第397話 巨大アジトと従業員募集中
玄関、すなわちエントランスをあらためて見回す。
「これ、アジトというよりも巨大宿泊施設というか、ホテルだよね?」
「SS級だからね~まだレベル3だけど~にゃはは」
「えっと、ぶっていい?」「いいけど意味ないよ~」
イワモトさんが喜んでいる。
「やはりギャルは良いですな!」
ええっと多数決の方は、
僕が選ぶとみんなそれに選んでしまう可能性が高い、
それって多数決じゃないよね、と輪になって全員、外向きで挙手したところ
・生真面目口調 僕、ニィナさん、ヘレンさん
・コロメの口調 クラリスさん、アンジュちゃん、ナスタシアさん
という事で異世界人を0.5票にして選ばせたら、こうなった。
「あの、旦那様」
「どうしたのヘレンさん」
「サモンが0.5票でしたら私の」「あっ、そのあたりはリーダーのニィナさんに」
多数決って言って決を採ったのは確かに僕だけれど、
最終的なチームの、パーティーの取り決めは、決定権はニィナさんだ。
「ヘレン、言いたい事はわかるがこれは自我性の問題だ、
サキュバス連中であればヘレンやデレスの言う事をきくだろう、それでは意味が無い」
うん、残念だけどね。
「ここが受付なんだけど~、従業員ってアタシだけだから~、ん~、いつもはここに立っていればい~い~?」
「従業員を増やすには、どうすれば良い」
「人くらい知能のある土属性の魔物を放り込んで、媒体にすればできるよ~」
知能のある土属性、
喋れるっていうとやっぱりエントサキュバスか、
でもニィナさんよりでかいから、頭が天井につかないか心配だ。
(玄関に関しては大丈夫そうだけれども……)
「えっとすみませんコロ……アマタツさん」
「な~に~? 抱きたいなら抱いて良いよ~にゃはは」
「ううっ、その姿で言われると、木目の木偶人形といえど、あっ、頭がああああぁ……」
僕の二大トラウマのひとつだ、
ひとつはまあ言わずもがな、いやそっちは無理矢理じゃないけれども!!
「デレス落ち着け」
ぎゅうううっと抱きしめてくれるニィナさん!
うん、良い匂い……大きい女性に包まれると安らぐねっ!!
「はい、もう大丈夫です、ええっと、普通に、人を従業員にする事は」
「できるよ~ただし敵対認識する人は弾いちゃうかな~オーナーと肉体関係の無い天使とか~にゃはは」
「言い方! その言い方!!」
後ろから金の羽根がついた天使が近づいてきた!
「私達、受付やりますっ!」
「ついでに住まわせていただければ」
「三食、天大樹の実で大丈夫だよー」
うーん、しゃくだけど、適任かも?
「あっ、例のお猿さんたちは」
「躾ければ荷物持ちくらいはするんじゃな~い? にゃはは」
「じゃあテイマーが必要か」「はいっ! やりますっ」
ハーミィさんやる気満々だなぁ。
「ニィナさん、どうしましょう」
「そうだな、ニィナ城の奴隷、何人かをこちらに、あとはジュマジとアマリもか」
「あーでもあっちは、屋敷はあれはあれで、あった方が」
天大樹は、基本、秘密だからね。
「あの、ニィナ様、デレス様」
「どうしたクラリス」
「天大樹は、まだまだ大きくなるのでしょうか」
その言葉にみんなしてアマタツを見る。
「なるよ~なるなる、最終形態はもはや山だね~」
「でしたらこちらの、ラルス村のお屋敷を呑み込んでしまうのでは」
「繋げる事ならできるよ~、レベル5になればね~にゃはは」
本物のコロメよりにゃはにゃは煩いなアマタツ。
「まあそれは先の話だ、中を案内してくれ」
「は~い、まずは五十人が一度に座れる食堂だよ~」
中は凄いな、ちゃんと木製のテーブルと椅子が揃ってて、
お水が出てる所があってそこで木のコップを使って飲むのか、
奥にはちゃんと料理場がある、壁に何かスライド式の扉があるけど……えいっ
「あ、これは!!」
天大樹の実が、ツタに繋がったまま十個も!!
「実! 実ーーーーっっ!!」
「下さい下さいお願いしますお願いします」
「なんでもしますからっ! デレスさんを身も心もボロボロになるくらい無茶苦茶にして差し上げますからっ!!」
こらこらこらこら!!
「ストップ! 天使族、ステイ、ステイだ!」
ニィナさんがなだめてくれた。
「一応、実だけは常時、最高百個ここに保管されるけど~、
それ以外が欲しいなら、もっと私自身を育てるか、
食材を持ってきて従業員に作らせるかだね~にゃはは」
うん、これはますます従業員募集中だね。
「ん~、天使族は煩いから一旦、出しますか」
「だな、お前達、ホーム! とりあえず外へ出ろ」
「そんなあ、実がこんなにあるのにっ」「後でご相談を」「いくらでも、デレス様をち●ぐ●返ししますからっ!!」
……コットンネさんってこんな痴女キャラだったっけ?
「んもー、とばすねー」
アンジュちゃんがしびれを切らして、
一瞬で天使族みんな転移で消しちゃった、
そしてアンジュちゃんだけが戻ってきた。
(うん、平和になった)
気を取り直してニィナさんが質問を。
「アマタツ、実以外は何か出るのか」
「あとはキノコだねー、設定すれば蜂とか鳥とか捕まえて、こっちの棚に並ぶよ~」
今度は別のスライド式扉で中は何もない、
鳥とかってどうやって置かれるんだろう。
「食堂はわかった、次は」
「お風呂かな~にゃはは」
とりあえず後頭部を、叩いておこう。