたら使えないのか、

 でも鑑定では石化って出ていたという事は死んでいる訳では……


「居ました、あのラミアかと」


 モグナミさんが見つけたラミア、その名前は……!!


「ストーンアイラミア、か」

「はい旦那様、目が合うと石にされるようです」

「待って、その奥に……あれはあっっ!!」


 ジュニーさんの驚きの声、

 その先に居た大きな魔物に僕はのけぞった!


「メデューサラミア、これって準魔王クラス?!」

「旦那様お気を付け下さい、目が合わなくても視界に入るだけで石にされるようです」


 犯人はコイツかぁ!!

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