第354話 ようやく呼び出した異世界警備員と誰の事を言っているんだろうね~
「……という事がありました」
「ふむふむ、デレスが一番というのはおそらく、観察しての事だろう」
「それってどういう」「ニィナ様、旦那様、よろしければ私が説明を」
ヘレンさんはサモナー兼テイマーだからね、
そういのはよくわかるのだろう、ニィナさんも頷いている。
「じゃあお願いしますヘレンさん」
「はい、まず飼い犬や飼いならしたウルフは主人が複数居る場合、その序列で態度を変えます、
例えば飼い主が娘と息子を持っているある四人家族の場合、餌をくれる母親を一番偉いと感じ一番主人として媚び、
次はおやつをくれる娘を二番主人、散歩に連れて行ってくれる息子を三番主人と」
じゃあお金は稼いでも家にはあまり居ない父親は、
人間的に家族として一番でも、ペットとしては最下位になるのか。
「その理論だと僕って大して会ってないはずだけど」
「おそらくあの天大樹は、もっと深い所を見ているのだと思われます、
それは人間の力関係、心の関係、愛情的な上下関係、それを感じ取って飼い主内で順位付けをしているのかと」
ええっと種を植えた時点で多分、僕らって飼い主扱いになっているのかな、
その時点で居なかったナスタシアさんは当初、普通に止められていたっけ、
飼い犬理論だと肥料をあげてるジュマジさんアマリちゃんに懐くはずだけれど実際の順位は……
(その場の空気を読み取って、力関係を理解してそれを飼い主の優先順にするって、よっぽど高知能だぞ)
「凄いですね、目も無いのにそんな感情を読み取る大樹って、超能力レベルですね」
「ムムムムーン」「アンジュちゃんどうしたの」「超能力が出る音、だよ」「音?!」
「デレス、そのような表現をするより鑑定魔法の部類と考えた方が良いだろう」「あっはい」
人と人との間の、愛情値とか好感度とか服従度とかわかるのかな、
運みたいな隠し数値とか天大樹なら見てわかるとか、
そういえばイワモトさんも運の数値がどうとか言っていたような。
「あっニィナさん、イワモトさんどうしましょう」
「ふむ、アンジュの召喚異世界人か、すぐ出せるのか?」
「んー、あれー、イワモトさんしかいなくなってるー」
ええっと、前は四人呼べて選択式だったよね?
「すみません、そもそもアンジュちゃんって、どうして異世界人召喚できるんだっけ」
「なんだデレス忘れたのか」「あっ、職業を移し替える魔法でしたっけ」
「ではそのあたり、私があらためて説明しますね」
さすがニィナスターライツの知恵袋、クラリスさんだ。
「お願いします」
「デレス様がおっしゃっておられるのは、アンジュちゃんの幻術師レベル60魔法『リミットクラスチェンジ』ですね」
「それで一時的に別の職業になれるんですよね」「一時間だけ、それでアスリクでの勇者決闘に参加を」
そうだ思い出した、
上位職業は同じパーティーに居ないと使えないんだった。
「あれ? でもそれでアサシンに変身したアンジュちゃん、ティプタプの塔で幻術師魔法、
落とし穴を作る『ディグホール』を使ったって聞いていたけど」
「とちゅーで、アサシンから幻術師に戻ったよー」「あっ、それでか、一時間経って」
幻術師の瞬間移動ならアサシンの速度についていけるか、
あとはアマリちゃんみたいに誰かにおぶってもらう事も可能だし。
「それでサモナーに変身し初期魔法の魔物召喚を」
「じゃあ熟練度が低いから今はひとりしか出せないのかな」
「おそらくそうかと、さらに最初の選択で固定されてしまったのでしょう」
他に居た吟遊詩人とか気になったんだけれどな。
「サモナーとしてのレベルは上げられないんだっけ」
「できますが、レベルは共通のためサモナーでレベル65となると、
サモナーの魔法は憶えても幻術師の魔法を憶える機会がなくなります」
「あっ、しかもそのサモナー魔法はサモナーになってないと使えないんでしたよね」
ややこしいし、面倒臭い。
「アンジュちゃん、アサシンからサモナーになるのって手間かかるんだっけ」
「ちょちょいのちょいだよー」
「あれっ?! 冒険者ギルドでいちいち水晶使うんじゃ」「それは別の魔法ですね、魔法写し魔法です」
ややこしい、情報が錯乱する、
クラリスさんよく憶えてるなぁ~。
ていうかその魔法写し魔法でもサモン魔法って使えるんじゃ?!
(正式名なんだっけ、まあいいか使えてるんだし)
「デレスもういいか」
「あっはい、細かい設定もとい条件や仕様は今はまあいいです」
「ではアンジュ、イワモトを」「まずはサモナーにーー……そして、いでよ、けーびいーーーん!!」
見えない空間の何かをコチョコチョ突っついた後、
例のおじさんアサシンが細かい鎖をつけた制服? の格好で出て来た、
背中は先がU字の武器、手には透明な盾、うん、初老なのにめっちゃ強そう。
「どうも、元アル○ック契約社員、実はバイト、イワモトです」
「ふむ、色々と聞きたい所だがまあ後だ、そろそろ天使族が集まった頃だろう」
「あーあの力が弱くて育て難いけど、育つと極端に速度と魔法が強くなる」「そうなのか」
あっそうそう、
こういう部分はおそらくクラリスさんより博識なんだよな。
「十人もう来ているはずだが……」
と天使族の部屋を開けると全員、絶賛お着替え中だった!
「おっと失礼」
閉めて僕とイワモトさんを見るニィナさん。
「少し別の部屋で待っていてくれ」
「は、はい、みっ、見えませんでしたよねっ、イワモトさんっ!」
「とんだトラブルですな、ラッキースケベはみかんちゃんが好きです」「誰?!?!?!」
いったい誰の事を言っているのかよくわからないが、
ジュマジさんとアマリちゃんがくつろぐ部屋へ、
ってこっちもこっちでアマリちゃん、ラフな姿で謎の柔軟体操してるし!
「あー、おじさんまた会ったね~」
「おう、あいかわらず赤い満月の光で大人になりそうな少女だことよ」
「えっ、誰えぇー?!?!?!」




