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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第390話 空中ダンジョンとその正体とは

 ナスタシアさんの飛行訓練にニィナさんクラリスさんも加わり、

 エントサキュバスに抱きかかえられたヘレンさんと自力で浮かぶアンジュちゃんが見守る中、

 天使族の集落上空を自由気ままに飛び回っている、で、僕はというと……


「デレス、落ちる心配は無さそうだな」

「はいっ、マントの魔法でニィナさんごと包み込んでもらっていますから」


 マントで飛んでいるといってもニィナさんの場合は身体を包み込んだままだ、

 なので僕はビキニアーマーを背にしてびったり密着している、前向きだっこって言うのかなこれ、

 いや抱きついてはいないな、むしろニィナさんに手を放した状態で背後から抱きかかえられているというか。


(マントの隙間から顔だけ出してると、ほんっと、子供みたいで情けない)


 男としてのプライドががががが。

 とまあ、『が』が多くなるような状況は置いといて。


「クラリス、あらためてどうだ」

「はい、アンジュちゃんに浮かせていただいている時とは、自由度が桁違いですわね」

「そうだな、受けではなく攻めを積極的にできる」


 つまりどういう事かというと、

 アンジュちゃんの魔法でみんなを浮かせると、

 それぞれの動きは基本、アンジュちゃんがやってくれる。


(だからパーティー人数内が限界だったんだよな)


 空中戦闘などではアンジュちゃんがみんなの仕草を見て

 前後左右上下と動かしてはくれるもののほら、そこまで気が利く子ではないじゃない?

 もちろん戦いにおいてはセンスある、ましてやニィナスターライツ内で一番の強さを誇るだけの事は。


(とはいえそれが戦術的にどうかってなると、ねえ)


 まあ、もちろんニィナさんはあのでっかいでっかいベルセルクソードがあるので、

 そのリーチを生かして少し離れた敵に先手を打つ事は出来るものの、大きく考えればほぼ受け身だ、

 魔法を使えるクラリスさんにしても同じ、だがそれが自分の意志で好きに動けると本当に『自由』っていう感じだ。


(うん、ニィナさんの懐で見てると、その躍動感が伝わってくる)


 ちなみにヘレンさんは鞭持ってサキュバスを操っているので、

 間接的に飛んでいるといっても、ほぼ直接的に限りなく近い形で飛べている。

 アンジュちゃんは言わずもがな、一緒に飛んでいるイワモトさんは……


「はっはっは、見ろ、人がゴミのようだ!」

「どうしたんですかイワモトさん人が変わって、あと人じゃなく天使族ですよ」

「いえ、一度言ってみたかったもので」


アンジュちゃんの追尾ウェポン状態だ。


「ナスタシア、小回りは効くようになったか」

「はいニィナ御主人様、翼では無いのでハーミィさんの助言は半分くらいしか効果ありませんが、それでもかなり」


 やはり自前の羽根で飛ぶのとアイテムのマントとでは勝手が違うか。


「みなさん上達、お早いですね」


 ニィナさんクラリスさんの飛行訓練を担当してくれたネアリーさんも満足そうだ、

 これで後は僕も飛べたらなあ……一応、大量の敵に囲まれピンチになったら、僕がニィナさんの胸元から剣を出す事になっている。


「よし、それでは一度、その空中ダンジョンとやらを見てみたい、案内してくれ」

「わかりました」「こちらですっ!」


 集落からぐんぐんぐんぐん山頂を目指す、

 途中で果物の畑やら何やらがそこそこあるが、

 人は立ち入れそうにないのできっと天使族のものだろう。


「農作物が多いではないか」「ですよねー」

「これでもかなり溶岩に呑まれてしまって」

「集落の天使族、みんなを食べさせるには足りないんですっ」


 うん、これ天大樹(あまたいじゅ)に住まわせて実を沢山食べさせてあげたくなる所だけど、

 お人好しが過ぎると痛い目にも遭うって良く肝に命じておかないと。


「ふむ、いっそ天使の娼館でも開いたらどうだ」

「そんな、男の人間は怖いですっ!」

「魅了の羽根を使えば良いだろう」「あれは一人にしか使えませんっ」


 そうなんだ、そんな手を使ってまで僕を狙っていたのか。


「まるでデレスが男では無いみたいな言い方だな」

「いえいえ普通の人の男性は怖いっていうだけで……そろそろです」


 マグマ煮えたぎる山頂のさらに上空、

 うん、確かに悪そうなドラゴンが空中で止まっている、

 翼も羽ばたく事なく……あと確かに宝箱もポツンとあるな。


「ほう、では行ってみるか」

「危ないです、いつドラゴンが……」

「あの、まずは私に行かせて下さいっ!」


 そう言ってナスタシアさんが突っ込むと……!!


「危ないですぞ、減速なされ!」

「えっ?! ……きゃっ!!」


 イワモトさんの声も虚しく、

 バインッ! と見えない何かにぶつかった!


「これはいったい、イワモト殿」

「これは空中ダンジョンというか、透明ダンジョンですな」

「つまり、壁はあると」「そうなりますな」


 だからドラゴンは座ってるし、宝箱も落ちないのかぁ。


「イワモト殿、どうすれば良い」

「方法はふたつありますな、ひとつは解呪、ダンジョンにかけられた透明化の魔法を完全に解く事ですな、例の杖なら」

「そうなるとどうなる」「ダンジョン自体がなくなりますな、宝箱は落ち、ドラゴン等の魔物はおそらく一斉にこちらへ」


 うん、ドラゴンは結構居るし上部は灰色の雲に覆われてて何が出てくるかわからない。


「もうひとつの方法は」

「解呪ではなく隠匿解除、つまり透明化無効ですな、召喚主様なら可能かと」

「そっちだな、アンジュ頼む」「あいしー」


 アンジュちゃんが杖を持って念じると、

 ダンジョンは氷、いやガラスのように形を現した!


「なるほど、まだ透明ではあるものの物理的には見えるな」

「入り口は下からのようですな、お気を付け下され、完全に立体迷路となっておりますゆえ」

「なあに、アンジュの転移がある」「こりゃまた失敬」


 うん、いくら複雑な迷路でも透明なら転移し放題だ、雲の中以外は。


「よし、行ける所まで行ってみる、天使族のふたりはどうする」

「怖くて入れません」「でも、そうとわかれば外側から見て、何かあればアドバイスを」


 まあ、見守ってもらおう。


「では行くぞ、覚悟は良いなデレス」

「あっはい、どっちみち、逃げようがありませんし」


 うん、ニィナさんからは、ね。

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