第395話 巨大魔石とアイツをぶっ込もう
「どうだ、良い湯だったか」
「あっ、ニィナさん、そ、その」
「一応、ふたりはその場に座れ」「はい」「はーい」
天使についばまれた(意味深)あと温泉で汗を流し、
寝室へ戻ったらニィナさんが待ち構えていた、普通の表情が逆に怖い、
テーマリーさんとコットンネさんも全裸で正座させられているし!
「ええっと」
「昼食はこれからか」
「そうなりますね、皆さんは」「天大樹だ」
あーはいはい、そういう話になりますか。
「僕がその、休んでいる間に」
「準備をしていた、イワモト殿の言う『カスタマイズ』とやらの準備に必要な物も揃えた」
「あっ、わざわざありがとうございます」
僕があんなことやこんなことしている間に……
いや、されている間にか、うん、最近、天使族の羽根がね、なんかこう、すごく……良いです。
「ふたりに関しては後で詳細を事細かに聞く、良いな?」
頷くふたり、片方は真顔でもう片方は微笑んでいる。
「デレスもだ」「あっはい」
「という事で着替えろ、早くしないとそのまま転移させるぞ」
「わかりました、えっとおふたりは」「是非行きたいです」「お願いしまーす!」
ニィナさんが頷いているからいいのか。
「では外で待つ、何なら着せてやろうか」
「あっ、あの」
一度『お願いします』って言ってみよう。
「どうした」「ニィナさんに着せて貰えるなら、う、嬉しいです」
「そうか、では力を脱いてベッドに横になれ」「はいはいぃ……」
何をどうやって着せてもらったかは省略、
ただ、天使族のふたりがちょっと怯えていました。
(……ただじゃ済まなかったよ……)
こうして部屋を出るとアンジュちゃんがイワモトさんと待っていた。
「とんでいーいー?」
「頼む」「でーあー!」
一瞬で天大樹の前へ。
「うっわ、さらにでっかくなっているていうか、これ上からも見れるよね」
「行ってみるー?」「えっ」
瞬時にアンジュちゃんと一緒にさっきの寝室へ戻った!
「ええっと……あったあった、見える見える!」
「じゃもどろー」
そしてまた天大樹の前へ。
「なんだ忙しいな」
「あっニィナさん、ごめんなさい」
そこまでして見たい訳じゃなかったのに、
アンジュちゃん気を利かせすぎとでもいうか。
「それでこれからどうするんですか」
「色々と放り込む、まずはこれだ」
「うっわ、でっかい魔石! 光魔石ですか」
これは今日討伐したダークネスレインボードラゴンの物かな。
「鑑定したら面白い物が入っていてな」
「魔石の中に魔石ですか? 半々なら見た事ありますが」
「うむ、この中心には『レア魔石』が核としてあるらしい」「それは凄い」
ええっと、魔石って砕いても使えるよな大きければ。
(半々の魔石も割って別々に使っていたし!)
「これをこの『天大樹』の核とする」
「それはもったいない」「だが格段に成長するらしいぞ」
「あっ、調べたんですか」「ああ、天使族の文献とイワモト殿の知識だ」
イワモトさんが頷いている、
あと天使族六人も……って、あれ?
「ここって天大樹に近いですよね」
触手ツタもウネウネこっちに来て話の輪に加わってるみたいだし!
「ああ、どうした」
「天使族が弾かれてませんね」
「全員では無い、おーい来てくれ」
あっ、遠くに残り四人が居た
そしてやってくるもツタにバチコーンって弾かれる!
やっぱり駄目なんじゃ……あれ?!
「ひょ、ひょっとして」
「デレス、気が付いたか」
「僕らのメンバーが一緒に連れて来れば」「違う、そうじゃない」
こっち側の六人をまじまじ見る、
綺麗に生えそろった金の羽根が四人と、
ちらっと金の羽根が生えはじめているふたり……あっ!
「なるほど、金の羽根があると近づいても平気なんですね」
「まあ、合ってはいるが正解ではない」
「えっ、じゃあつまりええっと……ああ、ああ!!」
何人かが恥ずかしがっているのでわかった!
「デレスくんが抱いたからだよー」
「アンジュちゃん! 口に出さないでー!!」
「そういう訳だ、デレスに認められたから天大樹も認めたという訳だ」
認めるって!!!
「入れるのはそれだけではありませんわ」
クラリスさんがそう言いながら身体をずらすと、
後ろにはボロぞうきんのような女が横たわっていた!
「うわ、匂いが……あ、こ、これって!」
「眠らせて連れてきましたわ」
悪女勇者コロメ!
眠らせてって事は生きてはいるんだ。
「げっそり痩せてますね、睡眠魔法とかですか」
「アイテムですわ」
「これだよー」
アンジュちゃんが見せてくれたのは、
アイテムダンジョンで入手した腕から針を発射する小型麻酔銃とかいうやつだ。
「いつもはコゴロウが刺されるやつですな、うなじに命中しておりますゆえ」
「イワモトさん、これそっちの世界の物ですか」「ですな、真実はいつもひとつ!」
なんだかよくわからないけど、まあいいや。
「という事でデレス、他にも細かいやる事はあるのだが、
とりあえずこのふたつを中に放り込んでくれ、デレスしかできないらしい」
「あっはい、わかりました、って女勇者はむしろ個数で数えて良いんですね」
綺麗に洗ってどうこうしたいとも思えないし。
「あっ、前に入った時はメンテナンスって」
「樹のレベルが上がったからでしょう、もう大丈夫なはずですぞ」
「わかりました、では、行ってきます」
魔石を転がしながら、
ばっちい悪女勇者の襟元を持って引っ張りながら、
僕はまるで迎え入れられるかのように、天大樹の中へと入ったのであった。