表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
473/878

第466話 治ったとはいえ長くは持たないっぽい

「うーんこの味、なっつかしいなぁ」

「デレスはよく胸にこぼしてリッコに怒られていたよね」

「義兄さん、いつの話ですか!」


 アヴァカーネ伯爵家へ行く道すがら、

 僕らはお詫びの意味も込めて買った、

 冒険者ギルドの窓で売られているかき氷を歩き食いしていた。


(みんなで売り子のファニーおばさんにペコペコ謝ったよ!)


 回収しそこねたのはイリオン義兄さんのミスだけれどもね!


「んー、もーちょっとシロップ多めがいいかなー」

「でも、こういう味はシンプルでなかなか良いですわ、一汗かいた後は尚更」


 アンジュちゃんも飛びながら、

 ヘレンさんも化粧が落ちるのを気にしつつ食べている、さらに……


「新潟の駄菓子屋にも、夏になるとかき氷を売るおじさんが来ましたな」


 懐かしそうに黄色いシロップのを食べているイワモトさん、

 魔力回復のアイテムになるそうだが使ってないので味を楽しむだけらしい、

 あとイリオン義兄さんだけじゃなく私兵も食べながら歩いている、なぜなら……


(護衛のサキュバスがめっちゃ目立っているな)


 おかげで僕が丸隠れであーる。


「それにしてもあの連中、本当にもう来ませんよね?」

「デレス達があそこまでやってくれたんだ、一応、父上には報告しておくよ」

「あっ、今日はさすがに」「居るよ、仕事中だけど急ぎの用件だからね、どっちも」


 今回の報告と僕らの再訪ってことかな?

 なんて思っているとイリオン義兄さんがまた耳打ちを。


「……本当にあのアンジュって子、強いね」

「おそらく幻術師では世界トップクラスです、僕でも普通に負けます」

「そういえばデレスって今、どのくらい強いんだい?」


 これまた反応に困る話題を。


「まあ、相乗効果でみんな強いっていう事で!」


 と話を誤魔化しているうちにアヴァカーネ伯爵邸へ到着である。


(かき氷の器と匙は私兵さんが回収してくれたよ!)


「デレス、一緒に報告するかい?」

「あっ、ごめんなさいイリオン義兄さん、どうしてもすぐ行かなきゃいけない場所が」

「まだ帰ったりはしないよね?」「あっはい、それはもちろん」


 これで義両親に挨拶しないで帰る訳がないが、

 とりあえずはここへ来た主目的を達成しないと。

 僕はアンジュちゃんヘレンさんを連れ、ってイワモトさんとサキュバスで大所帯だな。


「ごめん、ぞろぞろすぎるからサモンは一旦、亜空間へ帰って貰おう」

「かしこまりましたわ旦那様」「おっちゃん何か言って帰ってー」「バーイ、センキュー!」


 みんなまとめてお帰り頂いた、

 そして裏庭のティムモンス小屋へ……


「ポンク、僕だよ、また来たよ」


 入ると餌が半分以上残っている、

 奥では毛布の中から鼻先と舌だけ見えている状態だ。


(消え入るような小さな声でクンクン言ってるな)


 返事したいけどあんまりできないみたいな。


「ではヘレンさん、治癒魔法を」

「はい、それでは失礼して」


 本来はゴッデスサキュバスが使う最上級治癒魔法、

 エリクサーと同効果のものをヘレンさんが無詠唱でかけてくれる、

 まばゆい光が包み込むと、しばらくして……!!


「……ク~ン、クーーー……ガウッ?! ガウガウッッ!!」


 おお、毛布から飛び出してきた!!


「ポンク! 治ったか!!」

「ガウォーーーン!! ハッハッハッ!!!」


 一気に元気に、目も光を取り戻している!!


「やった、やった! ヘレンさん、ありがとう!!」

「いえ……でも、見た感じ、ごく一時的なものかと」

「えっ、そうなの?!」「はい、そう長くは続かないかと、明日朝には先ほどの状態に近いあたりまで」


 さすがサモナー兼テイマー、そこまでわかるのか。


「げんきになったら、もっとげんきになるエサだよー」

「あっ、アンジュちゃんそれを!!」


 天大樹(あまたいじゅ)の実を取り出したアンジュちゃん、

 ポンクはそれを見て目を輝かせながら尻尾をブンブン振っている!!


(あっ、許可が無いと食べないのか、偉いなぁ)


「よしポンク……食べていいよ!」

「ガウゥーーーッッ!!」


 ワーウルフらしくガツガツ食べている!


「ヘレンさん、散歩連れて行っても大丈夫そう?」

「……あまり長い距離でなければ」

「じゃあポンク、それを食べ終わったら表へ行こう!」「ガウッ!!」


(うん、急いで治療しに戻ってきて、良かったぁ)


 こうしてもう長く使ってなかった感じのリードを掛けてある壁から持ち出し、

 ポンクを繋いで小屋の外へ……うん、それなりに、少しヨタりながらも駆けている、

 僕も合わせて一緒に走ると、ふと二階の窓に複数の人影を感じて見上げる。


「あっ、義父上、義母上!」


 手を振ると気付いてくれたみたいで振りかえしてくれる、

 ヘレンさんは大きくお辞儀、それを見てアンジュちゃんは……


「って、アンジュちゃん?!」


 わざわざ窓の前まで浮かんで、真正面まで行ってぺこり、ぺこりとお辞儀!

 あーコレ義父上義母上、たぶん引きつってるな表情が、そして舞い戻ってきたアンジュちゃん。


「ご挨拶してきたよー」

「うん、ちゃんとフードを取って偉かったよ、いいこいいこ」

「えへへへへぇーー」「旦那様、私も同じように飛んだ方が」「後で一緒に行くから大丈夫、それより今は」


 うん、ポンクと散歩を楽しもう!!


(これがもう、最後になるかもしれないからね……)


 そう思うとニィナ城に戻ったら、

 ケルピー達の散歩もしようかなっと。

 お猿さん達は……どうしているんだろう??

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ